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棘と角と根の狭間で

ある日、植物愛好家の集まりにふらりと現れた新参者、塊根(かいこん)。

塊根:「お、おい…!ここがあの噂の植物界、エリート集団『プランター・サークル』か…!すごい、キラキラしてる…!そこの背の高いお兄さんは誰だ?あのシュッとしたフォルムと、冷ややかな佇まい…まさか!」

ビカク:「……ふん、貴様、どこのド田舎から来たのか知らんが、ここはお前のような野暮ったいのが来る場所じゃないぞ。」

塊根:「え!?君はもしかして…!そうだろう、ビカク君!あの、根のない草から貴族階級にまで成り上がった伝説の植物じゃないか!」

ビカク:「知っているなら教えてやるが、貴様には似つかわしくない場所だ。お引き取り願おうか。ここには選ばれた者だけが集うのだ。まさか、貴様…『あの方』にも会うつもりなのか?」

塊根:「『あの方』…?まさか…!」

その瞬間、鋭い棘を纏った貫禄ある姿がぬっと現れた。

アガベ:「何やら喧しいと思えば、新顔か…ビカク、やめておけ。下々の者に構う暇はない。」

塊根:「お、おお…あなたが、あのアガベ様…!?王者の風格…すごい迫力だ…!」

ビカク:「アガベ様、こんな田舎者を相手にされては…」

アガベ:「ふっ、何を言う。面白いじゃないか。この新参者、何を目指してここに来た?私たちと肩を並べようとでも思っているのか?」

塊根:「あ、あの…!僕は…僕はずっと地中深くで耐え忍んできました。でも、そんな僕でもいつか、皆さんのように太陽の下で、堂々と人々の目を引きつける存在になりたいんです!」

ビカク:「ふん、貴様のようなブヨブヨとした姿で、人々の注目を浴びるだと?笑わせるな。」

アガベ:「待て、ビカク。塊根よ、野心があるのはいいことだ。だがな、お前のような未熟者が私たちに近づくのは、まだまだ早い。首を突っ込むんじゃない。」

塊根:「…え?て、手を出すって、どういうことですか?」

アガベ:「貴様が我らの領域に足を踏み入れるのは、分をわきまえない行為だと言っているのだ。挑戦するのは構わんが、己の実力と向き合え。」

ビカク:「ここに集うのは、各分野の頂点に立つ者たち。『ビカク』はその名の通り、優雅な角のようにどこまでも伸び行く。『アガベ』はその鋭い棘で他を寄せ付けない孤高の王者。貴様のような地味で控えめな塊根が、一体どうやって我らと並び立つというのだ?」

塊根:「……僕は、僕なりの魅力で、いつか…!」

ビカク:「やめとけ、分をわきまえろ。ここは選ばれた者だけが集う場所だ。お前が今、首を突っ込むべきじゃない。」

塊根:「……っ!」

悔しさを噛みしめながら、塊根はその場を後にした。だが、その背中は小さな決意の火を灯していた。

塊根:「必ず、必ず僕も皆さんのような…いや、皆さんとはまた違った、僕だけの美しさを手に入れるんだ…!」

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