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SDGs徒然

(2,694文字)  高校教員の知人から聞くところによると、SDGsの取り組みが苛烈化する一方で、年々残り時間が短くなる中で生徒側のモチベーションの維持が難しくなっているという。それはそうだろう。10年後、と言われれば中高生の時間感覚であればあれこれ夢想する余裕もまだあるが、これが2年後、なんかになってしまえば中高生といえども、この授業が空理空論を唱えさせられているのではないか、という疑問は濃厚になるどころではなく確信に変わる。  SDGsは京都議定書のような特定の物質の国

    • 短い平成

       1994年頃に物心のついた自分は、ベルリンの壁もソ連もバブル経済も55年体制も、世の中の大概が崩壊したっぽい後の世界しか知らぬままに育ってきて、大学に入った翌年にもういっちょ安全神話が崩壊するまではおおむね同じ世界観のなかで暮らしてきたように思う。  こないだブラビが一夜限りの再結成だとかYahoo記事で見かけて、小学校1年生の時の記憶が蘇ってきた。そういえば学童クラブの小2,小3女子達が日々『スタミナ』と『タイミング』をCDコンポで流しながらその振り付けを練習していて、

      • ウィットネス アス !

        (752文字)  ケツ持ちを、ウィットネスと言い換えてみようと思う。 ケツを持つような直接性はいらなくても、見届けているということの表現こそが責任の表明である。  責任を、レスポンシビリティーと言ってみてはどうか。責めを受ける任、ではなく応答能力,応答可能性の問題になる。  ハラを切ったり土下座をするはるか以前に、常に状況を解説できるようにすること、そのために状況を定量化して認識しなければならない。  定量化が自己目的化してはならないので、簡単な線引きをして関数に突っ込

        • 久しぶりにアートギャラリー行った

          (2,194文字)  現代美術、というある程度枠を想像できるスタイルの中で、その表現は、耽美や問いかけや構成の妙であること以上に政治的アジテーションである場合がちらほらある。  概してよく言えばリベラルな、直接的に言えば左翼的な傾向がそのほとんどであるけど、では保守的で右翼的で国粋的で愛国的な表現はなぜそのスタイルをとらないのか。取れないのか。  取ったとしても、おそらくそれはソ連における体制補完パンクバンドのような(ものがあったという話を目にしたことがある。ロックだったか

          2022/8/13

          (113文字)  見慣れたはずの新幹線の車窓に流れる秒速の光景が、のそのそと巡回する車掌と重なり、突然この弾丸列車の空間が浮かび上がる。  これが未来か!未来だったのか!と何故か感激をしてしまうのだ。  このインフラもまた、いつまで保たれるのだろうか。

          *タブロイド例文 エスキス

          先月女優Bと泥沼離婚が報じられたばかりのタレントCとの熱愛発覚でファン大号泣のアイドルA、その翌日に急転直下の電撃婚という芸能界激震の事態に。騒動の一部始終を本紙に激白するも、その壮絶な半生と感動秘話に記者の涙腺崩壊。。デビュー時の珍事件から芸能界極秘情報暴露で大炎上の過去まで…集中砲火を救った恩人と運命の再会。爆笑結婚会見の真相も語り尽くす。

          *タブロイド例文 エスキス

          ルネサンス式江戸弁と超地域的下町マルチチュード(1)

          (2,256文字)  福岡にきてはや2年。引っ越すことが決まってから、前の職場関係の知人で九州人の妻を持つ人に、九州弁はうつりやすいですよ、と言われていた。果たしてどうであろうか、とその点について被験者気分で移住をしたのだが、どっこい、似非江戸弁が強くなるという病症を呈したのだ。  似非江戸弁とは何か。これは東京の旧東京市15区外東部の非旧江戸地帯の人間によって故意に話されるルネサンス式江戸弁のことである。  そもそも、自分が殊更そうであるのだが東京及び東京圏の人間は二重

          ルネサンス式江戸弁と超地域的下町マルチチュード(1)

          北辺から北辺へ

          (1,528文字)  知床の、ヒグマを観光する船からの映像がニュースで流れている。国内北辺域にある秘境を沿岸より観光できるサービスがあるとの由。  つい先日そこで消息を絶った船があり、現在11名のかたの遺体が回収されている。他の方々についても、その生死は不明だが、海流や潮流によって遠くに行ってしまっているかもしれず、捜索は難航しているとの由。そこで政府は捜査範囲が北方領土周辺にまで拡大する可能性を見越してロシアとの調整を進めているとの由。  ことが統治の圏外にことが及びか

