親友と呼べる人とは
NHK朝の連続テレビ小説の「虎に翼」に
登場する主人公の小学生の娘に、友だちはいない。
娘は声をかけてくれた友だちに、
先生に言われたからといって
無理に一緒にいなくていいよ
と言った。
友だちがいて当たり前
だとか
友だちはたくさんいるほうがいい
とか
なんとなく一般的にそう思われているけれど、
当たり障りのない表面的なつきあいをする友だちとか
世間体だったり、
学校で人に変に思われないためだけの友だちは
友だちがいると言えるだろうか。
私も小学校にあがったとき、
友だちがいなかった。
いえ、保育園のころから
いなかったのかもしれない。
小学校にあがって、
友だちという人間関係を築くことができなかった。
休みのときは、
たいてい給食を最後まで食べていて、
毎日ボルシチとか見たこともない食べ物が出てくる給食が
とってもとっても苦手だった。
普通の煮物でいいのに、
そういうありふれたものよりも
変わったものが多かったからだ。
ドラマでも主人公が娘に言っていた。
自分から声をかければ、友だちになれるかもしれないよと。
声をかけたいとも思わないひとに
無理に仲よくなる必要があるのだろうか。
ときっと娘は思っていたにちがいない。
私はとても傲慢だったので、
私からなんで声をかけないといけないのかと
思っていたから、
声をかけてくれるのを待っている人に
友だちができるわけもなかった。
それが、2年生になったとき
転校生がやってきた。
とてもかわいくて、はつらつとしていて、
おしゃれで、バレエを習っていて、
日本人なのに髪の毛が栗色のように茶色くて、
とても洗練された女の子だった。
なぜかその子が私に興味を持ってくれて、
いつも私に声をかけてくれるようになった。
私は声をかけてくれるその転校生と
仲よくなっていった。
それから何十年も経った今、
遠く離れて暮らしていても
連絡を取り合っていて、
今年の春、推しメンの舞台があるとかで
私の家に泊まりに来てくれた。
そのとき、驚いたことがあった。
もし私が住んでいるところで災害があれば、
どこまで行けるかわからないけれど
車で行けるところまで私を助けに来てくれようと
考えてくれていることを知ったからだ。
私の身の上に何かあれば
駆けつけようとしてくれることを知って驚いた。
私と彼女は、頻繁に連絡を取り合っているわけではない。
年に一、二度、連絡するぐらいで、
何年も、下手すると10年以上逢わなかったときも
これまであったかもしれない。
その私のことを、
そんなふうに思ってくれるなんて感動した。
彼女が言った。
はじめて逢ったときのことをよく覚えていると。
直感で、私と仲よくなりたいと思ったと。
でも、私はガードがかたかった。
私はおとなしかったし、内弁慶だった。
あんまりなんでも話さない私と、
明るくて友だちがいっぱいいてあけっぴろげな彼女は
正反対のようにみえたけれど、
何かお互いに惹かれあうものがあったのだろう。
それから小学校を卒業するまで同じクラスだったし、
彼女が中学受験すると言ったから、
私も同じ中学校に行きたいと思って受験して
2人とも合格して、同じ中学校高校に行った。
いまの私があるのは、
彼女のおかげだといつも思っている。
友だちって、つくろうもおもってつくれるものでもなく、ほしいからといってすぐ手に入るものではない。
そんな親友と呼べる友だちが、
7歳から今までつながっていてくれることに
心から感謝している。
天狼院書店で親友について書いた記事