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海(140字小説)

海のきらめきは、僕にはまぶしすぎる。

乱反射の光は、白黒の記憶を天然色に染め上げる。

あの時君は、いつも僕の前にいた。

波打ち際を踊るように走る君は、

寄せる波に足をさらわれながら、

満面の笑みを僕に見せた。

そして、返す波は君の足跡を消した。

いつもの静かな海。

もうすぐ、夏が終わる。


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