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100km歩ききるコツ【東京エクストリームウォーク100:攻略編】

なんとか100km歩ききったので攻略法って言ったら大袈裟だけれども、いろいろ工夫した点を紹介したいと思います。チャレンジする人は参考にしてみてください。
ちなみに僕は前回(2019年)70km地点でリタイアしていて、今回(2021年)はゴールできました。2019年は完全に100kmをナメていて失敗したので今回は色々と工夫・準備しました。そういう点で余裕で一発クリアした人や、一回もゴールしてない人よりは参考になることが言えると思っています。

(といいつつ、実は自分が再チャレンジするときのための備忘録でもあります(笑))


ちゃんとした靴を選ぶこと

これは何よりも大事だと思います。いい加減な靴では100kmは歩けません。友人も足の裏の水ぶくれでリタイアしました。
僕はローカットの軽登山・ハイキング用の靴を履いていきました。具体的にはメレルのカメレオン8。こんなやつ。

僕のようなハイキング用の靴の人もいましたが、圧倒的に多かったのはランニングシューズですね。例えばこんなの。

どちらがいいかは分かりません。ハイキングシューズの方が少し重いんですが、その分足をしっかり保護してくれて、さらに振り子の原理で歩きやすかったりもします。ランニングシューズは走るための靴なので軽くて、底もぴょんぴょん跳ねやすいように作られていて、足を置いたときのバランスは若干悪いです。「100km歩く」用の靴はないし、そういう文献もないのでどちらを選ぶかは個人の趣味なんですが、、。僕はハイキングシューズの方が「タイムはさておき、とにかくゴールする」「歩ききる」という目的には適っているかな?と思って選択しました。100km歩ききる体力的な自信が十分あって、さらにタイムも狙いたいという人はランニングシューズの方がいいかもしれません。
基本的には舗装された平らな道を歩くので、そんなに捻挫などは心配する必要はないので、ハイカットの登山靴は過剰だと思います。
僕も次回はランニングシューズに変えるかもしれません。今回は変更する時間的な余裕がなくて(履き慣らす時間がなくて)ハイキングシューズで行きましたが、時間があるなら両方試したかったところです。


靴はしっかり履きなれること

靴を選んだあとは、しっかり履きなれて置いてください。しっかり、というのがポイントです。100kmはハンパじゃないです。軽く履きなれてる程度じゃマメや水ぶくれができます。20km程度じゃできなかったところにマメができたりします。まして履いただけで違和感があったり、いまいちに感じるようであれば100kmなんか絶対に無理です。履きまくって、自分の足の形と靴の形を仲良しにしてあげてください。
僕の場合は、仕事中も趣味(例えばアイドル現場=ライブハウス)も直前1ヶ月くらいはカメレオン8だけひたすら履いていました。もちろん、予行練習として歩いたり走ったりするときも。


本番コースで練習すること

東京エクストリームウォークの場合は小田原―築地なので、関東の人であれば日帰りで練習できるはずなので、実際のコースを歩いてみることをオススメします。道を知っているのと知らないのとでは精神的な負担が段違いです。休みやすそうな場所・自販機・コンビニ・薬局・駅・坂道・チェックポイントなど、実際に経験して位置を把握していると安心感・自信がかなり違ってきます。
もちろん、実際に一気に100km歩くには時間がかかりすぎるので、分割して構いません。前述のとおり大事なのは、コースを一通り経験して距離感や要所の位置を理解することなので。僕の場合は、本番5週前、4週前、3週前、2週前の土日を使って全行程100km歩きました。(ちなみに1週前は近所を軽く歩く程度(10kmくらい)にしました)

また、できれば1回は50kmなど限界まで歩いてみることをおすすめします。僕の場合は4週前は土曜日の夜から日曜日の朝までかけて40km程度歩きました。ここで、靴が合ってないなと気付いたり、40kmでも体力的に相当きついなと気付いたりしました。これは自分の課題の洗い出しになります。ここで感じた課題に対して、本番までの残りの時間で出来る限り対策していきましょう。


