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理学療法士 国家試験対策 腰仙椎装具


はじめに

体幹装具は固有名詞だけでなく、装具の構成要素(パーツ)や適応疾患を把握する必要があります。

勘弁してほしいですね。
 
今回は、代表的な装具の装具の名前・特徴・適応疾患・構成要素をこじつけて覚える方法をまとめてみました。
 

例えば、

ショパール関節とリスフラン関節ってどっちがどっちか分からなくなってしまう場合には

・近位側=“そば”にあるから、“しょば”にある関節
 →しょばーる関節 →ショパール関節

とか

・近位側から見たときに“しょっぱな”にある関節
 →しょっぱな関節 →ショパール関節
 
みたいな感じです。
 
ネタが寒くてもいいんです。覚えられれば👍

装具の分類


体幹のどこを保護するのかによって装具の分類がされます。

国試でも装具が列挙されて、腰椎を保護する装具なのか胸椎なのかを問う問題があります。

分類は以下の通りです。


今回説明する腰仙椎装具は名前の通り、腰椎の運動を制限するものになります。
  
ただ基本的には、胸腰椎移行部の運動は制限されないことになっています。

なので、L3∼L5までの制限となります。適応範囲狭いですねね。
 

アイコンの説明


文章だけの説明では眠くなってしまうので、パッと見で分かるようにアイコンを考えてみました。

これは書いてある通り、運動方向に対するアイコンです。


もう一つ、制限の程度を表すアイコンです。

この2つを組み合わせて表示していきます。

例えばこの表示だと、
屈曲:強固な制限 伸展:制限なし 側屈:わずかに制限 回旋:制限
ということになります

それでは本編をどうぞ。


腰仙椎装具

腰仙椎装具の全体通して見たときの特徴は

・腹圧を高める
腰椎前弯を減少(腰椎伸展の防止)させるものが多い
 
国試的にも、腰椎前弯(腰椎伸展)を防止するために処方されている例がよく見られます。


軟性 腰仙椎装具 (腰椎ダーメン)

制限方向

全方向にわずかな制限

構成要素

・全体がメッシュ素材
・所々に板バネが挿入されている
・全面接触でありながら通気性に優れる

適応疾患

腰椎の疾患全てに適応される。

固定力はさほど強くはない。

器用貧乏なので国試的には微妙な立ち位置。


ナイト型 腰仙椎装具 Knight LSO

制限方向

腰椎の[屈曲・伸展・側屈・回旋]を制限する。


構成要素

・骨盤帯
・後方支柱
・側方支柱
・胸椎バンド
・腹部前当て

この制限方向はそれぞれの構成要素と対応しています。

伸展→後方支柱  側屈→側方支柱  屈曲→腹部前当て

のように、動かしたくない方向に構成要素を配置させています。


適応疾患

腰椎分離症腰椎辷り症腰部脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニアなど


覚え方

ナイト(騎士)が使うので

・剣を振り回すので胸周りは覆わない(腰仙椎椎装具)

・後ろから切られたら大変なので後方支柱

・横からも切られたくないので側方支柱

・前方は盾を構えるから柔らかい材料でOK(腹部前当て)


本当は(読まなくていいし覚えなくて大丈夫です)

James A. KnightというDr.が開発したからみたいす。
アメリカ初の整形外科病院らしいです。普通にすごい。
でも国試では問われないので覚えなくていいです。
https://opcareportal.co.uk/wp-content/uploads/2017/10/Atlas-of-Spinal.pdf


チェアバック型 腰仙椎装具 Chair back LSO

制限方向

腰椎の[屈曲・伸展]を制限する
(側屈はわずかに制限)

・骨盤帯
・後方支柱
・胸椎バンド
・腹部前当て(パッドタイプ)


適応疾患

腰椎分離症、腰椎辷り症、腰部脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニアなど


覚え方

名前の通り、椅子の背もたれっぽい装具

 ・胸椎装具か腰椎装具か迷ったら
  ↳目の前の人の背もたれを見る→腰椎を覆う程度の高さ→腰椎装具

 ・寄りかかるために後ろに支柱→後方支柱

 ・背もたれだから側屈は制限しない→側方支柱無し



ウィリアムス型 腰仙椎装具 Williams LSO

構成要素

・骨盤帯
・側方支柱
斜側方支柱
・胸椎バンド
・腹部前当て(パッドタイプ)

制限方向

腰椎の[伸展・側屈]

ウィリアムス型装具の特徴は屈曲は許すことです。

装具全体が屈曲方向に折れ曲がる構造になっています。


適応疾患

腰椎分離症、腰椎辷り症、腰部脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニアなど


覚え方

腰痛体操で有名なウィリアムス体操の開発者が装具まで開発しちゃった

腰痛(腰椎前弯由来)に特化してるので、もちろん腰椎装具

ウィリアムス体操もウィリアムス装具も腰椎の前弯を減少が目的


本当は

全部本当です。1937年にDr.Paul.C.Williamsが開発しています。
Lesions of the lumbosacral spine-lordosis brace. J. B. J. S. 19: 702, 1937
という論部で発表されたらしいです。
原著を見ることは叶いませんでしたが原著を引用している論文を置いておきます。
テストで問われることはありませんが念のため。

https://storage.googleapis.com/global-help-publications/books/help_atlasofspinalorthotics.pdf




フレクションブレース Flexion brace

制限方向

腰椎の[伸展・側屈]


 構成要素

・骨盤帯
・側方支柱
・胸椎バンド
・腹部前当て(メッシュタイプ)



適応疾患

腰椎分離症、腰椎辷り症、腰部脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニアなど


覚え方

腰椎をフレクション(屈曲)するための装具

・ウィリアムス装具の側方支柱をクレンザック継手にして改良したもの

・クレンザック(側方支柱)で制御する→後方支柱が無い

・クレンザック継手にバネを入れることで積極的に屈曲補助

腰椎を屈曲位に保持するので、脊柱管狭窄症の良い適応とされている



 モールド型 腰仙椎装具

制限方向

腰椎の全方向に強固な制限が可能。


構成要素

・全体がプラスチック素材

プラスチックは通気性が悪いので蒸れる。



適応疾患

腰椎の疾患全てに適応され、固定力が強い。
 
国試で出されるキーワードとしては:全面接触、上前腸骨棘や腸骨稜(骨突起部分)への圧迫は避ける


まとめ

腰椎装具は全体を通して腰椎の伸展を防止するものが多くありました。

また、腰椎装具の適応の上限はL3程度となっています。


今回も長い記事になってしまいました。

お疲れさまでした。

良ければ他の記事も見てってください。


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