ボードゲームデザインチェックリストをノゾクダイスでもやってみた
Studio GGのShun (@nannann2002)さんが「ボードゲームデザインチェックリスト」の記事の中で「つまらない」をなくすディベロップメントの確認ポイントをチェックリストにして示されてます。
前作「クラクラップ!」でもチェックしてみたのですが、「ノゾクダイス」もチェックしてみます。(注意:駆け足で長文です。)
「ノゾクダイス」についてはゲムマ公式にてルール等を公開中です。あるていどゲームの内容がわかっている前提で書いてます。というか自分自身の為に書いてます。
コンセプト
システムは、手番時カードプレイでダイスピックとダイスの目を変えるアクションの実行、他プレイヤーの手番では条件によりカードプレイで目を変えるアクションを実行できる。最終得点はゾロ目のダイスの目の合計。
カードプレイで複数のアクションを実行するゲームは数多いですが、ダイスの目をコントロールすることに焦点を当てたゲームはなさそうです。(当然私の知る範囲ではという認識です。)
ゾロ目を創ることを目的とするゲームとしては「王への請願」がありますが、ダイスロールしてからのダイス目を変えるアクションとなりダイスロールの運が結構影響するゲームでそこが面白いところでもあります。「ノゾクダイス」は「王への請願」のようなダイナミックさはなく、じりじりとダイス目をコントロールしていく、アートワークの可愛さに反して厳しい選択を迫られるゲームです。ダイスゲームの運要素が苦手な方が感じるコントロールできない感は大分薄く、かなり先まで計画的にカードプレイを要求されます。
カードプレイでダイスピックや目のコントロールをしながら、ゾロ目を集めるゲーム。
アートワークで買い。
ダイスをのぞく新しいプレイ感で買い。
アートとダイスの使い方の唯一無二感。
ルール
ゲームの目的は「大きい目のゾロ目を集めること」ストレート。
ダイスをのぞくルールは、ダイスの側面を覗くことはほとんどしない行動なので直感的ではないかもしれません。
取り除ける要素は極力取り除きましたが、余計な感じに見えるルールもあります。例を挙げた上で必要であることを言及します。ラウンド開始時のダイスふりなおしは、これがないと硬直状態となることやダイスピック時のどの目をピックするかをより悩ませる一因にしたいという意図があります。自色のダイスをピック出来ないのは、タイブレイクになりがちなゲームなので自色が多い方が勝ちという一段階先を見据えたプレイングを要求したかったためです。
このゲームではプレイしたカードは手札に戻りません。カード回収のタイミングは、手札がなくなった時と手番時にカードが出せなくなった時だけです。この処理を統合したかったのですが、手札がなくなった時に良いボーナス、カードが出せなくなった時にはおまけのボーナスというように強弱をつけたかったので統合はしませんでした。
カードの書かれたアクションは7種類。プレイヤーごとにサマリー(リファレンスカード)もあり、十分許容できるものだと思っています。
Qなぜカードを出してダイスを取るのか?
Aカードは見習い魔法使いの「ダイス獲得能力」に相当し、見習い魔法使いはこの能力によって洞窟に埋め込まれている魔力を生むダイスを獲得します。
Qなぜダイスを獲得後にダイスを目を変えることができるのか?
Aダイスには魔力が封じ込められているのですが、見習い魔法使いはその魔力を完全には抑えきれず、勝手に他のダイスにその魔力の影響が及んでしまいます。
Qなぜ他プレイヤーのダイス獲得時にノゾクアクションができるのか?
A抑えきれずにダイスから漏れ出た魔力は、他プレイヤーにも影響を及ぼすからです。ただし漏れ出た魔力をうまくキャッチしないとダイスの目は変化しません。うまくキャッチするためには対応するカード(獲得能力)が必要になります。
Qなぜ見習い魔法使いは洞窟に入る前からダイスを持っているのですか?
Aこの世界の魔法使いは常に魔力を生むダイスを持っています。ゲームでの見習い魔法使いはそのダイスが残り2つになってしまったので洞窟に新たに獲得しに来たという事です。
Qなぜ一番多くゾロ目をつくったプレイヤーに2点はいるのですか?
Aえーっと。ちょうどいい感じだからです。
Qプレイヤー人数ごとに使用するダイスの数が違うのはなぜ?
