ギリシア語で『ソクラテスの弁明』を読む (第三章)

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この記事ではプラトン『ソクラテスの弁明』を古典ギリシア語で読むための手助けとして、初歩的な復習も含めて一文ごと、一語一句すべての単語に細かく文法の説明をしていきます (繰りかえしは除いて)。今回は第三章 (ステファヌス版の 19a–19d) を扱います。

使用した本文や参考文献については第一章の記事の冒頭に掲げてあるのでそちらをご覧ください。

第三章 (19a–19d)

Ἀναλάβωμεν οὖν ἐξ ἀρχῆς τίς ἡ κατηγορία ἐστὶν ἐξ ἧς | ἡ ἐμὴ διαβολὴ γέγονεν, ᾗ δὴ καὶ πιστεύων Μέλητός με ἐγράψατο τὴν γραφὴν ταύτην. εἶεν· τί δὴ λέγοντες διέβαλλον οἱ διαβάλλοντες; ὥσπερ οὖν κατηγόρων τὴν ἀντωμοσίαν δεῖ ἀναγνῶναι αὐτῶν· “Σωκράτης ἀδικεῖ καὶ περιεργάζεται ζητῶν τά τε ὑπὸ γῆς καὶ οὐράνια καὶ τὸν ἥττω λόγον κρείττω | ποιῶν καὶ ἄλλους ταὐτὰ ταῦτα διδάσκων.” τοιαύτη τίς ἐστιν· ταῦτα γὰρ ἑωρᾶτε καὶ αὐτοὶ ἐν τῇ Ἀριστοφάνους κωμῳδίᾳ, Σωκράτη τινὰ ἐκεῖ περιφερόμενον, φάσκοντά τε ἀεροβατεῖν καὶ ἄλλην πολλὴν φλυαρίαν φλυαροῦντα, ὧν ἐγὼ οὐδὲν οὔτε μέγα οὔτε μικρὸν πέρι ἐπαΐω. καὶ οὐχ ὡς ἀτιμάζων λέγω τὴν τοιαύτην ἐπιστήμην, εἴ τις περὶ τῶν τοιούτων σοφός ἐστιν—μή πως ἐγὼ ὑπὸ Μελήτου τοσαύτας δίκας φεύγοιμι—ἀλλὰ γὰρ ἐμοὶ τούτων, ὦ ἄνδρες Ἀθηναῖοι, οὐδὲν μέτεστιν. | μάρτυρας δὲ αὖ ὑμῶν τοὺς πολλοὺς παρέχομαι, καὶ ἀξιῶ ὑμᾶς ἀλλήλους διδάσκειν τε καὶ φράζειν, ὅσοι ἐμοῦ πώποτε ἀκηκόατε διαλεγομένου—πολλοὶ δὲ ὑμῶν οἱ τοιοῦτοί εἰσιν—φράζετε οὖν ἀλλήλοις εἰ πώποτε ἢ μικρὸν ἢ μέγα ἤκουσέ τις ὑμῶν ἐμοῦ περὶ τῶν τοιούτων διαλεγομένου, καὶ ἐκ τούτου γνώσεσθε ὅτι τοιαῦτ᾽ ἐστὶ καὶ τἆλλα περὶ ἐμοῦ ἃ οἱ πολλοὶ λέγουσιν.

(1) Ἀναλάβωμεν οὖν ἐξ ἀρχῆς τίς ἡ κατηγορία ἐστὶν ἐξ ἧς ἡ ἐμὴ διαβολὴ γέγονεν, ᾗ δὴ καὶ πιστεύων Μέλητός με ἐγράψατο τὴν γραφὴν ταύτην.

