見出し画像

上がるか、上がらないか、の話。

昇格するつもりはあるか。

昨年度の働きぶりを振り返り、上司からフィードバックを貰っていた最中、今後の話に及んだところで、上司から言われた一言。
正式にオファーされる前のサウンディングと言ったところだろう。
普通に考えれば、私の仕事ぶりが評価されているからこそ、上のポジションを与えようということだから、ありがたいし、めでたい話だろう。
多くの人は、そんなことを聞かれるまでもなく、受け入れるのかもしれない。
しかし、わざわざ上司がこんなことを聞くのには、訳がある。
以前から、私は「昇格したくない。」と、拒んでいたからだ。

そもそも、私は労働意欲が、そんなに高い方ではない。
働かなくていいなら、働きたくない。
出来れば働かずに生きていきたいが、そういうわけにもいかず、稼ぎを得なければならないから、仕方なしにやっているだけだ。
今の仕事も、なりたくてなったわけでもなく、たまたま紹介されたのがそこで、腰掛のつもりで、その間にもっと良い条件の仕事を探そうとしていたぐらいだったが、これまた、たまたまそこでの業務を卒なくこなしてしまい、その時々の上司から重宝がられた結果、ずるずると惰性的に今もいる。
今の職場に大きな不満もないけれど、すごくいい!という前向きな理由よりも、転職活動が面倒くさいからといった後ろ向きな理由の方が大きい。

もちろん、仕事だし、それでお金を貰っているプロフェッショナルである以上、いい加減にやるつもりはない。
常に自分が出せる最高のクオリティで対応することだけは、ポリシーみたいに思ってやってはいるが、決して、今の仕事が好きだとか、やりたいとか、もっと偉くなりたいとか、人の上に立ちたいとか、組織の成長をもたらしたいとか、高い視点は全くない。
向上心は、ほぼゼロである。
仕事内容も、正直に言えば、万年、同じでも構わない。
多少、熟練していくところもあるだろうから、その点を昇給に反映してもらって、そこそこのお給料をいただければいいなと、自分の都合の良いように調子よく思っていた。
だがしかし、そろそろそれにも限界が来るらしく、今のポジションのままでは、昇給幅にも影響が出てくるらしい。
言い換えれば、昇給していくためには、昇格しなければ無理だということだ。

いっそのこと昇格して、給料が上がるなら、いいではないか。
そういう考え方もあるだろうが、昇格することによって、得るものもあれば、失うものもあるだろう。
給料は増える、権限も増える、もしかしたら部下も増えるかもしれない。
しかし、その分、責任も増えるだろうし、そのポジションにふさわしい仕事ぶりも求められるだろう。
昇格の代わりに、犠牲になることは何なのだ。
時間か。
心理的な安定か。
私にとっては、現状の仕事、ポジションのまま、給料だけ少しずつ上がってく状況が一番都合が良かった。
これまではそのような状況も許されたし、その都合の良い働き方と引き換えてまで、お金や権限が欲しいわけでもないと思って、これまでも何回か、昇格の話が出るたびに、やんわりと断ってきた。
上司は、昇格しても、業務量が増えるわけでもないし、残業してほしいわけでもないし、今のような仕事の仕方で良いとは言う。
本当だろうか。
今までと全く同じと言うわけにもいかないのではないか。
しかし、ここでまた昇格を拒めば、私の給料はもう上がらない。
それで、今でさえ低空飛行なモチベーションを保ち続けることができるのか。

以前、TBSアナウンサーの安住さんが、朝の帯番組を担当するにあたり、やりたくてやってるのではないと言いつつも、「サラリーマンすごろくの目が進んだということ」とも言っていたように思う。(社長との話とか、このあたりの詳しいことは、TBSラジオ「安住紳一郎の日曜天国」の過去放送分をどこかで探して聞いてください。)
すごろくだから、どの目に止まるかは、自分ではわからない。
私も、それに似たような感じと思ってよいだろうか。
組織で働く者としては、コンフォートゾーンにいることに甘んじてばかりもいられないし、組織の命に背くわけにもいかないのだろうし、それだけ自分の能力を買ってもらっているということでもあるだろう。
そして、自分の思い通りにも進まないものなのだろう。
私のサラリーマンすごろくの目も進んだということか。
安住さんは、やりたくてやっているわけでもないらしいが、月曜から木曜の朝、生放送の番組に出ている。
私も、やりたくてやってるわけでもないけど、なりたくてなるわけでもないけど、すごろくのマス目を進めてみるというのも、アリなのかもしれない。

思い返せば、私の職業人生は、常にそんなことの繰り返しだった。
いつだって、やりたくなくても指示された方向へ進んできたではないか。
今回が、今までで一番、現状と行く末のギャップが大きいから悩んでしまったが、いつだって、とりあえず「波が来たときは、とりあえず乗ってみる。」とトライしてきたではないか。
しかも、大抵は、誰かに「その波に乗れ!」と言われたからだ。
上手く乗れるかどうかは、波に乗ってみてからわかるだろう。
案外、上手く行くかもしれない。
すっごい嫌で、狂いそうになった時には、辞めればいい。
それくらいの気持ちで考えても良いのだろうか。

今の感じだと、昇格する方向へ気持ちが傾き始めている。
来週、上司に話してみよう。
なんでそう思うようになったのかと、聞かれるかもしれない。
「安住さんのサラリーマンすごろくの話がきっかけで…。」とも言いづらいので、何か、他にそれっぽい理由も考えておいた方が良いかもしれない。

いいなと思ったら応援しよう!

垣 公華子
もしサポートをいただけるのでしたら、自身の心を潤すような音楽や映画などなど、エンターテイメントのコンテンツ購入に充てさせていただこうと思います。