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素敵な短編小説

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#超短編小説

花屋

『花屋』と呼ばれるバーテンに1人の男が客で来ていた。

その男は色落ちしたスーツを着て、見るからに冴えないサラリーマンだった。

動画が止まったように無表情のその男は、頬杖をつき、ひたすら強い度数のカクテルを飲んでいたが、

やがて大きなため息をつきバーテンダーに話しかけた。

「なぁ、兄さん。俺はもう何年も笑ってないんだよ。

それどころか泣きもしないんだ。感情なんて無駄なものが、どうやら消えち

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