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USCPAを受験してた話①
巷では使えない人材が多いだの、JCPAの下位互換だのボロクソに言われているUSCPAこと米国公認会計士ですが、どうやら名乗る権利を得たので思うところを書いていきます。
スタート地点
今から遡ること3年ほど前、社会人生活も飽きてきたそれなりの仕事をやるようになった一方、そろそろ他のこともできるようにならなきゃねということで、管理系部署へ異動することになります。
そして、新しい部署では定期的に会計士と面談する仕事があることを異動後に知ります。
何回か会議に出た結果、何を言っているかすらわからず、気合い入れて勉強しないと駄目だと悟り、そういえばボスからも「俺もそれぐらいの歳で資格取ったんだから、今のうちに勉強しとけよ」との命令アドバイスを受けていた事も思い出したので、1年半で取れるという予備校の宣伝文句を鵜呑みにし、受験することになりました。
結果として勉強期間は2年弱、実時間で3年弱を費やす羽目になりましたが。
スタート地点は
英語:大昔に測定したTOEICで800点ちょい
経理:入社時に取った簿記3級(忘れた)と研修で連結決算の基本をやったかな…?
ぐらいの知識からUSCPAに挑戦することとなります。
予備校選択
USCPA向け講座を開設している予備校のうち、3社から資料を取り寄せ、比較検討するところから始まります。
インターネットでの口コミ、それから同期が通っていたため、紹介割引を受けられることもあり、A校への申し込みを決断します。
pros :教材が日本語で、英語弱者でも行けそうと思った。合格者が多いため、ノウハウが貯まっていると考えた。
cons:学費がちょっと高い。試験は結局英語なので、テキストの日本語を覚える意味はない(上に、時々訳語としておかしいと感じる箇所があった。特にREG)
特にローンもあるみたいですが、学費を一括払いをしたため、キャッシュフロー的には相当厳しくなりました。
勉強して得たもの
会計、監査の知識:
海外で初対面の人間に話を聞いてもらう上では資格でぶん殴ることが手っ取り早い。特に年上の人間には有効。
また、リップサービス込みですが監査法人から単なるお客さんではなく、それなりに話が通じる人として扱われるようになり、転職するならウチに来てくれと誘ってもらえる。
弁護士との面談時も職業的専門家として、互いの知識に対して尊敬する姿勢を感じられます。
学習内容がUS-GAAPだから役に立たないという説もありますが、JP-GAAPもなんだかんだで米国ルールを参考にしているように思うので、損はしないのでは?と考えています。(リース会計とか)
尤も税法だけは独特の論点が多く、個人的な信条からも学習が苦痛でした。一度完全に理解すると日米以外の税務もだいぶ理解しやすくなりましたが。。
実務への応用:
勉強していて気付いたのですが、会計士(に限らず専門家)が喋る内容は日常的な語法と乖離することが多いです。会社員として、社内向けに日本語に翻訳するのも大事だったりします。社内で通用している言語も日本語からかけ離れているという説はあります。
あとは糖分補給を口実に甘いもの食べたり、ストレス発散でドカ食いしたりした結果、体重もだいぶ増えました。
想像と違ったこと、苦労したこと、デメリット
経理業務は出来るようにならない:
仕訳は全く切れるようにはならないし、資格を持っているのに帳簿点検すら出来ないからと怒られる人を観測しています。多分、経理実務だけを考えれば簿記2級をやる方が実用的。
また、試験では現地の中小企業を想定した設問が多く、連結決算も浅瀬までしかやりません。社内研修でアップストリームまでやらされた分、正直、大した事ないなと感じましたし、全般的にそういう傾向のため、巷で役に立たないと言われるのだと思います。
専門用語も最終的には全部英語で覚えたので、会計の話をするときにルー大柴みたいな感じになるというデメリットもあります。
日本ではそれだけで食べていける資格ではない:
独立開業できない以上、日本では結局、インハウスのサラリーマンとして働くことが基本となります。では、アメリカで開業できるのか?と聞かれても、知る限りでは結局ジャパンデスクで働くケースが多いです。
他の英米法域の資格と同様、最低限の知識を証明するに過ぎないものですし、会計士としてのキャリアを目指すのであれば、なってからの自己研鑽も大事です。
手続きがめんどくさい:
別途書こうと思いますが、久しぶりに母校の教務課に対する憤りを覚えました。
円安が進行したこと:
申し込んだ2022年当時レート:USD 1=JPY 120で皮算用を立てていたので、為替により想定外に費用がかかり、AUD、REGは複数回受験したので金銭的に結構痛かったです。
おすすめな人
個人的な意見ですが、海外に子会社を多く持つJTCの社員がスキルアップ目的や駐在の前後で取得を目指す、あるいは、外資系企業に行きたい人間がアピールのために取得するというのであれば物凄く役に立つと思います。
一方、日本で受験する場合、受験料は決して安くないので円安がどうなるかも分からない昨今ではいきなり取得を目指さなくとも良いのではと思います。