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[同人誌]英国メイドの暮らし VOL.2

解説・補足

2022年冬コミ新刊同人誌『英国メイドの暮らし VOL.2』に関する情報です。

同人誌情報
タイトル:英国メイドの暮らし VOL.2
発行:2022年8月
値段  :2000円
サイズ・ページ:A5/256ページ
頒布開始:2022/08/13(土) コミックマーケット100
表紙・裏表紙イラスト:有井エリス様
表紙・裏表紙デザイン:地獄のデストロイ子様
委託先:とらのあなメロンブックス

以下、同人誌本文冒頭を抜粋します。

目次

【はじめに】

第1章 家政マニュアルから見る英国の家事 家事はどう変化し、使用人の仕事はどう書かれたか?

  • 【家政マニュアルの世界】

    • ■はじめに

    • ■19世紀の家政マニュアルの目次

  • 【「家政」「マニュアル」について】

    • ■対象領域の分類

    • ■補足:言及する範囲・手法について

  • 【A:広義の家政】

    • ■男性の領地経営を記した「家政学」

    • ■古代ギリシアの家政書『オイコノミクス』

  • 【B:子供の教育】

    • ■教育本の二つの系統

  • 【C:女性向けマニュアル(医療知識を含む)】

    • ■英国の中流階級向けのガイド本

    • ■「義務」を示す「Duty」の変化

    • ■女性と出版について

  • 【D:料理レシピ本の系譜】

    • ■「広義のレシピ本」との重なり

    • ■料理レシピ本の広がり

    • ■古代ローマの料理レシピ

    • ■フランス料理の影響と英国独自の発展

    • ■美食の最先端フランス

    • ■19世紀前半の英国の料理レシピ本

    • ■科学的・実用的な料理『ミセス・ビートンの家政読本』へ

  • 【E:家事使用人マニュアル】

    • ■家事使用人の時代区分による特徴とマニュアルの内容
      ◯15-16世紀「良家出身の家事使用人」
      ◯16-18世紀「奉公人・家族としての家事使用人」

  • 【「家政」の転換点:消費社会と「家」】

    • ■消費社会がもたらした自給自足の崩壊

    • ■「要求水準上昇」と「複雑化」で手間が増える家事

  • 【「家事使用人マニュアル」の完成へ】

第2章 『ミセス・ビートンの家政読本』翻訳

  • 第1章 女主人

  • 第2章 ハウスキーパー

  • 第3章 キッチンのアレンジメントと経済性(抜粋)

第3章 『家事使用人の実践ガイド』翻訳


【はじめに】

 本書は、英国貴族の屋敷で働く執事やメイドの仕事を解説するシリーズ『ヴィクトリア朝の暮らし』や、その総集編『英国メイドの世界』など、これまで21年行ってきた家事使用人研究活動のリブート版として、家事使用人についての知識を深める活動をまとめたものです。
 今回、2巻目となります。

 1巻で書きましたように、リブート版を書く大きな動機は、当時と手に入る資料が変化したことと、屋敷の生活に関する知識の幅を広げたこと、この2点です。詳細は1巻に書きましたので要約すると、次の通りです。

■リブートの理由1:手に入る資料の変化

・英国の使用人資料がドラマ『ダウントン・アビー』の世界的ヒットで急増。
・ファミリーヒストリーの流行で先祖への関心の高まりでの資料発掘増加。
・ネットのデジタルアーカイブ公開量が増加し、読める19世紀の資料が増加。
・安価な論文の定期購読サービスにより、専門誌掲載論文も読みやすくなる。
・機械翻訳DeepLの精度向上と、翻訳ミス・固有の癖へ理解が進んだ。

■リブートの理由2:関心領域の広がり

・時代考証の仕事で、古代ギリシアやローマ、アラビア、ヨーロッパ中世、宗教・科学・医学・錬金術・占星術・魔術・出版技術など幅広い領域に関わり、これら領域から英国の屋敷や家事使用人の重なりを見出す機会が増える。
・たとえば屋敷のスティルルーム(蒸留室)は薬・香水を作る役割を持つが、これは蒸留を行う錬金術や、医薬の歴史と重なっている。
・19世紀に流行した手順を再現するレシピ本・マニュアル本も、古来の本草学や医学の知識があり、また手順を再現する魔術書と構造的に同じ。

■英国メイド資料インフラ増強のために

 私の研究活動の目標は、日本で英国メイドの知識を広げることです。たとえば「ハウスキーパー」と言ったとき、それが「家事使用人職」で「上級使用人」で「ハウスメイドなど家政系メイドの上司」だと伝わるようにしたいのです。
 そうした基礎的なことを踏まえつつ、日本でも総合的なメイド資料が既に増えているため、アクセスしやすくなった19世紀の英語資料や、関心領域を広げる資料を提供したいと考えています。もちろん、何よりも「自分がそれらを読みたい」から本を作りたいのです。
 というところで今回も前回に続き、「考察」と「翻訳資料」という構成で、英国メイドへの理解を深める情報をお届けしたいと思います。
 本書に掲載している第2章・第3章の家事使用人にまつわる資料は、DeepLを使ってとにかく早く翻訳して数多く出していこうとの考えに基づき、翻訳した後に見直し・手を入れています。noteの有料マガジンで公開中です。

■目次と内容の概要

 『英国メイドの暮らし』の2冊目となる今回は、3章の構成です。

◯第1章:家政マニュアルから見る英国の家事
 19世紀には、料理の準備や、細かな掃除の方法、そしてそれを託せる家事使用人をマネジメントする知識など、日常生活で必要となる家事知識を詰め込んだ「家政マニュアル」が数多く出版されました。
 私が『英国メイドの世界』を書いた際、最も役立った資料のひとつがこの「家政マニュアル」です。そこには「ハウスメイド」「キッチンメイド」「ハウスキーパー」「フットマン」など屋敷で働く多くの使用人職種が個別にどのような仕事をしたのか、どのような1日のスケジュールで動いたのか、そして給与・手当・休み時間といった労働環境はどうだったのかなど、数多くの情報が細かく詰め込まれていました。
 17-19世紀に出版された本を中心に、この家政マニュアルを考察します。

◯第2章:【翻訳】『ミセス・ビートンの家政読本』
 家政マニュアルを代表する当時のベストセラー『ミセス・ビートンの家政読本』から2章分を翻訳します。全ページはあまりにも分量が多いため、今回は本を買い求めた当時の中流階級の主婦に最初に伝えられた第1章「女主人」、第2章「ハウスキーパー」から、女主人に求められた役割を伝えます。
 他にキッチンへの考え方や家事使用人への言及があるので、第3章「キッチンのアレンジメントと経済性」の一部を追加しています。

◯第3章:【翻訳】『家事使用人の実践ガイド』
 これから家事使用人を雇おうとする「雇用主向け」に「使用人に何をさせるか」を中心に書かれています。雇用できる人の上限ごとの仕事配分の基準などもあり、網羅的で様々な情報が詰め込まれています。


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久我真樹
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