本番のスケジューリングをすること

どこからどこまでをどのくらいの時間で歩くか、というスケジュール(目標)を決めましょう。決めたら本番はそれを参考にして歩きます。

僕の場合は、参加者に配られる地図ファイル(PDF)を印刷して、10kmごとに時間を地図に書き込んで持っていきました。

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こんな地図データがもらえるので、黒丸の上に時刻を書き込んでいきました。僕の場合は、前半40kmくらいまでは時速5km(1kmあたり12分ペース)で計算して書き込んで行きました。時速5kmというのは言い換えると、10kmごとに2時間足していく感じです。
後半60kmはそれに加えて、チェックポイントの関門時刻(足切り時刻)等から逆算して、最悪でもこの時間までには通過したい、という時間も併せて記載しました。結果からいうとこれは大成功で、途中でペースが落ちても「ベストではないが、まだ全然間に合う」と焦らず歩くことができました。オススメです。
友人はスマホアプリで1kmごとの時間を把握していましたが、結果的にはタイムに拘らないならそこまでしなくても大丈夫そうに思えました。僕は10kmごとの時間だけ気にして、それ以外は周りの参加者のペースを参考にして適当に歩きました。


水分補給、栄養補給の準備をすること

水分補給、栄養補給はペースに影響します。しっかりと適宜補給しましょう。

まず水分補給についてですが、僕の場合はリュックサックのベルトにペットボトルを付けられるようにして、それで15分毎とか信号待ち毎に一口ずつ飲みました。他のスポーツと同様に喉が渇く前に少しずつ飲むのが吉です。実際に使ったのは以下のペットボトルホルダーです。

飲み物は重いので、持ってもせいぜいペットボトル2本(500~600ml×2本)になると思います。これ以外は自販機やコンビニで購入して補給することになります。

1点だけ注意したいのは、平塚ー江ノ島間です。ここは浜辺を歩くコースなので自販機がほとんどありません。加えて日が高い時間帯に日除けもない状態です。それで15kmぐらい歩く(5km/hなら3時間歩く)ので、その前にしっかり水分を持っておくべきです。僕はペットボトル1本(500ml)の水を持ってる状態で歩きましたが、途中で手持ちがなくなって、明らかに「喉乾いたなぁ。なんか飲みたい」という状態のまま1時間以上歩きました。たぶんペースも多少落ちていたと思いますし、下手したら脱水状態などになる可能性があるので失敗だったと思ってます。これを読んでいる方はぜひ注意して下さい。

あと、ペットボトル以外にも登山などで使うハイドレーションを使っている人もいました。ハイドレーションとは、水をパックみたいなものに入れて、それをリュックに入れて、超長いストローみたいなもので背負ったまま飲めるようにしたものです。ものによりますが1~3リットルくらい入ります。これも選択肢としては良さそうに見えました。

つづいて栄養補給についてです。普段は血中や筋肉中のエネルギーがなくなるほど運動しない人がほとんどだと思いますが、100km歩くとなると本当にガス欠でペースが落ちてきます。携行食はあった方がいいと思います。運営がチェックポイント、エイドステーションなどを用意してくれて、そこで軽食の支給がありますが、平均的な参加者にとっては量もタイミングも足りないと思います。もっと細かく自主的に栄養補給した方がいいです。

僕はウィダーインゼリー、カロリーメイト、柿の種、スニッカーズ、アメなど持っていきました。(これはちょっと多すぎたと思ってますが(笑))
人間は1km歩くごとに体重分のカロリーを消費します。例えば体重60kgの人は1km歩くごとに60キロカロリー消費します。10km歩くと600キロカロリー、100kmなら6000キロカロリーです。これを目安に、消費したカロリーを補うようにしましょう。
自分の携行食のカロリーもしっかり事前に把握しておきましょう。僕の携行食の場合はカロリーメイトは1本100kcal、ウィダーインゼリーは1個200kcal、柿の種は一袋150kcalくらい、などです。
ただし、人間には元々脂肪やたんぱく質、糖の形で体に保持しているエネルギー(カロリー)があるので、消費したカロリーを100%補給するのはとりすぎなので注意です。僕の場合は消費カロリーの50%はとるつもりで食べました。
アメは取り出したり個包装を剥くのが面倒くさくて結局いくつかしか食べませんでした。手間のわりにカロリーもとれないので、個人的にはオススメしません。

食べ物を途中のコンビニなどで買うのもいいですが、コンビニに入るのはタイムロスになったりペースが崩れたりするので、極力入らないことをオススメします。選んだりするのって以外に時間がかかります。時間がかかるわりには、店内を歩き回っているので休憩にもならないので。


応急処置の準備をすること

100km歩くと様々な怪我などのトラブルがあります。これに対する準備をしましょう。
(起こりうるトラブルは人によって違うと思うので、前述したとおり、なるべく長く歩いてみて自分の体にどんなことが起こるのかチェックしておくことをオススメします。例えば持病がある人や、昔の怪我の後遺症や、腰痛持ちなどなど、)
それでは僕の場合にした準備と理由などをいくつか紹介します。

