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「After 3.13」:今年のコンセプト

今年は「After 3.13」がキーワードになると思う。
正確にいうと、日本のビジネスシーンでは、このコンセプトが重要だろう。まず、After 3.13とは何か? それは「3月13日以降の3ヶ月」という意味である。そして、この「3月13日以降の約3ヶ月間で、次の3年間のビジネスシーンが構築される」というのが、この記事の主張である。なぜか? どういうことか?

解説していきたい。

(なお、私が所属するのがIT/HR業界のため、サンプルで出てくる事例がやや偏っていることはご了承いただきたい)

  • なにが「After 3.13」なのか? なぜ重要なのか?

実は、3月13日には2つの意味がある。1つ目は、マスクの完全解禁日である。2023年3月13日に、マスクの着用が個人の主体的な選択に任されるようになった。そして、2つ目は、ちょうど3年前の2020年3月13日。初めて日本で発令された緊急事態宣言の元となる法案(新型コロナウイルス対策の特別措置法*)が成立した日でもある。

いずれも「3.13」である。

そして、3年が経った今、あの時と同様に、今年のキーワードも「After 3.13」である。正確には「3月13日からの約3ヶ月間」という推測を持っている。なぜなら、この3ヶ月間で次の3年間の土台が作られると考えているからだ。

  • 2020年にも3ヶ月間で新しいビジネスインフラが普及

振り返ってみると、2020年の緊急事態宣言発令から3ヶ月も経たずして、新しいビジネスインフラが普及した。ZoomやTeams、後発のGoogle Meetsなど、「オンラインでの会議」が普通になった。大学の授業もオンライン化が一気に進んだ。私が所属するHR Tech企業でも、就職のオフラインイベント(合説)がすべて中止となり、一気にYouTubeやZoomを使ったオンライン説明会に移行した。

特に、若い人たちの領域でこれは顕著だった。新しいものの取り入れが大人(=toBサイド)よりも相対的に得意であることから、文字通り「一気に」「ほぼ100%」の移行が実現した。この不可逆な変化が、たった3ヶ月で作られたのだ。そして、今年まで約3年間はそのスタンダードが継続された。

では、今後、どうなるか?

「After 3.13」の2回目である。

  • 「After 3.13」の2回目:HR業界の3つの予測

具体的な現象が、今年起き、それが3年間継続すると私は予測している。言い換えると、「不可逆的な変化がわずか3ヶ月の間に起き、その変化の寿命は3年間続く」ということだ。これは、どの業界でも起きる現象だと思われる。

実際に、就職マーケットでも、以下の3つの如実な変化が起きつつある。

  1. 3月中旬、サクラの開花と共に遅れていた就活動き出しが急速化

  2. 学生の「オフラインイベント」ニーズの回帰

  3. ChatGPTなどの、テックタッチの取り入れ

それぞれの変化について、以下で説明していく。

変化1:3月中旬、サクラと共に、遅かった学生の動きが急速化


1つ目の変化は、「サクラの開花と共に、遅れていた学生の動きが急速化」というものである。

実は、3月13日というのが、今年さらになぜ重要なのか?それは、「サクラの開花シーズンと前後が重なったから」ということもあると私は考えている。これがビジネスシーンに与える影響は実は大きい。

今年、東京のサクラの開花は、3月14日で、例年より10日程度早かった。また、満開日も3月22日で、こちらも10日程度早かった。

これが何を意味するのか?

それは、「人々の活動が大量に増加した」ということだ。

たとえば、新卒就職業界において、サクラの開花と共に、大学でも新歓や先輩後輩の集まりが行われ、そこで就職活動がリスタートされた、ということである。

就職活動はどのようにスタートするのか?

多くの場合、「大学のキャンパスで、先輩がリクルートスーツなどを着ているのを見て、スタートする」ことが多い。これが、マスク解禁・サクラの開花と相まって、一気に加速したと思われる。

実際に、弊社のデータで見ても、2月末までは例年に比べてアクティブ層が非常に少なかったが、3月13日頃を境に、一気に動きが加速し、直近では前年比で2倍以上の動きになっている。

変化2:学生の「オフラインイベント」ニーズの強化

2つ目の変化は、「オフラインイベントニーズが強化されている」というものである。端的に言うと、「やっぱり会って話したい」ということだ。

これは就職活動イベントだけではなく、ある種のパーティ的なイベントも含まれている。

実際、私も仕事柄、イベントに参加することが多いが、久しぶりにオフラインで話すイベントは、参加者の満足度が明らかに高い。または、外部調査では、新入社員の約8割が「対面での指導」を希望というデータもある。

これは、就職活動でも同様の傾向があり、就職活動中の学生からも「オフラインイベント」へのニーズが強くなっており、逆に採用担当者や人事側からも、地方でのイベントや、リアルに会って話せる企画のニーズが高まっている傾向がある。

これは、冷静に考えると当たり前の話で、「オンラインは効率的だけど、やっぱり会って話したいときもある」ということだ。

「オンライン:オフライン=100:0」だった比率が、「オンライン:オフライン=50:50」ぐらいになると推測している。

変化3:ChatGPTの、テックタッチの取り入れ


3つ目の変化は、「テックタッチ」の取り入れである。

昨年から今年にかけて、一世を風靡しているテクノロジーといえば、間違いなく「Chat GPT」だろう。この影響は間違いなく、就職・転職領域にも入ってきている。

大学のレポートや、企業の資料作成で使われるということは、当然だが、エントリーシート(ES)作成や、履歴書作成、面接対策でも使われる、ということを指している。

求職者側からすると、便利であるのは間違いない。一方で、企業側からしてみると、変化に対応することが求められるかもしれない。ただ、その理由は「Chat GPT対策」という表面的なものではなく、もっと本質的な深い部分にある。

言い換えると「次の時代のビジネスパーソンはどうあるべきか」ということ。これが変化するからだろう。

そもそも、Chat GPTの出現によって、「何が人がやるべきことで、何が人がやらなくてもいいのか」が根底から変わる可能性がでているからだ。これが採用活動に影響を与える。結果、我々企業側は「採用する基準」も見直す必要がでてくるかもしれない。

<ここまでのまとめ>

まとめると、少なくとも私が見ている領域では、「After 3.13」を傘に、以下の3つの変化が起きつつある。そして、直近3ヶ月で、次の3年(~2026年)の土台を構築するだろう(と思っている)。


「After 3.13」はどの業界にも必ず起きる


ここまでHRの話をしたが、もう少し、抽象化して、「ビジネスシーン全体」で語るならば、「After 3.13」はどの業界にも必ず起きると思われる。

なぜなら、「人の流れ」そのものが変わっているからであり、「活躍するビジネスパーソン」の定義も変わっているからである。この記事は、殴り書きで書いたが、どの業界にも「After 3.13」はあるため、今から考えておいて損はないと思われる。今後も追加で考え、発信していきたい。

あなたの業界の「After 3.13」はなんだろうか?
ぜひ意見を聞かせていただきたい。


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