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お坊さんの死生観日記 ~思想と臨床~ #002

こんにちは。土曜日の昼間から「苦しみ」の話で恐縮ですが、ハッピーエンドになるはずなので、最後まで聞いてください!笑 💦 今日のキーワードは、①加山雄三さん声 ②故 田中邦衛さんが自分に話しかけてくれる?! ③無線音声の不思議 ④四苦八苦への挑戦 です!

四苦八苦 という四字熟語はよく聞きますよね。これは仏教用語でして、四苦とは、生・老・病・死。それにもう4つの苦しみを追加して、八苦になります。今日は、そのうちの一つ、「愛別離苦」にフォーカスします。四苦八苦の全体については、また別途記事に取り上げましょう。

愛別離苦とは、文字通り、親子・兄弟・夫婦など、愛する人と別れる苦しみの意味です。生き別れも、死別も。とりわけ不慮の事故や病気もしくは自死で、若くして幼くして命を失うことは、悲しみは底なし沼のようです。先日、いのちの相談員をしている私たちの所へも、AYA世代のガンで親友を亡くし、喪失の心的ストレスが重く、会いたくてたまらないと泣き崩れる学生の方がいらっしゃいました。死別は、古今東西、胸が張り裂ける程の苦しみ(グリーフ)です…

一方、私たちはコロナ禍の中で、”会わない”コミュニケーション能力を著しく高めています。非対面でも、仕事をし、飲み会をし、デートをし、多くの事をそつなくこなせるようになりました。さらに、アプリClubhouseという声だけのSNSサービスが登場し、アプリ内で初めて会う人たちと、「声を聴くだけで」友達となり、信頼を醸成し、恋愛関係を育めるまでになりました。

大切な人の「声を聴くだけで」も、私たちは安らぎを覚え、安心し、心を平穏を保つのに十分な恩恵を受けるのでした。

さて、ここでやっと、キーワード①。笑 昨日4月2日のNHK朝のニュース。「加山雄三さん(※ご存命!)の声 AIで合成し町なかに」。https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210324/k10012932621000.html

「加山さんが実際に文章を読んで、声をAI=人工知能に学習させたということで、伝えたい内容をデータで入力すると加山さんと同じ声で読むことができます。」 番組では、このAIシステムを使って、実際に桑子アナウンサーに語り掛けるシーンがあり、誰もが加山雄三さんが話しているものだと錯覚します。が、実際は、スタッフが文字入力しただけのことです。私はこのAIシステムを知って、ドキリとしました。どういうことかというと、あらゆる文章を、加山雄三に語らせることが出来るということであり、加山雄三ご本人がご逝去された後も、あたかも本人が話しているかのように、語らせることが可能だということです。

今朝のニュースで、田中邦衛さんの訃報が伝えられました。さだまさしの隠れファンである私は、当然「北の国から」も好きです。さて、田中邦衛さんの声のAIシステムは作成しなかったのでしょうか? 「ほたるぅー!じゅーん!」と叫び、感動が再び呼び起こされます。あの独特な語り口で、田中邦衛さんから、自分の名前を叫んでもらって、励ましてもらえれば、落ち込んだ時も、早く立ち直れそうです。自分を褒め、励ます文章を、自分で作れるのですから。

この声のAIシステムというのは、実は、人間の死を部分的にしろ超越してしまうような、ものすごい、とんでもない、代物なのではないでしょうか? この世にはすでにいない、でも大切な人が、自分に、本人そのものの声で語り掛けてくれるのです。

明日も、この続きを少し書きます。 皆さまも、このAIシステムを使った近い将来を是非想像してみてください。


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