(直訳) それでははじめから再論してみようではないか、私の中傷がそこから発したところの告発とはどんなものであるか。まさしくその中傷をば現に信じて、メレトスは私を訴えてこの訴状を書いたのだが。

Ἀναλάβωμεν: アオ能接 1 複 < ἀνα-λαμβάνω「取り上げる;取り戻す、回復する」。ここでは語りや議論を「取り上げなおす、再開する、繰りかえす」の意。勧奨の接続法 (田中松平 §§332f.; 水谷 §114.1)。
ἐξ ἀρχῆς: 女単属 < ἀρχή「始まり」。
τίς: 女単主。後続の語が後倚辞 (前接辞) でもないのに鋭アクセントがついているので疑問代名詞とわかる。男女同形だが、ἡ κατηγορία に対応する述語だから女性と見る。この τίς は間接疑問詞である (このような場合チエシュコ 5§14.3 では不定関係代名詞にしなければならないような説明がされているが、高津 §253.2 によればただの τίς も間接疑問文を導ける。なおチエシュコ 8§32 の表も参照)。
ἡ κατηγορία: 女単主「非難、告訴」。
ἐστὶν: 現能直 3 単。
ἐξ ἧς: 女単属。先行詞は κατηγορία。
ἡ ἐμὴ διαβολὴ: 女単主。ἐμός は所有形容詞「私の」。形容詞なので、人称代名詞の属格 μου とは違って性数格の変化をする。
γέγονεν: 完能直 3 単 < γίγνομαι。
: 女単与。πιστεύων の与格目的語。先行詞は διαβολή。
δὴ: 直前の ᾗ を強める:「まさにそのこと」。
καὶ: 副。
πιστεύων: 現能分・男単主 < πιστεύω。目的語は与格にとる。
Μέλητός: 男単主。
με: 1 単対。ἐγράψατο の目的語。
ἐγράψατο: アオ中能 3 単 < γράφω。ふつう「書く」の意だが、中動態では「対格の人を属格の罪で訴える」。ただここではその属格はない。かわりにもう 1 つ次の対格目的語が置かれている。
τὴν γραφὴν ταύτην: 女単対 < γραφή。これもふつう「書かれたもの (書物や書状)」を指す名詞であるが、ここでは「訴状、訴え」の意。ἐγράψατο の同族目的語で (高津 §214.1 にいう内的対格)、必須ではないのだが ταύτην を言いたいがために置かれたのだと思われる。この中称の指示詞は「いまあなたがたがそうして」私を訴えているところの、という感じか。

(2.1) εἶεν· τί δὴ λέγοντες διέβαλλον οἱ διαβάλλοντες; ὥσπερ οὖν κατηγόρων τὴν ἀντωμοσίαν δεῖ ἀναγνῶναι αὐτῶν·

(直訳) それはいいとして。その中傷していた者たちはいったい何と言って中傷していたのであったか。そこでちょうど (正式な裁判の) 告訴人たちの (宣誓供述書を読む) ように、彼らの宣誓供述書を読みあげねばならない。

εἶεν: 現能希 3 複 < εἰμί。第二章 (8) を参照。
τί: 中単対。疑問代名詞。
λέγοντες: 現能分・男複主 < λέγω。
διέβαλλον: 未完能直 3 複 < δια-βάλλω「中傷する」。
οἱ διαβάλλοντες: 現能分・男複主 < δια-βάλλω。現在分詞は現在という時ではなく継続的動作を表すのであって、主動詞 διέβαλλον の未完了過去の当時における現在であるから、日本語としては過去のように訳せる:「中傷していた者たち」。
κατηγόρων: 男複属 < κατήγορος。無冠詞であるから、文末の αὐτῶν はこれにかかるわけではなく別物で対比されている。
τὴν ἀντωμοσίαν: 女単対 < ἀντωμοσία「宣誓供述書」。
δεῖ: 現能直 3 単。不定法の動詞を従える。その「せねばならない」義務をもつ者を示す対格主語は省略されている。
ἀναγνῶναι: アオ能不 < ἀνα-γιγνώσκω「読む」。
αὐτῶν: 男複属。οἱ διαβάλλοντες を指す。

(2.2) “Σωκράτης ἀδικεῖ καὶ περιεργάζεται ζητῶν τά τε ὑπὸ γῆς καὶ οὐράνια καὶ τὸν ἥττω λόγον κρείττω ποιῶν καὶ ἄλλους ταὐτὰ ταῦτα διδάσκων.”

