理学療法士 国家試験対策 胸腰仙椎装具
胸腰仙椎装具も固有名詞の装具が多いです。
臨床ではほとんど見ないのにね。
固有名詞のついている装具は1850年付近に開発されたものがいくつかあります。
1900年頃にX線の発見。その後、X線画像による骨の状態確認が出来るようになってから脊椎疾患に対する治療方法の研究が進んだらしいです。
もはや歴史の授業ですね。本題の前に眠くなってしまうといけないのでこの辺にしておきます。
胸腰仙椎装具の特徴
胸腰仙椎装具全体の特徴としては
・胸腰椎移行部の障害に対する装具が多い
・体幹の屈曲を制限(伸展位固定)する装具が多い
ということが挙げられます。
腰仙椎装具の場合には腰椎の伸展(腰椎前弯)を制御するものが多くありました。
適応疾患で言うと腰椎分離症や辷り症、腰部脊柱管狭窄症になります。
胸腰仙椎装具の場合には胸腰椎移行部に多く発生する、脊椎圧迫骨折を適応疾患とする装具が多いです。
とはいえ、結局は固有名詞を覚えなければいけないことには変わりないので、試験対策に向けて固有名詞を覚えられるように頑張りましょう。
軟性・硬性 胸腰仙椎装具
構成要素
・全体がメッシュ生地orプラスチック
軟性の場合には通気性に優れるが、プラスチックの場合には通気性が悪く皮膚トラブルに繋がる可能性が高まる。
どちらの場合も全面接触による支持だが、硬性(プラスチック)の場合には上前腸骨棘や腸骨稜などの骨突起部分は避けるように作られる。
適応疾患
なんでも
軟性装具は圧迫骨折後の安静に用いられることが多い。
硬性装具は椎体骨折の破裂骨折や、悪性腫瘍の脊椎転移など、強固な固定力が必要となる場合に適応されることが多い。
制限方向
・屈曲、伸展、側屈、回旋の全方向
軟性の場合には全方向の軽度の制限
硬性の場合には全方向の強固な制限
テーラー型 胸腰仙椎装具 Taylor TLSO
構成要素
・骨盤帯
・後方支柱
・肩甲間バンド
・腹部前当て(パッドタイプ)
・腋窩ストラップ
適応疾患
胸椎圧迫骨折、変形性脊椎症、円背、脊椎骨粗鬆症など
制限方向
胸腰椎移行部(Th11~L2)の[屈曲・伸展]を制限
(側屈・回旋は僅かに制限)
覚え方
・テーラーはテーラードジャケットのテーラーと同じ意味
・テーラー(スーツの仕立て屋)が作ったからスーツみたいに腋窩の周りにアームホールみたいな腋窩バンドが付いている
・伸展位にしたいだけなので側方支柱が無い
本当は
1863年にDr. C.F. Taylorが開発したそうです。
Dr.Taylorはナイト装具のDr.Knightと一緒にいろいろ装具の研究開発をしていたそうです。
伸展制限(腰椎前弯制限)だけでは症状が緩和しない人が居ることに気が付いたDr.Taylorは、ナイト型とは逆に屈曲制限が可能(体幹伸展位固定)な装具を開発したのがTaylor装具みたいです。
学校で使った教科書では「Taylor(仕立て屋)のマネキンを見て思いついた」とか書いてたけど、そのようなエピソードは見つけられませんでした。
その教科書のことがすきになれなくて「ホントカヨ(-""-)」と思ってます。
ナイトテーラー型胸腰仙椎装具 Knight-Taylor TLSO
構成要素
・骨盤帯
・後方支柱
・胸郭バンド
・肩甲間バンド
・腹部前当て(パッドタイプ)
・腋窩ストラップ
・側方支柱
適応疾患
胸椎圧迫骨折、変形性脊椎症、円背、など
制限方向
胸腰椎移行部の[屈曲・伸展・側屈・回旋]を制限
覚え方
ナイト型装具とテーラー型装具の合体型。
シャルコー・マリー・トゥース病みたいに研究者の名前が列挙されて名付けられた装具。勘弁してほしいですね。
後方支柱が長いやつがテーラー型、側方支柱があるやつがナイト型の総称とされていたのが由来みたいです。
https://opcareportal.co.uk/wp-content/uploads/2017/10/Atlas-of-Spinal.pdf
スタインドラー型 胸腰仙椎装具 Steindler TLSO
構成要素
・骨盤帯(二重)
・後方支柱
・腋窩フレーム
・側方支柱
・前方支柱
・鎖骨上ストラップ
適応疾患
胸椎圧迫骨折、変形性脊椎症、円背、胸椎術後など
制限方向
胸腰椎移行部の[屈曲・伸展・側屈・回旋]を制限
覚え方
・鎖骨上ストラップがついている(※)
・骨盤帯から胸骨柄まで及ぶ
・前方支柱、後方側方支柱、側方支柱に加え二重骨盤帯がある。全方向に金属支柱が設置されている。
・二重骨盤帯と前方支柱の接合部がカタカナの「ス」みたいになってる(?)
※文献によっては鎖骨上ストラップが付いていないこともある
ジュエット型 胸腰仙椎装具 Jewett TLSO
構成要素
・胸骨パッド
・背部パッド(胸腰椎パッド)
・恥骨パッド
適応疾患
胸椎移行部の圧迫骨折
制限方向
胸腰椎移行部の[屈曲]を制限
覚え方
・ジェット機のヘルメットみたいだからジュエット装具
・simple is bestの3点固定装具
・hyper extension brace(過伸展装具)とも呼ばれる(※)
※昔は脊椎を過伸展位で固定していたけど今は屈曲を制限する程度にされている
本当は
Dr.E. L. Jewettが開発した装具です。
フロリダ大学のHPでも紹介されてました。
側弯症用装具
これは難しいことは求められないので、過去の側弯症用装具の記事を見ていただければいいかなと思います。
まとめ
・胸腰仙椎装具は伸展位固定(圧迫骨折の適応)が多い
・スタインドラーとモールドは固定力が高い
・Dr.の名前がついた装具の名前を覚えるの勘弁して欲しい~
(せめて臨床で使われるものにして欲しいですよね)
今回は以上になります。お疲れさまでした。
良ければ他の記事も見てってください。