まずは鎮痛剤(ロキソニン)を用意しました。これは鎮痛が目的なので大体の人が一応は準備しておいた方がよいと思います。自分の場合は70kmくらいで太ももあたりににぶい筋肉痛、疲労感が出てたんですけど、ロキソニン一発で解消しました。一方で、95kmくらいで足裏に激痛があって、本当に歩くのが辛かったんですけど、そのときはほとんど効果がなかったですね。あくまで市販薬なので麻酔みたいな無茶苦茶はできませんが、お守りとしてあった方がいいと思います。あと、ロキソニン含めていくつかの薬はコース付近のドラッグストアでは買えません。なぜなら運営サンによって販売しないよう通達されているからです。理由は不明ですが、僕は初回挑戦時に買おうとして断られたので今回はしっかり準備していきました。まあおそらく、そういう薬を使って無茶されて事故になるなどを懸念しているのだと思います。

次に、ワセリンです。ワセリンは皮膚を守ってくれるので、靴ずれや股擦れなどの懸念がある場合に塗っておくと非常によいです。今回、僕は20kmくらいの時点でかかとに違和感を感じました。なにかヒリヒリするような感じで、このまま歩き続けると靴ずれするような予感がしました。なので休憩やチェックポイント毎にワセリンをしっかり塗って歩きました。その結果、最後まで靴ずれは起きませんでした。人によっては脇や服と擦れる場所なんかも100kmも歩くと問題が起きてくるようなので、ワセリンも多くの人に効果のあるものだと思います。

他に、Amazonなんかで売っているコンパクトなファーストエイドキットも用意して行きました。登山用アイテムなんかであるものです。

絆創膏やピンセット、ハサミ、包帯なんかが入ってます。今回、ピンセットはトゲが刺さったので使いましたね。スタート地点で「なんだか手が痛いなぁ」って思ったらいつのまにかトゲが右手の薬指の爪側(手の甲側)に刺さってて毛抜として使いました。他にも、ハサミは水ぶくれの応急処置として水を抜く場合などにも使えると思います。エイドステーションでも手当してもらえるかもしれませんが、エイドステーションなどは10kmに1ヶ所もありませんから、自分で手当できる準備をしておくのもいいと思います。

ほかにエアーサロンパスなども筋肉痛対策としてあるといいかもしれません。ただ、匂いの強いスプレーは禁止、みたいなルールが書いてあった気がするので、人の少ないところで使った方がいいかもしれません。まあ普通に使ってる人も見ましたが。

日焼け止めもあった方がよいかもしれません。秋とはいえ、真っ昼間の時間帯に砂浜12kmを歩きます。早い人でも2時間、遅い人なら3時間くらいはかかるので、直射日光でじわじわ体力を削られます。女性なら単純に日焼けに気をつけた方が良いレベル。僕も使いました。

あと医療品以外ですが、カフェイン錠、滋養強壮の錠剤、スポーツ用アミノ酸なども持っていきました。カフェイン錠は眠気対策ですね。滋養強壮錠剤やアミノ酸は単純にバテ防止です。効果があったのかは分かりませんが、一応適宜摂取しました。さすがに朝イチから歩き始めて翌日の朝まで歩くので、深夜4時を過ぎると頭がぼーっとしてきます。僕は比較的オール(完徹)など出来る方なんですが、さすがに朝イチから歩いていると辛くなってきます。チェックポイントやエイドステーションで寝ている人も多かったので、人によってはカフェインなどあると良いかも。一応、レッドブルなどカフェイン入り飲料はコンビニでカンタンに買えることは買えます(特にロキソニンなどのように運営サンによって販売禁止にされてません)。ただ、やはりコンビニに立ち寄る回数は減らしたいので、できる錠剤などで準備できるなら持っておいた方がいいと思います。(僕は今回1回しかコンビニ寄りませんでした)


体温調整のし易い服装にすること

10月下旬、朝から次の日の朝まで歩くので、寒暖差が激しいです。今年の場合は19~10℃くらいで変動しました。なので、レイヤードスタイルなど温度調整しやすい格好にしましょう。ただ休憩時以外は歩いているので、人によってはそこそこ寒くならないかもしれません。できれば事前に深夜や昼間に歩いてみて、自分がどのくらいの格好が適当なのか確認しておいた方がよいですね。
僕の場合は昼間はアンダーアーマー+半袖ポロシャツでした。折り畳める登山用のジャケットを持っていき、本当に冷え込んだ明け方(深夜3時過ぎくらい)からはジャケットを来ました。僕の場合は10℃前後だと歩いていても寒かったですね。