(直訳)「ソクラテスは有罪で、いらないことをしている。地の下と天にあることごとを探究し、劣った理屈を優れたものと化し、他の人々にも同じそういったことを教えているから。」

Σωκράτης: 男単主。主語。
ἀδικεῖ: 現能直 3 単 < ἀδικέω「不正である、有罪である」。
περιεργάζεται: 現中直 3 単 < περι-εργάζομαι「やりすぎる、余計なことをする」。
ζητῶν: 現能分・男単主 < ζητέω「探す」。
τά … ὑπὸ γῆς: 中複対+女単属。前置詞句の名詞化。
οὐράνια: 中複対 < οὐράνιος「天の、天にある」。名詞用法。
τὸν ἥττω λόγον: 比較級・男単対 < ἥττων「より悪い、劣った」。κακός または μικρός の比較級として用いられる。ποιῶν の目的語。
κρείττω: 比較級・男単対 < κρείττων「より強い、よりよい、優れた」。κρατύς「力のある」の比較級だが、ἀγαθός の比較級としてよく用いられる。ποιῶν の補語。
ποιῶν: 現能分・男単主 < ποιέω「…を〜にする」。
ἄλλους: 男複対。名詞用法:「ほかの人々を」。
ταὐτὰ ταῦτα: 中複対。ταὐτά は τὰ αὐτά の融音。αὐτά は冠詞のあとなので「同じ」の意。ταῦτα は指示代名詞。
διδάσκων: 現能分・男単主 < διδάσκω「教える」。教える相手の人も内容のことも対格にとる。

(3) τοιαύτη τίς ἐστιν· ταῦτα γὰρ ἑωρᾶτε καὶ αὐτοὶ ἐν τῇ Ἀριστοφάνους κωμῳδίᾳ, Σωκράτη τινὰ ἐκεῖ περιφερόμενον, φάσκοντά τε ἀεροβατεῖν καὶ ἄλλην πολλὴν φλυαρίαν φλυαροῦντα, ὧν ἐγὼ οὐδὲν οὔτε μέγα οὔτε μικρὸν πέρι ἐπαΐω.

(直訳) (古い中傷者たちによる訴状は) なにやらそんなふうなものである。そういったことを諸君ら自身もアリストパネスの喜劇において見ていたとおりである。そこではソクラテスとかいう男が (舞台装置によって) 運ばれて回り、空中を歩いていると主張したりその他たくさんの馬鹿げたことをしていたが、私はといえばそれらのことについて多くも少なくもいっさい知らないのである。

τοιαύτη: 女単主 < τοιοῦτος「そのような、そんな種類の」。次の τὶς とともに、(2.1) 末尾の γραφή が背景にあるので女性単数。
τίς: 女単主。不定代名詞 (鋭アクセントは後倚辞 ἐστιν から)。
ἐστιν: 現能直 3 単。
ταῦτα: 中複対。
ἑωρᾶτε: 未完能直 2 複 < ὁράω。この動詞はもともと語頭に子音 ϝ (ディガンマ、[w] の音) があったため音節的加音 ε- を加えている (完了 ἑώρακα も同様)。もっともそれだけでは ο までも ω に伸びていることは説明がつかない。これは、もともと音節的加音には ε だけでなく η もあったのであって、ϝοράω に η がついた未完了 ἠ-ϝορων から、η と ο の長短を入れかえる音量交換が起きて最終的にこの形になったものらしい (Smyth, §§431, 433f.)。
καὶ αὐτοὶ: 男複主。隠れた主語「あなたがた」に同格。
ἐν τῇ … κωμῳδίᾳ: 女単与 < κωμῳδία「喜劇」。
Ἀριστοφάνους: 男単属 < Ἀριστοφάνης。
Σωκράτη τινὰ: 男単対。第二章 (2.3) でも見たとおり、固有名詞に不定代名詞がついて「ソクラテスとかいう人」の意。
ἐκεῖ: 副「そこで」。
περιφερόμενον: 現受分・男単対 < περι-φέρω「運んで回る」。
φάσκοντά: 現能分・男単対 < φάσκω「叫ぶ、主張する」。
ἀεροβατεῖν: 現能不 < ἀερο-βατέω「空中を歩く」。
ἄλλην πολλὴν φλυαρίαν: 女単対 < φλυαρία「馬鹿げたこと」。φλυαροῦντα の同族目的語。名詞は修飾語 ἄλλην πολλήν をかけるための台と思えばよい (省くと何の女性対格かわかりづらい)。
φλυαροῦντα: 現能分・男単対 < φλυαρέω「馬鹿げたことを言う・する」。
ὧν: 中複属。περί の支配による属格。先行詞は ταῦτα。
ἐγὼ: 1 単対。
οὐδὲν: 中単対。
οὔτε … οὔτε …:「〜も〜もない」。
μέγα, μικρὸν: 中単対。οὐδέν に一致。
πέρι: これは前置詞の後置で、そのためにアクセント位置が移っている (田中松平 §113)。念のため、属格支配では「〜について」の意。
ἐπαΐω: 現能直 1 単「知っている、知識がある」。ϊ についている 2 点は分音符で、αι が二重母音ではなくべつべつの音節に属すことを示す記号 (田中松平 §5; 水谷 §3.2):つまりこれはエ・パ・イ・オーという 4 音節の単語 (正確には、ι の直後に母音なのでオーではなくヨーだが:チエシュコ 1§2)。

