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年功序列型の評価システムで頂点に立った武将はいない/戦国ベンチャーズ 発売直前インタビュー Vol.1

2021年8月31日(火)に、北野唯我の新作「戦国ベンチャーズ― 人事の天才曹操と徳川家康に学ぶ、「強みの経営」とは?」が発売されます。子供の頃は理系少年で、「歴史が苦手だった」と語る北野さん。改めて歴史を勉強し直した時に、「めちゃくちゃ面白い!」と認識が変わったそうです。


今回の本のテーマは、歴史から読み解く「強みの経営」。

三国志を象徴する曹操や、江戸時代の初代将軍・徳川家康といった歴史上の人物をメインに、なぜ彼らが頂点を極めることができたのかを分析しています。初の歴史本発売に向けて意気込む北野さんに、今回の本に対する思いを伺いました。

※本記事は、3回に分けて連載します。

知りたいのは歴史上の”出来事”ではなく、歴史上の人物の”人間性”である

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ー 北野さんは歴史が苦手だったと聞きます。なぜ、このタイミングで歴史とビジネスを結びつけた本を出そうと思ったのでしょうか。

北野:もともと歴史を学ぶことにコンプレックスがありました。覚える量が膨大であるが故に、何から学んでいいかわからない。歴史上の人物や年号が頭に入ってこないため、テストはいつも赤点でした。僕と同じように歴史に対して苦手意識を持っている人も多いと思います。

ー 確かに。特に学生時代は、覚えることが目的となっていたせいか、社会人になっても苦手という方も多いと思います。

北野:そうですよね。「なんで歴史が面白くないのか」を考えてみたのですが、二つポイントがあるなと思いました。

一つ目は、「活かしにくい」ということ。多くの人は、今すぐに実践できるような即効性の高いノウハウを求めています。一方で、経営+歴史を理解していてかつ「面白い本」を書けるひとは少ないので、明日からすぐに使えるレベルのものまで落とし込めている歴史の本は、ほとんどありません。

二つ目は、「歴史上の“人物の性質”にフォーカスした本」が少ないということです。歴史に関する本の多くは、”出来事”にフォーカスしています。今回は、曹操や徳川家康をはじめ、織田信長、武田信玄などが本に出てきますが、それぞれの人物が「何をしたのか」は、みなさんある程度ご存知かと思います。ただ、みんなが本質的に興味を持つのは、その人が「どういう人柄だったのか」だと考えます。

”人物”にフォーカスを当てているかつ、明日からでも実践できるような内容が書かれている歴史の本であれば、僕は面白いと思える。そして、歴史が苦手だった僕でも面白いと思えるなら、多くのビジネスパーソンに面白いと思ってもらえるのではないかと思いました。それが、歴史とビジネスを結びつけた本を出そうと思った理由です。

ー 歴史の重要性を理解しながらも、苦手意識から一歩踏み出せないという方にも読みやすい本になっているのでしょうか。

北野:今回は、歴史に苦手意識を持った方でも読みやすいようなトーンを意識しています。先程も申したとおり、歴史はどこから学んでいいのかがわかりにくいです。この本は、自分が運営するコミュニティのメンバーと一緒に制作しているのですが、私の本をきっかけに三国志などに興味を持つメンバーが出てきていてます。少しでも歴史に対して興味を持つきっかけとなって、嬉しい限りです。


曹操や家康は「人を活かす」ことで頂点に立った

ー 数ある歴史上の人物の中で、曹操と徳川家康を特に重点的に記そうと思ったのはなぜでしょうか。

北野:結論から言うと、実績が圧倒的だったからです。

GAFAやMicrosoftのような世界を代表する企業って、100年後、200年後にどうなっているのかって誰も分からないじゃないですか。後世から見て、抜群に成果を出した将軍の人事戦略であれば、ファクトベースで説得力があります。

三国志の曹操は、「才能を集める才能」「人を活かす人事制度を作る才能」を持ち合わせていた人事の天才。「曹操がいなかったら中国、三国志の歴史は変わっていた」と言われるほどの破壊的なイノベーションを起こした人物です。中国の歴史を作ったという意味では圧倒的です。


徳川家康は、日本の歴史上の人物の中で、最も人材活用が上手かった人物の一人です。「人を用いるには、かならずその者の長所を取るべきである」という軸のもと、特徴的な人事制度を確立させていきました。家康が後世に残したインパクトは絶大でした。

曹操と家康は、人事のスーパースターと呼べるほどの圧倒的な実績を残していた。それが、取り上げた理由です。

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「年功序列」と「終身雇用」は全く違うものだ

ー 今の日本を見ると、「年功序列」や「終身雇用」がベースとなっており、「人を活かす」という文化は薄れているように感じます。そもそも「年功序列」と「終身雇用」の違いをどのようにとらえているのでしょうか。


北野:年功序列と終身雇用はセットで語られることが多いですが、全く違うものです。終身雇用は、企業が定年まで雇用を守る制度。年功序列は年齢を重ねるごとに給料・等級が上がっていくものです。

終身雇用に関しては、メリットもあると思っています。人間誰しも病気になる可能性がありますし、産休・育休などで一時的にお休みすることもあります。キャリアを保証することで、長い視点で物事を考えることができるようになるし、企業としても人材を確保しやすくなります。

一方で、年功序列の問題は、終身雇用とは独立しているものです。「終身雇用はあるけど年功序列はない」という企業の場合、「30歳・40歳までは年収が高くなる可能性があるが、それ以降は能力に応じて給料が大幅に下がる可能性もある。しかし、クビになることはない」ということになります。つまり、年功序列=雇用を守るという意味ではないと思っています。

年功序列は、人々をビジネスの本質から遠ざけます。例えば、同じ時期に営業として入社したAさんとBさんという二人がいたとします。お客様のために頑張り結果を残すAさん、お客様への対応は向いていないけど、飲み会などでの盛り上げ役として一役買っているBさん。年功序列の組織においては、両者の評価は一緒です。これってシンプルにおかしいですよね。そんな状況下でまともなビジネスパーソンが育つとは到底思えません。


なぜなら、ビジネスの本質は、「お客様のため」であるはずだから。ではどうすればいいか? その状況を変えるためには、「実力主義型の雇用システムしかない」と思われていますが、実は全然違う。それは「強みの経営」と呼ばれるものである、というのをこの本で伝えていきたいです。

(Vol.2へ続く)

本に興味を持たれた方は、下記URLよりお買い求めください。


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