上手さを産む上手さ
絵の上手さの種類は非常に沢山ありますが
上手さの中には、
前提として特定の上手さがないとたどり着けない仕組みになっている上手さがあります。
こういうタイプの上手さは
プロ画家達もほとんどの人はたどり着いていません。
辿り着いていないどころかその存在すら知れません。
その原因はその上手さの前提となる特定の上手さを持っていないからです。
どの上手さが、その先の上手さを産むのか
常に考えましょう。
例を挙げます。
人物画を描く画家のほとんどは下描きを描きます。
人物画は正確性が求められるからです。
しかし私は下描きを描かない事が多く
描くとしてもラフです。
それは
下描きを描かないで描ける自分の上手さアピールのためではなく、
下描きを描かないで描ける上手さがないとその先の様々な上手さが手に入らない仕組みがあるからです。
ですから熟練の巨匠の中でもしっかり下描きをするタイプの巨匠達はその種類の上手さにたどり着いていません。
私も下描き無しで描くようになってから初めて気が付きました。
しかし単に下描き無しで描いても、その先の上手さには辿り着きません。
必要条件であって充分条件ではない
ということです。
ここの詳細はまたいつか。
その他に、外で絵を描く上手さが他の上手さを産む前提になっていたり
写真を使わずに描く上手さが、他の上手さを産む前提になっていたりします。
一流画家がやれと言っている練習の本質はここにあります。
ですから
下描きに頼る画家はその先にある世界を知りませんし
写真に頼る画家はその先にある世界を知りませんし
外で描かない画家はその先にある世界を知りません。
難しい事の中には
「無駄に難しいこと」もあります。
それは無意味なので避けましょう。
しかし「その先の世界のアクセス権になっているもの」があります。
これを肝に銘じて難しい事から逃げずに修行していきましょう。
いいなと思ったら応援しよう!