(4) καὶ οὐχ ὡς ἀτιμάζων λέγω τὴν τοιαύτην ἐπιστήμην, εἴ τις περὶ τῶν τοιούτων σοφός ἐστιν—μή πως ἐγὼ ὑπὸ Μελήτου τοσαύτας δίκας φεύγοιμι—ἀλλὰ γὰρ ἐμοὶ τούτων, ὦ ἄνδρες Ἀθηναῖοι, οὐδὲν μέτεστιν.

(直訳) しかし、もし誰かがそんなような事柄について詳しいのだとして、私はそういった知識を軽侮するために言っているのではない——というのは私がどのようにもメレトスにそこまで重大な訴えをなされないために (言うのだが)。そうではなく、アテナイの人々よ、私はそれらにいっさい関わっていないから (こう言っているのである)。

ὡς: 分詞を従え、理由や目的を導く節を作る。
ἀτιμάζων: 現能分・男単主 < ἀτιμάζω「侮辱する、軽視する」。
λέγω: 現能直 1 単。
τὴν τοιαύτην ἐπιστήμην: 女単対 < ἐπιστήμη「知識」。ἀτιμάζων の目的語。
τις: 男単主。不定代名詞。
περὶ τῶν τοιούτων: 中複属。
σοφός: 男単主。
ἐστιν: 現能直 3 単。
μή: 願望の希求法の否定ゆえ。
πως: 副「なんらかのしかたで」。
ἐγὼ: 1 単主。
ὑπὸ Μελήτου: 男単属。
τοσαύτας δίκας: 女複対 < δίκη「正義;罰;訴訟」。なお τοιοῦτος「そんな種類の」と τοσοῦτος「それほど多くの・大きな」とを混同せぬよう注意。また田中の注解によればこの「複数形には特別の意味はない.単複いずれの形も特別な区別なしに用いられる」。
φεύγοιμι: 現能希 1 単 < φεύγω「逃げる;弁明・抗弁する」。δίκην φεύγω で「訴えられる、被告となる」の意。直訳は「罰を逃れる」であるが、罰を逃れるために抗弁する、抗弁しなければならないのは訴えられているから、と考えればよい。願望の希求法。
ἐμοὶ: 1 単与。
τούτων: 中複属。
ὦ ἄνδρες Ἀθηναῖοι: 男複呼。
οὐδὲν: 中単対。ここでは副詞的に「なんら〜ない」。
μέτεστιν: 直現能 3 単 (非人称)。これは μετά「(属格) とともに」が ἐστίν についた複合動詞で、「属格のものが与格の人とともにある、共有されている」の意。つまり与格の人 (ἐμοί) が属格のもの (τούτων) に関与しているということ。

(5.1) μάρτυρας δὲ αὖ ὑμῶν τοὺς πολλοὺς παρέχομαι, καὶ ἀξιῶ ὑμᾶς ἀλλήλους διδάσκειν τε καὶ φράζειν, ὅσοι ἐμοῦ πώποτε ἀκηκόατε διαλεγομένου—πολλοὶ δὲ ὑμῶν οἱ τοιοῦτοί εἰσιν—

