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酔えば 一瞬をとわにみたてた by凍狂

あれからずっと、ライブハウスは避けていたんです。骨の中に音楽が流れているような年長者たちは、素敵な大人だと感じていたけれど、自分には理解できない瞬間ばかりで。
だから、バンドマンとかバンギャとか、そんな言葉で線を引いていたのかもしれない。

若い頃とは環境も変わって、ふつうとか日常とか、有難いもんは近くなったはずなのに、自分の事はもっと分からなくなって。でもきっとそういうもんなんだろうって思ってた。
子どもが3歳になった頃、まるで人生をやり直してるみたいな感覚になった。とはいえ、新しい事に挑戦するバイタリティなどは微塵も無く、何となく今が無限ではないこと、愛する黒助(美しすぎる優しすぎる可愛すぎるコミカル黒猫)との残り時間を事実として考えられる位に。
だから少しづつ、直感直感と騒いでいた自分も、少しは大人になれたと思っていたのに。

我慢できなかったんだよな。
取り憑かれたように買い漁ったCDで充分だったはずなのに。
コロナ禍のロフトは諦められたのに。
今まで通りの自分で、魅力を感じ過ぎる世界には近付かない。自分の何かが外れてしまいそうな催し物は、ぐっと我慢で触わらない。
で、居られたはずなのに。

ゆきえと出会ったライトハウスだよ!
僅かな青春がつまった、天井の高い、スモークのきれいな、水戸ライトハウスだって。
しかも、現代音楽無知な自分でも知ってる人間椅子との対バンだよ?
しかもこのタイミングで?
手を出しても取れなかったのに?
もう生きてるご褒美としか言いようが無い。

そして、案の定。
もう3日も経つのに、魔性の脳内分泌物は脳を駆け回り続け、私の脳は、未だ刺激を謳歌しているのです。
そして、来月の郡山行きを決心してしまったのです。あぁ、その日は親子給食、しかも私は集金係り。けれど、キャンセルする気など毛頭無いのです。
素直な自分とは、こういうものだったのか。
次、はいつあるか分からない。
明日は何が起こるか分からないのですから。

八十八ヶ所巡礼の皆様の御身が健やかであることを願い、家族への礼を忘れずに暮らしたいと思います。