10/13内閣官房副長官って?
学術会議の問題で名前が上がった杉田和博内閣官房副長官。官僚の世界が好きなので、最近ニュースで内閣官房副長官が取り上げられてるのが地味に嬉しいです。
今日は学術会議任命拒否の問題は全部スルーして内閣官房副長官についてだけ書きました。
そもそも内閣官房副長官とは
単純にいえば内閣官房長官の部下です。内閣官房長官は閣僚なので、内閣官房長官を大臣とすれば内閣官房副長官は副大臣という訳です。
内閣官房副長官は3人います。内訳は政務担当2人、事務担当1人。まず政務担当は基本的に国会議員から選ばれます。内閣の中枢を担う副大臣級ポストとして、政治家にとっても重要なポストです。安倍元首相の側近として知られる萩生田光一文部科学大臣も2015年には内閣官房副長官(政務担当)を務めていました。『シン・ゴジラ』の矢口蘭堂もその内閣官房副長官(政務担当)の一人です。
次に事務担当の内閣官房副長官ですが、これは官僚の指定席です。他省庁の副大臣等とは違い、政治家からは選ばれず、官僚から選ばれます。ここがミソです。
国家公務員総合職試験(旧一種、上級)を突破し、省庁に入省した優秀な官僚の出世レースのゴールは事務次官です。事務次官は省庁における事務方のトップで、省内の各局長を束ねる官僚のトップでもあります。無論省庁のトップは大臣、副大臣、政務官ですが、彼らは基本的に政治家から選ばれるの官僚のまま出世して登ることはできない世界です。
しかし次官がトップの官僚の世界で、唯一登ることができるその上の副大臣級ポストが内閣官房副長官(事務担当)です。今話題の杉田和博氏はこの事務担当の内閣官房副長官なのです。
※訂正 内閣法制局長官、宮内庁長官、一部の特命全権大使なども給与上は副大臣級であり、官僚から登用される。
事務担当の内閣官房副長官は内閣における事務方のトップと言われおり、各省庁を束ねる次官の上に立つ『真の官僚のトップ』です。正に裏ボスという感じ。実際に各省庁の次官が集まって会議をする次官連絡会議の際には内閣官房副長官(事務担当)がその取りまとめをします。
杉田和博内閣官房副長官は警察官僚出身で、1966年警察庁入庁、神奈川県警本部長、警察庁警備局長を歴任し、日本版CIAとも呼ばれる内閣情報調査室のトップである内閣情報調査室長(→内閣情報官)を務めました。ざっくりみると公安畑のエリートという感じです。
しかし杉田和博氏は次官出身でないという特徴があります。歴代の内閣官房副長官(事務担当)は各省庁の次官たちをまとめる立場上、やはり次官経験者から選ばれる傾向にありました。杉田和博氏のように警察官僚である場合、次官ポストは警察庁長官です。警察庁長官から内閣官房副長官(事務担当)に登る例はかつてもありました。有名所では後藤田正晴氏(後に衆議院議員、内閣官房長官、副総理など歴任)、漆間巌氏です。
ですが、次官に相当するポストは経験されています。それが内閣情報官です。杉田和博氏が警察庁警備局長の後に務めた日本版CIA内閣情報調査室長ですが、杉田和博氏が在任中である2001年に内閣情報官として役職名が変わりました。その変化の際、最後の内閣情報調査室長にして最初の内閣情報官だったのが杉田和博氏であります。そして杉田和博氏が内閣情報調査室長に在任中の1998年には、内閣情報調査室長が局長級の一般職から次官級の特別職に格上げされているのです。
そんな杉田和博氏ですが老齢79歳で、実は2012年からなんと現在まで7年以上内閣官房副長官を務めており、安倍政権では菅官房長官と同じくらいの長老です。2017年からは、各省庁の審議官級以上の人事を統括して策定する内閣人事局長を兼務するなど、官僚の世界で随一の権力者であることが分かります。