(直訳) それにまた私は諸君らのうちの多くの者を証人に持っている。そこで私は諸君らが互いに教えあい指摘しあうのがよいと思う。(諸君らのうちでは) それほど多くが以前に私が対話するのを聞いたことがあるのだから。実際そのような人たちは諸君のうちにたくさんいる。

μάρτυρας: 男複対 < μάρτυς「目撃者、証人」。τοὺς πολλούς に同格の説明:「多くの者を証人として」。
αὖ: 副「また、ふたたび;さらに」。
ὑμῶν: 2 複属。部分の属格。
τοὺς πολλοὺς: 男複対。παρέχομαι の目的語。
παρέχομαι: 現中直 1 単 < παρ-έχω「そばに持つ;提供する」。
ἀξιῶ: 現能直 1 単 < ἀξιόω。間接話法の内容を「正しいとみなす」。
ὑμᾶς: 2 複対。間接話法の対格主語。
ἀλλήλους: 男複対。相互代名詞。次の不定詞の目的語。
διδάσκειν τε καὶ φράζειν: 現能不。φράζω は「示す、指摘する」。間接話法の動詞。
ὅσοι: 男複主。関係代名詞。
ἐμοῦ: 1 単属。起源の属格。ἀκηκόατε の属格目的語。
πώποτε: 副「かつて、これまで」。
ἀκηκόατε: 完能直 2 複 < ἀκούω。完了なので、聞いた経験がある、聞いたことを覚えているというところ。
διαλεγομένου: 現中分・男単属 < δια-λέγομαι「会話する、議論する」。ἐμοῦ に一致。
πολλοὶ: 男複主。述語。
ὑμῶν: 2 複属。部分の属格。
οἱ τοιοῦτοί: 男複主。主語。
εἰσιν: 現能直 3 複。

(5.2) φράζετε οὖν ἀλλήλοις εἰ πώποτε ἢ μικρὸν ἢ μέγα ἤκουσέ τις ὑμῶν ἐμοῦ περὶ τῶν τοιούτων διαλεγομένου,

(直訳) そこで指摘しあいたまえ、かつて大なり小なり諸君のうちの誰かが、私がそんなようなことについて対話しているのを聞いたのかどうか。

φράζετε: 現能命 2 複 < φράζω。
ἀλλήλοις: 男複与。相互代名詞。
ἢ μικρὸν ἢ μέγα: 中単対=副。「少なくか多くか、大なり小なり」。
ἤκουσέ: アオ能直 3 単 < ἀκούω。
τις: 男単主。不定代名詞。
ὑμῶν: 2 複属。部分の属格。
ἐμοῦ: 1 単属。起源の属格。ἤκουσε の属格目的語。
περὶ τῶν τοιούτων: 中複属。
διαλεγομένου: 現中分・男単属 < δια-λέγομαι。ἐμοῦ に一致。

(5.3) καὶ ἐκ τούτου γνώσεσθε ὅτι τοιαῦτ᾽ ἐστὶ καὶ τἆλλα περὶ ἐμοῦ ἃ οἱ πολλοὶ λέγουσιν.

(直訳) そうすればそこからわかるはずである、大勢が私について言っているほかのことごとも同様であるということが。

ἐκ τούτου: 中単属。互いに話しあったことを指す。
γνώσεσθε: 未中直 2 複 < γιγνώσκω「知る、理解する」。未来では中動形を用いる。
τοιαῦτ᾽: ὅτι 節の述語。
ἐστὶ: 現能直 3 単。主語が中性複数なので 3 人称単数扱い。
καὶ: 副。
τἆλλα: 中複対。τὰ ἄλλα の融音。ὅτι 節の主語。
περὶ ἐμοῦ: 1 単属。冠詞の外側なので τἆλλα にかかる修飾語ではない。これは先行詞と関係詞のあいだに挟まってはいるが実際には関係節のなかで λέγουσιν にかかっている。
: 中複対。関係節の目的語。先行詞は τἆλλα。
οἱ πολλοὶ: 男複主。関係節の主語。
λέγουσιν: 現能直 3 複 < λέγω。


〔以上で第三章は終わりです。この続きには文章はありませんが、もしお気に召したら投げ銭していただけると執筆の励みになります。〕

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