ウォーキングポールについて

登山やハイキングなどで使うウォーキングポール(杖)ですが、使っている人もそうでない人もいたので、これは好みだと思います。ただ、絶対に練習は必要です。なんとなく買って、当日いきなり使うのだけはやめたほうがよいです。ウォーキングポールにも使い方(スタイル)がいくつかあって、その人の使う目的や戦略によって使い方が変わってきます。なので、インターネットなどで使い方を調べて、事前に練習で使っておくという準備は必要と思います。僕は初めて使ったときは邪魔にしか感じませんでした(普通に歩くより遅くなるし、歩きにくかった)。ですが、インターネットで使い方を調べ、理解し、練習したらコツが分かってきて楽になりました。
また、使うタイミングも人によって違うようでした。最初から(スタート地点から)使っている人、途中から使う人。僕は後者で、途中から使いました。僕の場合は、練習してもやっぱりスピードが落ちることは落ちるので、序盤は使わないようにしました。途中、藤沢のあたりからは坂道など多く出てくるので、そのタイミングで使いはじめました。
ちなみに、ウォーキングポールは副次的な効果として手のむくみを解消できます。これも地味にありがたいです。ずっと手を振って歩いていると、遠心力で血液が手の方にたまってきて、指先がパンパンになります。別に痛かったり痒かったりなどするわけではないですが、これがなんとなく気になります。グーパーしたり、揉んだりするのですがそれでも解消しにくいです。ウォーキングポールを使っていると、手はそんなに振らないので、むくみません。また、手を同じように振っていると腕も筋肉痛になってきます。歩いているだけで腕が筋肉痛になるなんて信じられないと思いますが、100kmはそれくらい壮絶です。そういうときにも、ウォーキングポールを使って腕の使い方を変えると多少マシになりました。
あと、舗装された道でウォーキングポールを使う場合、たまに側溝の穴などにポールの先が引っかかって、先のゴムがとれてしまうことがありえます。僕は初回(2019)時、それで1時間位でウォーキングポールが使えなくなって後は単なる荷物になりました。ウォーキングポールをつく位置にも注意して下さい。もし予備が付属しているなら持っていった方がよいかもしれませんね。重いものでもないですし。
あとウォーキングポールは材質によって重さも結構違います。僕はカーボンファイバー製の軽いものを使ったので快適でした。安物は結構重たいものもあるので、お店で買うなら実際に持ち比べてみたり、ネット通販なら重量をしっかり比較して買うことをオススメします。


5本指ソックスについて

5本指ソックスもオススメです。休憩所なんかでは靴を脱いで休憩する人が多いんですが、そこでも結構履いている人を見かけました。僕は普段は履いてなかったんですが、一緒に参加する友人に勧められて履くことにしました。5本指の一番のメリットは足の踏ん張りが効くことですね。また、100km歩くとなると、足の指と指の摩擦ですら痛みにつながってきます。それを緩和してくれたりもします。ただ僕は日常生活では脱いだり履いたりしにくいし、足の指の間の感覚が慣れなくてエクストリームウォーク以降は普段は普通のソックスを履いています。なので、どうしても気持ち悪い人もいると思うので、これも人によるかなぁとは思います。


おわりに

長々と説明してきましたが、今回、リベンジのために準備したのはこんなところです。普段から肉体労働している方、学生で運動部に所属している方、趣味でハードなスポーツをしている方にとっては、ここまでの準備は必要ないかもしれません。実際、軽装で短時間でゴールしている方もいます。ですが、そうでない自分のような人間にとって、準備はとても大切だと実感しました。
冒頭でもお話ししましたが、僕は2019年ではリタイアし、今回2021年にゴールしました。この差は100kmをナメていたか、しっかり準備して臨んだかの差だと思っています。今回は前回より2年分歳をとっているし、運動も特別してないし、体重も若干増えています。肉体的なことだけをいえば2年前よりも明らかに不利でした。ですが、それでもゴールできたのはこれらの準備をしていたからに他なりません。
これからエクストリームウォークに挑戦されようとしている方には、ご自分の状態をよく考えて、それに適した準備をして頂きたいと思います。
それでは、ご武運を祈って。


※感想編もあります。こちらは実際にどんな感じで歩いたのか、メンタル面など含めて書いてます。良かったら読んでみて下さい。


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