USCPAを受験してた話④ BEC編

BECの出題範囲、特徴

今はなき科目のため、受験生の何の参考にもなりませんが、予備校のカリキュラムとしては1~5の5分野で構成され、各分野は以下の通り独立しています。
BEC1:原価計算などの内部管理
BEC2:ファイナンスと投資
BEC3:経済学
BEC4:情報、IT技術
BEC5:ガバナンスと内部統制

一見、試験範囲が広そうに見えるものの、テキストは2冊分+WC(後述)対策の計3冊しかなく、出題される内容もビジネスマンとしての常識=会計士としてクライアントの環境を理解するために最低限必要な初歩的なものとなっています。

BEC4はITパスポート並みだと思いますし、BEC1と2は仕事でもよく見る話ばかり、BEC3に至っては大学の一般教養の方がよっぽど難しかったなと思うレベルなので、この科目は如何にBEC5を攻略するか?が重要です。
Blueprintでも出題比率は20~30%と多めに設定されており、COSO-ICなどはAUDでも出題されるため、しっかりと学習しておきたいところでした。

また、BECには旧試験で唯一、WC(Written Communication)という論述問題が出題されるという特徴がありました。
TBS問題が出題される第5テストレットがWCに差し替わり、各分野のキーワードについて、例えば上司にメモとして報告せよ、あるいはクライアントからの相談に答えるメールを書くといった形式で回答する必要がありました。

なので、知識として日本語を知っているものの、対応する英単語を覚え、英文で説明できるように勉強する必要もありました。

追記)
シュラッター=シュラッター図のように声に出したくなる言葉が多い分野でもありました。財務会計とは違って、企業が自分たちの思想を現実に投影するためのツールなので原価計算は勉強していて楽しかったですね。


教育訓練給付金

USCPAを取得した後のキャリアは様々ですが、なんだかんだで会計士のスタートラインに立てる程度には専門性は身につくことになり、働く人がほとんどだと思います。

さて、この国には社会保障関係で兎角言われがちな厚生労働省という機関が存在し、実は国民を労働者として教化し、税収を増やす(超訳)というミッションを背負った組織でもあります。

そんな厚労省が所管する法律の一つに雇用保険法という法律あり、
「労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合に必要な給付を行うことにより、労働者の生活及び雇用の安定を図る」
とあるように、職業訓練を受けた場合にお金が貰えることが明記されています。
そして、予備校で受ける授業は見事条件に合致しているため、入塾申込時にこの制度を使うことを申請すれば給付金を貰う権利を得ることになります。
ちなみに受給要件は3年以上の雇用保険加入なので、新卒から3年間はやめずに働いたほうが良いと言われるのはこういう制度を使えるようにするためですね。

ただし、1年間で教育を修了せなければならず、事務手続きのリードタイムも含めて、教材発送日から11ヶ月以内にとりあえず全科目分の修了テスト(単位認定とは別)に合格する必要があります。
そんなに難しいテストではありませんが、僕の場合、FAR合格時点でAUDとREGの講義は一コマも受けていない状況であり、受給要件を満たすために一通り講義を消化することが次の目標となります。

問題は動画の残り時間を期日までの日数で割ると、どう考えても1日3時間近く講義を受けねばならない状況であり、試験対策は措いておいて毎日授業を受けましたが、この期間が人生で一番勉強に集中した時期だったかもしれません。

そんなこんなで、なんとか予備校から修了証書を貰いつつも、ハローワークでも必要書類が足りてないなど門前払いを食らったりしながら、勉強を始めて1年が経つことになります。

受験期

無事、給付金をゲットした後は本筋である試験に戻らなくてはいけないのですが、力試しに解いてみた模試では合格者平均点を上回ったはいいものの、コロナ禍も終わったかのような風潮と共に飲み会が解禁され、さらに仕事の繁忙期に突入したため、試験対策はほぼ出来ないことになります。

唯一、内部統制、ガバナンスの分野は新たに勉強する内容が多く、暗記が本当に苦手なので、COSO-ERMやCOSO-ICの要点をA4一枚にまとめ直し、毎日眺めてみることにしました。出題傾向的に原則まで覚えていれば対応可能であり、着眼点はそんなのあったよなと流すくらいで十分でしたが。

あと、IT分野からは出題されるか不明なものの、新技術についても抑えようということで追加プリントが出ていたのですが、AIの話などは本当かなと思っていたうちにChat GPTが広まり始め、振り返ってみるとこの数年で世界は一気に変わりました。
試験対策は出来ないといいつつ、10数年ぶりに電脳世界を守る戦いに身を投じていたのですが、当時の夢が実用化された時代に遊んで感慨深かったです。ちなみに漫画の完全版と5のDS版を持っていたことが自慢です。

また、試験の直前はハイラルの大地を守るため、有給を取ってクリアまで3日間ほど旅していたので、当然勉強する暇はありません。

そんなわけで完全に試験対策はほぼ捨てたのですが、試験そのものは今度は水筒と休憩時間の糖分補給用のお菓子も用意して、万全の体制で臨みます。
それなりに順調に解いていったのですが、内部統制関連は結局自信がなく、WCに至っては全然知らないことを問われ、適当なことを書いてお茶を濁すことになります。(うまく書けなかった腹いせにテスト終了後のアンケートに、試験会場のキーボードが入力しづらいというフィードバックを書いた記憶もあります)

結局、こんな状態でも合格点は貰えたので無事2科目目クリアとなりました。
期間としては半年かかりましたが、科目に掛けた時間としては100~150時間程度だと思います。社会人であれば比較的合格は容易な科目だったと総括できるかもしれません。

次回、激闘のAUD編ですが、明日からシド星に移住するので、しばらく時間がかかるかもしれません。


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