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FanGrowth3期目を迎えて、商材バリューがどう変化してきたのか
こんにちは!エキサイトでFanGrowthの事業責任者をしている大熊です。
先日のこちらの記事でも書かせて頂きましたが、上場企業内における新規事業はどんな感じなのか?も含めて初のチームでのアドベントカレンダーを開催しています。
今回は弊社のウェビナー施策の振り返りも含め、この2年間での業界動向を少し考察していきたいと思っています。
前提:直近のウェビナー開催数は??
まず動向を考察する上で考えなければいけないのが、イベント施策の開催数。下記グラフはPeatix様の資料から抜粋したものになります。
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昨日の記事で山縣も記載していますが、コロナ以後、オンラインイベントオフラインイベント問わず右肩上がりのトレンドになっていることがわかります。FanGrowthという事業を始めたのは2022年からなので、まさにウェビナーに注目が集まり始めているタイミングでした。
2022年から2024年で振り返るウェビナー変遷
ここで実際の施策を見ながら年度ごとのウェビナー変遷を見ていきたいと思います。
振り返ると2022年の事業創業当初は弊社も手探りでウェビナーをやっていたなぁと。意外と過去の施策からの変化を辿ってみると面白いので、皆さんもぜひ。
2022年-23年ウェビナー状況とFanGrowth
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① 共催ウェビナー全注力時代
当時の弊事業のプレスリリースを見てみると顕著に出ているのですが、プロダクトとしても市況感としても共催ウェビナー全注力時代と言えると思います。
今までオフラインイベントを中心に施策を組んでいた企業が軒並み強制的なデジタル化を求められるようになり、「新規リードをどう獲得するか」という大きな課題に当たっていきます。そこで、「ターゲットが近しい企業とリード交換を目的にしながらウェビナーを開催する」という目的で、とにかく共催ウェビナーを実施していく。
FanGrowthも初期バリュー(今ももちろん強みではありますが)として共催ウェビナー開催をどんな企業でも実施できる、という文脈に置き、まず真っ先にコミュニティ機能をリリースしました。
この共催コミュニティは登録社数が毎月50社ずつ伸びていき、今では1300社を超える企業様にご活用頂いております。
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結果論ではあるのですが、このコミュニティ形成が大きくプロダクトの認知向上に貢献しており、現在では一定のプロダクトレッドグロース的な役割も担ってくれています。
② 自社カンファレンスブーム
また、合わせてこの時期に共催型の自社カンファレンスも一気に数が増えてきています。「リード獲得」という観点からすると共催先は2社よりも4社、4社よりも10社と開催した方が当然総集客数は増えていく。
その座組みを「カンファレンス」として開催することで、ブランディング効果も付加価値として狙い、多い時には3000名を超えるカンファレンスを広告なしで実施できた事例もあります。
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弊社はコンサルも実施しているため、自社でカンファレンスを実施できるようなカンファレンス機能もこのタイミングでリリースしました。
どのような結果が生まれたか
これは弊社の実績ベースにはなりますが、上記のように弊社でも多い月は7回程度、自社カンファレンスも2ヶ月に1回開催したことにより、ハウスリストは爆発的に伸びています。
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スタートアップ的に始めた事業が、ほぼ投資をせずに1年間で10000件までハウスリストを強化することができているので、一定の成果はあったと言っても良いかと思います。
事業としてもPOCの段階であり、まだ積極的な投資をしたい時期ではなかったため、ウェビナーを通じて多くの新規見込み顧客にFanGrowrthを知ってもらえたことも非常に大きなメリットでした。
ただ、この辺りから実は裏では、
・ウェビナーリードからの商談獲得率が悪いのでは?
・最近集客数落ちてきていない?
という新たな課題が見えてきます。
新しく生まれた課題
この課題はなぜ生まれたのか?
大きな要因としては「視聴者のウェビナーリテラシーが向上し、更にはより多くの層が視聴している」ことが挙げられると感じています。
・ウェビナー数が飽和していくことによって、既視感のある企画が多い
・調べれば分かる内容に時間を取られたくない
・一度視聴してみたが内容面白くなかった
皆さんも視聴者としてウェビナーを探してみようと思った時、上記のように感じることはないでしょうか??
この辺りから弊社では少しずつ「ウェビナー施策を実施するだけ」では淘汰されていく、そんな未来を予測し始めていました。
2024年ウェビナー状況とFanGrowth
大きなポイントは「自社は何者なのか?」ということ
2024年はウェビナー施策は大きく変化した1年だったと思います。
オフライン回帰の流れはもちろん、開催しても集客がしにくい、今まで通り回数を開催しても成果に繋がらない。もしかしてこのチャネルは有効ではないのではないか?
結論、そんなことはありません。
考えなければいけないことは【ウェビナーという施策そのものが「目新しい施策」から「汎用的な施策」に変化した】ということだと思います。
コンテンツマーケティングやWEBサイトも過去に同じ変遷を辿ってきています。競合が少なければ施策を打つだけで目立てる。ただ当然レッドオーシャン化してくると、いかにコンテンツに特異性を出せるか、がポイントになっていきます。
FanGrowth事業もこの考えに沿って、自社のウェビナーはもちろん、プロダクトも大きく変更してきました。
2024年何を見つめ直しどう変えたのか??
