ノゾクダイス「創作の轍③デザイン」
金沢小立野ゲームのとらです。
2015年ころにボードゲームに出会い
2020年にボードゲームの創作をはじめ、
ゲームマーケット2021大阪で「クラクラップ!」を初頒布しました。
このnoteでは2作目となる「ノゾクダイス」の創作の過程を、
私の創作したボードゲームに興味を持っていただいた方と
何かを新たに生み出そうとしている方へ向けて伝えたいと思っています。
③ではデザインと到達できない領域について書いてみたいと思います。
世界観とコンポーネントが占めるウエイト
ボードゲームを購入するときのチェックポイントは人によって結構違うように感じます。私はゲームの面白さはもちろんですが、ボードゲームの持つ世界観やコンポーネントに惹かれるかどうかは大変重要なファクターです。もしかしたら、その要素の方がゲームとしての面白さに勝るときもあるかもしれません。個人的な意見であることを何度も強調しながら書きますが、同じボードゲームを何度も何度もリプレイする様な環境ではないため(貴重なプレイ機会を共に過ごせる仲間がいることには感謝です)、家に迎え入れるボードゲームは遊びたいボードゲームであると同時に所持したいボードゲームでもあるのです。
自身で創作するゲームに関しても、世界観とコンポーネントは妥協したくない部分です。棚に置いてワクワクするボードゲームが創りたいです。それは、プレイを想像してのワクワクと世界観やコンポーネントに対するワクワク両方の意味においてです。
ノゾクダイスの世界観とデザイン
ノゾクダイスは「見習い魔法使いが魔法を生むダイスを求めて魔法の洞窟を訪れる」というファンタジーテイストの世界観を持っています。それによりダイスをアクリル製のものにするという事はすぐに決まりました。もう一つのキーコンポーネントであるカードは魔法陣的な雰囲気がいいのではと考えて、仮にデザインしてみました。
魔法系のフリー素材は手に入れることができたので、素人にしてはいい感じのデザインができたのではないかと思っていました。しかし、何か違和感があるのです。「見習い魔法使い」という世界感からずれてるのではという違和感があるのです。
その人でしか生み出せないモノ
自分の中にあるゲームの世界観はイメージできいるのに、いざ手を動かすとそのイメージに近づくことができないという、このどうにもならない状況を打破するのは難しいと思い、再びプロの手を借りることにしました。依頼したのは、前作「クラクラップ!」でもアートワークを担当していただいた「別府さいさん」です。
別府さいさんには打ち合わせで私の思っているゲームの世界観を聞いていただき、箱絵のイメージも送らせてもらいました。数日後に私は「到達できない領域ってあるよね」とプロの仕事に感動することになります。
左が私が送った箱絵のイメージです。この左のイメージから右の箱絵が生まれるって想像できるでしょうか。全く違うものだけど伝えたかったイメージはドンピシャであるという素晴らしさ。細かいモチーフにも丁寧な世界観の描写があり、どこを見ても楽しめる最高の箱絵です。例えば「人数、年齢、時間」アイコンがノゾクにかけて目になってたりします。もう一つ嬉しかったのは、絵の雰囲気が「別府さいさん」らしさを感じられるタッチのものだったことです。唯一無二のモノになったと思っています。
世界感はプレイ中に感じたい
当初カードデザインで挫折していたのですが、そうなってくるとデザインがプレイアビリティの向上的な方向に寄せたくなってきます。シンプルでわかりやすい雰囲気を重視して考えていました。
このカードの案をスタイリッシュな感じにアレンジしていただけるだろうと思い「別府さいさん」に送ったところ、これまた予想外のカードデザインとなって帰ってきました。
プレイアビリティに加え、世界観ががっつりのったデザインとなっていました。情報量の密度は高いのに、どこかシュッとしている、こんな提案がデザインなのだろうと改めて感じました。そしてこれにより見習い魔法使いの世界観を感じながらプレイすることができるカードとなりました。
デザインの力
ノゾクダイスの制作過程において、改めてデザインの力を思い知らされることになりました。そして、自分の頭で描けていても実際に具現化できないモノも、自分以外の表現者によって想像を超えた具体的なモノとして創造されうることを知れたのは新鮮な驚きでした。
ノゾクダイスの世界観をぜひコンポーネントを手に取っていただき感じていただければと思います。
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