伊勢榊の生命力
連日35度を超えるような酷暑で、流石に我が家でもリビングだけはエアコンを入れる日々を送っているが、それでも神棚のある部屋の上部は床近くに比べると暖かく、エアコンを止めている夜間を経過した朝、榊の水を取り替えようとすると、毎回生ぬるいお湯のようになっている。
例年、真夏のこういう環境下では、1週間くらいで榊が弱り始め、大体2週間で新しい榊に交換するというサイクルになっていた。だが、今、神棚にある榊は、2ヶ月近く経過して未だに元気であるばかりか、新芽が育ち続けるという驚きの生命力を見せてくれている。
【神棚には日本産のお榊を!】に書いた通り、今年の節分以降、我が家では伊勢榊を定期購入する事にした。近所の花屋さんで入手するのに比べればそれなりに割高にはなるが、日本で流通している榊の90%以上が中国産という現状を知り、日本の本榊生産者の方々を応援する意味も込めて、定期購入したいと思うようになったのだ。
さて、現在の榊は、実は5月末日に届いて、6月、7月と経過して来た強者である。毎月末に次の月の榊が届くので、通常はそのまま引退してもらうのだが、5月末に届いた榊は、6月末に次の榊が届いた時点でも生命力に溢れていて、新芽が次々に出ていたので、神棚から下ろした後も花瓶に生けておく事にしたのだった。
一方、6月末に届いた榊は、若い樹からのものだったのか茎が柔らか目で、2週間ほどで萎れてしまった。例年以上の異常な暑さが続いた上、部屋の上の方に溜まる暑い空気の中ではやむを得ない事と思ったが、せっかくなので、花瓶に生けておいたひと月前(5月末着)の榊に復活してもらう事にした。
流石に葉が丸まったり枯れたりして弱った部分もあり、少しずつ取り除いて行って当初のボリュームの半分位にはなっていたが、残った部分は青々としていて元気で、当初出たばかりだった新芽もそのまま成長し続けていた。トップ画像は今朝の様子だが、神棚用にカットされ、猛暑の中水だけで2ヶ月生きて来た姿とは思えない生命力である。
常緑で生命力が強いからこそ、神棚に供えられるようになったのだと思うが、物質的には何の栄養素もなく、温度的にも榊にとっては過酷な環境下で、これだけ元気な姿を見せ続けられると、生命に対する畏敬の念が自ずと湧いてくる。
茎がしっかりしている榊は比較的長期に渡って元気で、冬場なら2,3ヶ月ピンピンしているものも見て来たが、真夏で、通常以上の酷暑が続いているこの状況下で丸2ヶ月元気で、まだ弱る様子も見せていないこの榊は、まさに「生命力」の象徴のようだ。
長年「生命力」について探求し続けて来た私としては、ただ感嘆しているだけで終わらせずに、この現象を成り立たせている条件についても直観力を働かせつつ探求して行きたいと思う。(D)
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