          北辺から北辺へ

          どうすれば弔えるのか

          (856文字)  振り返ると、京アニの時もnoteを書いていたhttps://note.com/kukikeikou/n/na7fcb1534ab8  先週の北新地の事件は、それを凌駕するおぞましさを感じる。無差別殺人である以上に、一定の人を確実に殺害するということへの決意が、報道によって次々に明らかになるにつれ、である。  どんな突然の死もむごいし、それが人為による場合の絶望的な不条理の感覚はなおひどく、それがランダムに選ばれたとなるといよいよ地獄である。その上で、突然

          どうすれば弔えるのか

          〜的身体

          (1,019文字)  昔から共同的身体について思いをめぐらせたりしていて、同人誌にて民族ベースの縦断的身体の共同性についてのコラムを書いた時には、性別による横断的身体の共同性を引き合いに出して書き出してみていた。しかしそれから5年ほど経って30歳を迎えた昨今、もっと素朴な世代的身体の共同性を全く見落としていたことに気がついた。見落としていたことに気がついた、というよりは、世代的身体の共同性そのものに気づいた。  これは上述の2つの共同性よりももっと間近の感覚から生起する共同

          (3,104文字)  設計図懐疑主義、とでもいってしまおうか。  設計懐疑ではなく、設計図不信、設計図懐疑主義、とにかく体感としては設計"図"に対する態度にまつわる話である。たぶん。  目下、僕が身をおいている会社は、とある壮年巨匠の手による大きな公共施設の木工事に、施工者として携わっている。僕も大工ではないのだけれど大工工事や作業外作業のお手伝いに何度か現場に入っている。  部材単品の持つ直角意外には一切直角のない、果てなきうねうねの外観を備えたコンピューターありきの

          10/27

          「人間、人間だなぁ」ということばが咄嗟に出てきた。去る日のことだけど、とある現場で知り合いの大工さんが落っこちで怪我をしたという報せを聞いた。一瞬ぎょっとしたが、幸い骨折で済んだようだ。 なんで、中堅手練のあの人が、と思ったけども、どうも前夜に同じ現場の職人さんと深酒をしたようである。連日の作業で、ちょっとゆるみが出たのかも知れない。 報せをくれた人はその現場の指揮をとっていて、繰り出すところにも居合わせたのだが、2人連れで飲みにいくのを見てちょっとよくない気配がしたよう

          嗚呼コストコスト

          (1,022文字)  諸コストの都合で取り残されたり放置された部品や部分、みたいなものの情緒ってモノがあり、それが結構美しい感じだったりするけど、それを乗り越える景観的ビジョンやフィロソフィーが無かった、と考えてみてもなお美しいか(まぁ、美しい)。  生活、生活の経済...の中にあっては絶対に景観や仕上がりを徹底も網羅もできない場面がいくらでも生じる。改装工事の収支と、労働時間の勘定をしているとなおさら肌身で感じてしまう。  時にそれらを採算度外視でドッと塗り込めていく出

          嗚呼コストコスト

          優等消費者主義

          (1,338文字)  豊かさを失うことについて、鈍感か冷淡な奴は、そもそも豊かさというものを見いだせていないだけでは? とか、よくある逆張り的な野次が出かかって結局ツンのめって、タイピングをする。  千葉雅也が近頃よく言っている話もそうだし、宮台真司も別の言い方で繰り返し言っている。  僕の中の"平成性"は「とにかくおじさんが言っていることだしな...マユツバだ」とか言う。しかしまた僕の"20世紀性"は満腔の同意を示している。僕は後者を意識的に選択する。  両者とも(特

          優等消費者主義

          この頃思ってること

          (497文字)  頓知、出鱈目、法螺、冗談。これ等のいずれも、事実のだらしのない列挙あるいはゴシップの垂流しに勝る。ただし、当意即妙である限り。  どちらも、反復の反復を反復する日常に於いては、血沸き肉踊る(!)営みである。  後者の、”中身が存在する”という点が、どうも醜悪なのである。貧者の思想にあるまじき振る舞いなのである。持たざる者が持つ風を装うということだ。(もちろん、中身のある話だって、本人の自省・咀嚼・感動を経由し、なおかつ話すにあたって提起の姿勢・応答の期待

          この頃思ってること

          "今週思ったこと"

            (3,904文字)  TLに、以下の動画に言及したツイートが回ってきた。https://www.youtube.com/watch?v=EsZbWAqU8xY  "この声質でScotch Snaps的フローで「たまらん」「進め」「正直に言え」って言葉のチョイスと、バースの歌謡曲/J-POP的なバイブが混ざってるの発明"とのこと。  近頃流行りの「SAY SO」という曲をインドネシアのYoutuber?の女の子が日本語カバーしてるというものらしい。  あ、なんと可愛

          "今週思ったこと"