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① 誰になぜ見てもらいたいウェビナーか?1対1で企画を考える
2022年の段階では、実はウェビナーからの短期受注は順調に一定数担保できていました。その理由は「視聴してくださる方が一定イノベーターレイヤー層だった」からだと捉えています。興味があるツールやソリューションに対しては自ら進んで検討をしてくれるために、アポイントも獲得しやすい。
しかしこれからは、いわゆる「マジョリティレイヤー」の方々に対してもアプローチをしていく必要があります。そうなった際にプロダクトアウト型のアプローチでは通用せず、「顧客の課題はどこか?なにを求めているのか?どのタイミングでどうやって我々のツールを利用してくれるのか?」といったマーケット理解がより必須になります。
② マーケティング戦略として捉えているか?ウェビナー=アポだけではない
意外と理解していても実践できていなかったのが、「ウェビナーから直接商談獲得しなければいけない」という強迫観念にも近い考え方です。
日々インサイドセールスチームはアポ獲得を目標に動いているため、マーケのチャネルが動くととにかくアポイントを獲得するために荷電する。結果満足度は高いが商材にまだ興味のない顧客に商談獲得アプローチを繰り返し、せっかくのリストが枯渇していく。
顧客のコンペリングイベントをマーケティング戦略全体としてしっかり意識をして、マーケ戦略の一部であるウェビナーをどう設計するか、を考える必要があります。
③ 登壇者は「誰に」「何を」「なぜ」話すのか理解しているか??
いつもと同じ話を繰り返しているだけではダメ。
なんとなくマーケチームが作った資料をいつも同じテンションで読み上げる。このようなウェビナーは相当内容が尖り切っていないと飽きられてしまいます。
ライブ配信の良さは「ここでしか聞けない話」を「インタラクティブ」に聞けること。登壇者は企画設計の意図を汲んだ上で、なるべくオリジナリティある、更には蓋然性の高い情報を提供する必要があります。
施策を作成するポイントは「ファン化」と「ハイブリッド」
上記を意識し、改めて弊社では下記の5つに重点を置いてウェビナー実施をしました(ウェビナーだけではなくイベント全体ですが)。
1. 基本的には自社主催以外の共催ウェビナーに参加をしない
2 .大型の共催ではなく、自社の考えやトレンドを話せる場を作る
3 .オフラインでの「交流」を月に1回定期開催
4. ヒットした企画は必ずアーカイブ配信とイベントレポート作成
5. インサイドセールスとマーケの連携を再度強化
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何よりも大切にしていることは、「ウェビナーで刈り取る」のではなく、「ビズ全体の流れをきちんと作りウェビナーがその潤滑油になる」こと。
また、企画作成においてはシリーズものをメインに据えることで、弊社が届けたいメッセージを明確にすることにしています。
⚪︎弊社が実践しているシリーズ企画
・Top Leadersシリーズ
業界のシェア上位企業に登壇して頂き、パネルディスカッションでそれぞれの強みの領域を深掘りしていく企画。
・顧客登壇シリーズ
弊社のクライアントに登壇して頂き、なぜ成果が出ているのかや、どのような体制で運営しているかなど、ここでしか聞けない話を伺う企画。
上記のような「FanGrwothのウェビナーだから聞ける企画 × ターゲットの課題」を掛け合わせて、とにかく「弊社が何者か」を理解してもらい、インサイドセールスはコンテンツプロバイダーとして情報を届ける荷電をする。
これにより、弊社のインサイドセールスからの連絡は「役に立つ情報を届けてくれる」という印象を持っていただくことができ、商談獲得向上に繋がってきています。
これからのFanGrowth
ここまでつらつらと変遷を記載してきましたが、ウェビナー支援事業を実施している弊社でも、直近の変化はかなり大きなリソースと工数を割いてPDCAを回してきました。そしてこれからもまだまだウェビナーの在り方は変化していくと感じています。
そこで改めて、属人化せず「どんな企業でもインハウスで成果の出るウェビナーを実施できる」ために、FanGrowthはガンガンにプロダクトとしても機能開発を進めていきたいと思っています。
FanGrowthの開発指針として
① AIファーストであること
今までもAIについてはかなり機能改善を行なってきていますが、今後はさらにAI化を進めていきます。
弊社が想定しているAIに任せるべき業務は「分析と示唆の提示」。
業務改善だけではなく、「自社の強みは何か」「過去のデータからどのような内容がターゲットへの満足度を向上させられるのか」など企画面での示唆提示をメインに学習させていきます。
② 登壇者育成含めて、視聴者のためのウェビナーが開催できること
今後配信機能を強化していくのですが、配信データを活用した「登壇者育成」も強化していきます。
どのような話し方が「良い印象」に繋がるのか、ウェビナーの内容は視聴者に飽きられていないか、などデータに基づいてよりインタラクティブ性を高められる配信ができるような、「登壇者への働きかけ」を機能として設けることで、意外と各企業が悩まれている「登壇者がいない」問題を仕組みで解決していきたいと思っています。
③ 「ウェビナー施策」だけではなくビズ全体に影響を及ぼす機能があることチャネルがどんどんと複雑化していく中で、直接効果だけではなく間接効果やターゲット含有率、満足度と商談獲得の関係性など、ウェビナーで見なければいけないKPIが増えていきます。
これらのウェビナー貢献値をマーケチームだけではなく、ISやFSなどにも共有しながらビズ全体の数値貢献ができるアナリティクスの開発を行なっています。
最後に
ウェビナー施策が流行り始めたタイミングから関わらせて頂いている立場として、この2年間は非常に変化が多くプロダクトとしてもどんどんピポットが必要な時期でした。
同時にまだ「これからのあるべき形」が固まらないタイミングだと思っているので、今後とも各社のマーケターの皆様と連携をとりながら、時代に即したプロダクトにしていければと思っています。
ぜひこれを機会にFanGrowthを知ってもらった方がいれば、お気軽にご相談いただければ幸いです。