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ピュアホワイトでスカイブルーでグリーンな生き方 【SHOWS Books #4】

<リード>
実業家・北野唯我さんと新規事業家・守屋実さんが、「未来をつくる人を増やすための教科書づくり」の一環として対談を行なう【公開本づくりプロジェクト】の第2回が2021年7月18日に行われました。


北野さんが描く「ミラツク構想」を土台に、今回は「事業の種の見つけ方」をテーマとして話を展開。「教科書」を銘打っているように、「ミラツク構想」では学校が意識されています。

本対談では、学校で教えてほしかったビジネスの話や、これからの生き方や働き方にまで話が及びました。全5回にわたってレポートします。

〇第1回(2021年6月実施)対談レポートはこちら
〇本対談を動画(約100分)でご覧になりたい方はこちら
Writer:落合真彩

<本文>
高度成長は一時代の“怪奇現象”でしかない。これからの「会社のプロ」は高リスク

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北野:守屋さんは事前のメモで「会社のプロ」と「仕事のプロ」は違うと書かれていました。これはどういうことですか?


守屋:日本人は高度成長期の成功体験が強すぎて、いまだに右肩上がりのイメージを引きずっているんですが、そんな成功は歴史上、昭和の一時代だけの話。世界史にも例を見ないような右肩上がりだったことで、その瞬間だけ「終身雇用」というものが存在したんです。

北野:僕もそう思います。

守屋:あれはあの一瞬でしかあり得ない“怪奇現象”だったと考えたほうがいいでしょう。とにかくわが国はその成功体験が凄まじすぎた。だから「この会社のために今日も明日も1年後も、9時から18時まで費やします」というマインドの人があまりに多い。そういう人が「会社のプロ」です。

でも終身雇用は令和の今となっては無理が生じています。現在、企業の平均寿命は23.5年。そう考えると、22歳で大学を卒業して就職すると、確率上45~6歳で会社が倒産する可能性があるんです。「会社のプロ」で生きている人は、45歳から新たな会社のプロにならなくてはいけなくなる。

企業側からすると、45歳で何らかの色がついてしまっている人よりも、22歳を何も染まっていない人を採った方がやりやすい。だからこれからは「会社のプロ」であるリスクは高くなっていきます。

北野:確かに。

守屋:「仕事のプロ」は、1種類の仕事でもいろいろな名刺を持っているような人。時間感覚や価値判断など、あらゆるものが会社のプロとは違います。たとえばスケジュールも、1年後の9時~18時をとりあえず空けておくということではなく、来月の予定さえも自分で埋めにいく。

入れた予定がお金を生まなければ干からびていきますから、その予定が将来お金を生む投資だったり、未来をつくるための時間になっているかどうかを1つひとつ判断していくことになります。

北野:本当にそうですよね。僕は、「どういう会社のプロになるか」によっても全然違うと思っています。最近、Amazonのジェフ・ベゾス氏がCEOを退任して、AWSを統括していたアンディ・ジャシー氏に引き継ぎました。ジャシー氏は「最もAmazonらしい人」と表現されているそうです。つまり、Amazonという会社の経営や“イズム”を一番理解している人。

こういう“イズム”という視点で会社のプロになる人と、表面のオペレーションだけを踏襲して会社のプロになる人ではまったく運命が違う。P&G出身で活躍されている経営者がたくさんいらっしゃるのも、P&Gの経営をイズムとしてインストールしているからではないかと思います。

ホワイトカラー/ブルーカラーでは二分できない「これからの働き方」

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守屋:その通りですね。そこに関連した話でいうと僕は、ホワイトカラーは「ピュアホワイト」と「オペレーショナルホワイト」に分岐すると思っているんです。


北野:面白い!それ何ですか?

守屋:ピュアホワイトは、今北野さんが言っていたイズムみたいなところを心得て経営やマネジメントや投資をしていく人。

オペレーショナルホワイトは、机に向かってはいるけれどもルーティン中のルーティンワークしかしていなくて、たまたま機械に置き変わっていないだけという状態。そういう人はいずれ、機械がした仕事の最終チェックをするといった形で付加価値が落ちていくと思います。

北野:まさにそれは僕の考えている会社のプロの分け方と同じですね。

守屋:さらに、一部の人は「スカイブルー」になると思っています。

北野:どういうことですか?

守屋:ブルーカラーはどんどん機械に置き換わっていきますが、それでも置き換わらない部分を担える人の価値はめちゃくちゃ高くなる。それは芸術だったり、クリエイティブだったり、あるいは新規事業の発想をする人だったり。そういう部分はブルーカラー寄りの仕事でも価値が高い「スカイブルー」になる。

あとは新種で「グリーン」というのも生まれてくると思っていますね。今、地方に移住して畑を耕している人もいると思います。そういう人はピュアホワイトを目指すようなギラギラ感はないし、スカイブルーで大活躍するということでもない。自然の中で、自分の力で暮らす。俗世間にあまり浸からず、金銭的な欲求を持たずに小さく生きていく感じです。

北野:「グリーン」っていわゆる道教的な考え方ですね。歴史を見ても、儒教の年功序列的な考え方や戦争の中で勝ち抜く教えが流行ったら、たいていその後、道教的な「競争とかじゃなくて、水のように生きていこうよ」という流れが来ます。そういった世の中の流れなのかなとちょっと思いますね。

守屋:「グリーン」では食えなかった時代から、それでも食える時代がやってくるんですよ。ベーシックインカムの構想も含めて、あらゆる生活コストが下がってくるし、労働生産性は上がるから。

今まで労働者はホワイトカラーとブルーカラーに分けられてきましたが、これからはそんな風にピュアホワイト、オペレーショナルホワイト、スカイブルー、グリーンなどに分岐していく。

僕なんかは投資家としてはピュアホワイトっぽいですが、新規事業家としてはもしかしたらスカイブルーかもしれないですね。そうやって1人がカラーを変えながらぐるぐる回ってもいいと思います。

北野:確かに。今、自分のチームがどんどん強くなってきていることを感じていて。この領域に関しては僕よりもAさんの方がすごいし、別の領域ではBさんの方がすごいと感じることが増えてきました。その時に「あれ?俺は彼らに対して何を提供できるんだろう?」と思うんです。

でも考えていくと、「思想」は僕が一番持っている。未来をこうしたいんだとか、これは絶対嫌だとか、はっきりと思想がある。それが結局、機械では代替できない部分になっているなと、ひしひしと感じます。それこそ“イズム”ですよね。イズムは強くなればなるほど重要だなと思います。(続く)

― SHOWSでは、今後も定期的に公開対談を行ないます。北野さんや守屋さんと一緒に「未来をつくる人を増やす本」をつくってみませんか?
SHOWSへはこちらから参加できます↓
https://community.camp-fire.jp/projects/view/315969

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<北野唯我の最新刊>

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