4.神聖不可侵、寂しい貴女
タイトルは昔、コミケに生モノ女体化アンソロで寄稿した小説のタイトル。
例の恋に発展しそうだった男性と決別してから、私は昼夜関係なく寝て寝て、トイレに起きてプロテインを飲んで煙草を吸ってまた寝て起きて長編漫画をぼーっと読んで没入してるうちにまた寝て起きたら日付が変わりそうだから取り敢えず薬を飲んでまた寝てトイレに起きてと、なんとか生きていた。
生きていたと言うか、死んでないだけの「有る」だけだった。
いい加減、恋愛云々ではない部分で苦しい悲しい悔しいと、あと怒り。これをどうにかコントロールしたかった。
いつぞや出会い系で男を漁りまくって消費しまくってた時の繋がりで、数人から連絡が来たが、風の噂なんてないはずなのに皆揃いも揃ってまぁタイミング、と思ったが、そういう人間関係のサイクルなのだろうか。世間的にもそういう時期なのだろうか。
「今は女性としてというか、私を消費されたくない」
初対面ではない人に、今の私の全裸と心の深部に触れられたくなかった。
逆に、下心が前面に出過ぎてる前心も、下心さえ全く無い時々連絡が来ては私のあけすけな性体験を聞くのが好きな男友達と飲みに行った。
マジで健全な飲み。設定で「すーぐホテルとか言い出しますよ僕」とか言う彼はつくづく本当に、私を楽しませて程よく飲ませてくれた。
そこに女性への、「私」への敬意を感じて心地良かった。
初めてのアミューズメントバーでの初めてのダーツ対戦。
トランプで目の前で披露してくれるマジックの数々。
「あなた無職でしょうが、お金出します」と言っていた通りの全奢り。
奢られると何かを提供しなくてはならなくなるかもという疑心暗鬼など微塵も必要がない敬意への安心感。
きっと彼はイケメンの部類だし、だからこそ、至ってノーマルで至ってお酒だけダーツだけで満足で、女性性を消費する必要もない人なんだろう。
彼女が居なくても楽しいし、居たらそれで楽しいし、今は未だ楽しいから、まぁ。としか言わなかったけど、ああ、いいなぁ。と思った。
恋愛に承認欲求が絡んでない人生。
だからこその敬意。
パリピみたいな画像アイコンにしてるくせにお堅い職業してて、何かとは言わず問えば「駆け出しのYouTuber」と言う知性。
こんな人に恋ができたら。
こんな人に愛されたら。
いつまでも私の恋愛には承認欲求が絡みつく。
恋人に重きを置くのは恋愛至上主義ふわふわお花ガールみたいで嫌悪対象、と私はそんな人を下に思っていたのにも関わらず、立派に私はそれだった。
理解してくれる友人も居る、偏見なく前心もなく下心もなく飲んでくれる人がいる。
それでもただ「恋人」という椅子に座りたがり、座って欲しがるのは失礼なのだろうか。
自分でも厄介でややこしいから手に負えない。
ひとパック970円で堂々と並べられているのに手に取られないあのスーパーの苺のようだなって思って、そんなに瑞々しくもないか、とメディヒールのパックを貼った。
口に投げ入れるのはファミマの冷凍苺である。
世の中の人類全てが感じる理不尽を打ち消し「ご自愛力」を普及するために活動します、この瀕死の体で。東西南北行ってやる!講演だったしてやる!サポートお願いします。