062 キャロット倶楽部、再開します

東京都の新型コロナウイルス陽性者は、このところ500人を下回っていますが、緊急事態宣言は継続されるようです。

もうすぐ、ワクチンの接種が医療関係者から始まります。これで、少し風は変わるのかもしれませんね。

でも、それ以上に代えないといけないのは、我々のマインド。もう少し前向きな気持ちが必要なんじゃないかなぁ、と思っています。

確かに、今回の新型コロナウイルスは大変な影響を、想像以上に長く、広く世界中に与えています。でも、stay homeしている間だって、明日の準備はできるはず。そう思うんです。

このnoteの「028  築地に毎日40年通いました」にも書きましたが、ボクが尊敬してやまない栗原さんは、40年間毎日、築地市場に通って、魚屋を営んでいました。そのあと請われて、区の施設で月に一度、築地市場で魚を仕入れてきて、一皿百円で魚料理をふるまう「かぼちゃ倶楽部」を長年運営していました。

共通の友人の紹介で、ボクが彼に出会い、九条Tokyoという店がどこにできるのかも決まっていないというのに、海外からの旅行客向けに、朝一緒に築地市場に行って魚を選び、店に戻って魚料理を一緒につくる、日本料理体験の講師を引き受けてもらったことは既に書きました。

でも、ボクがやりたかったのは、本当は海外旅行客向けの料理体験ではなく、店で使う国産の無農薬やオーガニック食材を仕入れる際、常連客にも一緒に注文してもらう「居酒屋の共同購入」。

これなら、
①配送は1か所ですむので環境にもやさしいし、
②本物を作る生産者の購入拡大にもつがるし、
③消費者も1本、1個から手軽に購入できるし、
④お店にとっても常連客に来店してもらえる機会が増える
と四方良し。

地球の未来にとって至宝(四方)のようなプロジェクトでしょ。

この「居酒屋版共同購入」を、ボクはキャロット倶楽部と名付けました。それは、栗原さんがやっていたボランティア活動が「かぼちゃ倶楽部」だったからです。

かぼちゃに、にんじん。近いでしょ。えっ、野菜ってだけだって?

んなぁ〜。彼に教えられたって感じがして、個人的には気に入っています。

それに、キャロット(にんじん)って、人参って書くから、人が参加するってことでしょ。誰も参加しない倶楽部、活動ってありえないですから。人参嫌いはいても、クラブ嫌いはいない。そっちのクラブ、じゃないですよー。

コロナ騒動が起きる前には、微々たるものですが、その倶楽部は動き始めていたんですよ。うちの店で食べた野菜が美味しいからと言って、次来るときに同じものがほしいとか、別のイベントでいらっしゃったお客さんが、野菜も買って帰れると知って買っていかれたり。。。

あれから、もう1年以上が過ぎました。

緊急事態宣言は継続されましたが、やれることはやろう。今から始められることを始めて、明日を迎える準備を始めないと。青少年や若い女性の自殺の多さや、内向きになっているように思える若い人たちの表情を想うと、そう思うんです。

一般の人にワクチンが行き渡るのは早くて9月。もしかしたら年内いっぱいかかるかも。それまで、あと1年近く、ただ家に籠ってじっとしているか、心だけは明日に向けて準備を始めるか。

それって、大きく違うと思うんです。毎日が前向きに思えるかどうか。死ぬとき仰向きかどうかなんてどうでもいいけど、生きているときは前向きでいたい。足は、いつだって前を向いています。っていうか、足が向いているほうが、前なんだから。

と思っていたら、うちの店で付き合っている生産者のほとんどが露地栽培。この時期、出荷できる野菜がほとんどない。。。

そりゃそうですね。

「話食マルシェ」で先日、リモート出演してもらった埼玉県寄居町の井伊さんは、地温を上げるためのビニールでの被覆もしていません。

「無農薬はわかるけど、どうして、無ビニールなの?」

「景観を損ねるし、ゴミを増やすだけですから」

そうか~。

彼の作る野菜の美味しいことといったら。でも、注文できるのは、5月まで待たないといけません。うーん。。。

自然と対話しながら生きるって、こういうことですよね。ボクの80㎡の畑では、細ーくて短い大根が収穫できますが、これでは農家、生産者とは言えません。

ボクの畑では、露地栽培なのに、なぜこの時期に収穫できるかって?

それは虫嫌いだから、完全に虫がいなくなった11月にタネを蒔いたからです。ボクもビニールは使っていません。これは、面倒だからですが。

農水省の2019年のレポート(有機農業をめぐる事情)によると、有機農業の耕作面積「倍増」を目指しているそうです。凄ーい、と思ったら、それでも1%。つまり、現状では、0.5%(2万3千ha)ってことだそうです。

さらに数字が続きますが、ほとんどすべて「有機」を購入している者の割合は、わずか1.68%。市場にして、1,850億円。これは、2011年の我が国の農林水産物・食品の流通・加工品のうち国内で生産された9兆2千億円に輸入品を加えた10兆5千億円の食用農林水産物の何%でしょうか。気の遠くなる計算が必要ですね。

さらにさらに、流通・加工の各段階で加工経費、商業マージン、運賃、調理サービス代等が付加され、最終的に食品市場は76兆3千億円もあるのに。。。

いや、数字なんて忘れて、首をうーんと長くして待ちましょう。美味しいものが、毎日あるほうがおかしいわけで。

そうそう、春を待てばいいんだから。

そうだ、その間に、ボクはキャロット倶楽部の組織作りだぁ~。

明るくは語れぬ地球を手渡して夕餉に選ぶ有機人参 (俵万智)



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