装具学 体幹装具 まとめ 胸腰仙椎装具
はじめに
前回は腰椎装具で、今回は胸腰仙椎装具です。
骨盤から胸椎までの範囲を覆う装具です。
これまた開発した方の名前が付けられていることが多いので名前は覚えるしかないです。学生の宿命です。
体幹装具の記事が書き終わったら国試対策の記事も書こうと思うのでそちらもよろしくお願いします。
それでは胸腰椎装具の説明に入ります。
軟性 胸腰仙椎装具(ロングダーメン)
構成要素
・全面がメッシュ素材
・所々に薄い金属やプラスチックの板バネが入っている
全体がメッシュ素材なので通気性に優れて患者コンプライアンス(装具装着に対するが受け入れ)が良いのが特徴。
全面接触(トータルコンタクト)の装具
制限
腰椎と胸腰椎移行部の[屈曲、伸展、側屈、回旋]の全方向に対して軽度の制限
適応疾患
腰椎~下位胸椎の全ての疾患に適応とされるが、固定力がそこまで強くない。
L5~Th8に発生する圧迫骨折に用いられることが多い。
モールド式胸腰仙椎装具
構成要素
・全面がプラスチック素材
全体がプラスチック素材なので通気性が悪く皮膚トラブルが起こりやすいのが難点。
製作するにあたって採型が必要となる。
オーダーメイドで作られる全面接触(トータルコンタクト)の装具。
骨が出っ張っている腸骨稜と上前腸骨稜は除圧されている。
制限
腰椎の[屈曲、伸展、側屈、回旋]の全方向に対しての制限
適応疾患
胸腰椎移行部の圧迫骨折、全方位の強固な固定が必要な場合
テーラー型装具 Taylor TLSO
構成要素
・骨盤帯
・後方支柱
・肩甲間バンド
・腹部前当て(パッドタイプ)
・腋窩ストラップ
制限
胸腰椎移行部の[屈曲、伸展]の制限
側屈や回旋はわずかに制限される
適応疾患
下位胸椎の圧迫骨折、変形性脊椎症、円背、脊椎骨粗鬆症など
腋窩ストラップが使われているのが特徴
学校で使われている教科書にはテーラー=紳士服の仕立て屋のマネキンを見て思いついた。とか書いてあった。
ホントかよと思って調べてみたら、テーラー博士が開発したって書いてあった。
ナイトナイトテーラー型装具 Knight taylor TLSO
構成要素
・骨盤帯
・胸椎バンド
・肩甲間バンド
・後方支柱
・側方支柱
・腹部前当て(メッシュタイプ)
・腋窩ストラップ
ナイト型装具(腰椎装具)にテーラー型装具の腋窩ストラップが付けられている。
制限
胸腰椎移行部の[屈曲、伸展、側屈、回旋]を制限する。
適応疾患
胸椎圧迫骨折、変形性脊椎症、円背、など
スタインドラー型装具 Steindler TLSO
構成要素
・骨盤帯
・前方支柱
・腋窩フレーム
・側方支柱
・鎖骨上ストラップ
2重の骨盤帯、側方支柱、前方支柱、腋窩フレームで全方向からフレームによって覆われている。
しかも鎖骨上ストラップでフレーム構造が前後に開かないようにされている。
制限
胸腰椎移行部の[屈曲、伸展、側屈、回旋]の全方向を制限する。
適応疾患
胸椎圧迫骨折、変形性脊椎症、円背、胸椎術後など
ジュエット型装具 Jewett TLSO
構成要素
・胸骨パッド
・背部パッド(胸腰椎パッド)
・恥骨パッド
骨盤帯も後方支柱も側方支柱も無い。
体幹屈曲の制限に特化した、シンプルな3点固定の装具。
制限
胸腰椎移行部の[屈曲]を制限する。
適応疾患
胸腰椎移行部の圧迫骨折
まとめ
今回は有名所の6つの胸腰椎装具を紹介しました。
腰椎装具では腰椎の伸展を制御するものが多かったですが、胸腰椎装具では体幹の屈曲を制限する装具が多いです。
適応疾患も圧迫骨折に対応するために開発されたものが多いですね。
下の図は参考程度によろしくおねがいします。
今回もありがとうございました。
他の記事も載せておくのでよかったら見てみてください。