1行怪談
出口が無いと評判の迷路に入ってみたが、今入ってきたはずの入り口が見当たらない
公園で動き回る色とりどりの風船を、包丁で割り続けた
家の庭の隅っこで、透明の何かが雨に打たれている
崖下から「助けて!!」と声がしたので急いで覗き見ると、マネキンが一体ぷかぷかと浮いていた
天井の染みが「ニタリ」と笑った
なんだか昨日よりも見る夢がはっきりと、長くなってきているような気がする
「目の前のボタンを押してください」とアナウンスが鳴りその通りにすると、隣の部屋からも同じアナウンスが聞こえた
閉めたはずの内鍵が独りでに開いていく
足音は遅れて聞こえてくるのに、影は先に歩いていく
死んだ父の葬儀のはずなのに、何故か棺桶には母が死に化粧をして収まっている
前を走るトラックの荷台に、巨大な骸骨がしがみついている
人を死に至らしめる香水を手に入れたが、どう使うか考える為にベランダに出た
昨日猫を轢いてしまってから、頭の中で鐘の音が鳴り止まない
手帳の明後日の日付けに「遭難」とあるが、一体誰が書いたのだろうか
見知らぬ女が毎朝どこかの角で待ち伏せして、出会い頭にぶつかってくる
いずれ1行怪談のみの本も出したいなと思います^^