A得点にも関係するのですが(ひとつ前の質問にも関係することで、テーマ関係なくなっています)、このゲームのゴールラインが7~5個のゾロ目だからです。これ以上ダイスが多くなると6を集めることが強くなりすぎるからです。追加要素を入れることで点数ラインを上げる(ダイスの数を増やす)こともあり得ますが、それは拡張を出すことになるなら検討したいですね。
手番で出来ることはカードを出してダイスピックとダイスコントロールです。カードの種類はダイス目の6種類、中央にあるダイスの目によっては必ず使えるとは言えません。カードが決まるとアクションは必ず実行しなければならない2アクションとなります。アクションのサマリー(リファレンスカード)はプレイヤーごとに用意されています。
ノゾクアクションはあまりないアクションのためわかりにくいかもしれません、また先述のカード回収の際の処理は少し難しいかもしれません。
ノゾクダイス「動画にお邪魔しました」で間違いやすいルールとして掲載しています。反省。
テーマ
見習い魔法使いが魔力を生むダイスを獲得するために洞窟に行くというテーマはありふれてるかもしれませんね。
テーマとルールの整合性は最も気を使っていたところです。
ゾロ目はダイスの中では最も魅力的な状態だと個人的に思っています。
選択
実は一手目の定石がないとは言い切れないです。6を獲得してダイス降り直しが(状況にもよりますが)最もベターな気がします。ただ、それをしたところで勝利が確定したり、極端に有利になるわけではないです。
プレイに慣れてくると徐々に2手後3手後にどのようなダイス目になってたいかを考えるようになるゲームです。序盤の目先の一手では何もわからないです。
テーマ的に正しい行動は常にゾロ目をそろえるですが、それを間接的に最終的に目指せるかを選択していかなければなりません。「一手一手の中でゾロ目にすることを優先すると厳しい状況になってしまう」ことが理解できるとゲームに奥行きが出てくると思います。
基本的に連続して同じ手はできないため、反復は生じにくいです。
終盤はある程度優劣がついた状況になり、急に逆転という事にはなりにくいゲームです。ただし、アクションにより終了フラグを遅らせるという最後のあがきは可能です。どちらかというとサクッと終わるゲーム。もう一勝負となっちゃうゲームです。
インタラクション
ノゾクダイスはインタラクションは一見少なく見えるゲームです。直接相手のダイスの目を変えることはできません。
ただし、自分のダイスピックで他プレイヤーのダイスピックを制限することはできます。他プレイヤーのダイス目の情報は公開なので、ある程度他プレイヤーが次に何を欲しいのかもわかります。
ダウンタイム
手番では悩んで欲しいですが、選択肢は限られている中での悩みとなります。
また、他プレイヤーの手番時にはノゾクアクションでアクションすることができます。このノゾクアクションをうまく使って、手札を出し切ることを目指します。
収束性
短時間ゲームです。
手番ではダイスをピックしていきます。ラウンド終了時にダイスの色が1色でも無くなったらゲーム終了となります。終了までのラウンド数はゲームによって変わることになります。
多様性
ダイス運でゲームが決まるわけではないですが、ダイス目によってゲームごとの状況は大きく変わります。また、ゲームが進行していく中でもダイス目が変化していくため同じ状況にはなりにくいです。
耐久性
軽いゲームで負けるともう一回となるゲーム。うまくゾロ目ができることが気持ちよいゲーム。になってると思います。
ガードレール
ゾロ目に向かうという指針はわかりやすいと思います。
差はつくときもありますが、ダイスコントロールがうまくいってなかったり、後一手足らなかったり、納得できるものかと思います。
処理
セットアップはプレイ人数に応じたダイスを用意し、各プレイヤーカラーのカードを受け取るだけです。
ゲームの流れは簡単なのですが、なじみのないルールがあるので注意です。
ラウンド開始時のダイスロールの処理、ノゾクアクションの処理、カード回収の処理が忘れやすかったり間違えやすい処理になっちゃってます。解消できなかったのは反省。
ただし煩雑な処理はないです。
UI
別府さいさんのカードのレイアウトにより、①カードピックするダイス目、②メインアクション③サブアクションの3つの情報が見やすくかつかわいいです。このゲームの推しポイントの一つが機能性とテーマ性を併せ持つ優れたUIのカードです。
上部両端でダイス目(メインとサブ)を参照できます。
テキストありません。アクション詳細はリファレンスで確認となります。
プレイ人数
当初5人プレイまで対応しようと考えていたのですが、ダイスの側面は4面なので、4人までが限界でした。
1人用と2人プレイと3~4人プレイで少しプレイ感の違いを感じるかもしれませんがこのゲームのコアの部分はプレイ人数によらず感じてもらえると思っています。
チェックしてみて
ゲーム完成前にチェックすべきじゃないのかというご意見は受け入れます。こうしてチェックしていると、もっとよくできたのではと思えることもありつつ、前回もチェックしていたこともあって創作時から意識していたなと改めて思い返すことも多かったです。
最後まで読んでいただきありがとうございまいた。
最後になりましたが「ボードゲームデザインチェックリスト」をのリストをお借りしたStudio GGのShun (@nannann2002)さんに感謝です。
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