FRBによる大幅利下げによる米国株の不安の高まり、どんな対策すればいいのか

先日FRBによる大幅な利下げが行われました。
この利下げを行なった理由は大雑把に2つあり「インフレを抑制」・「失業理の上昇」があります。

そもそもで経済は常に「成長と収縮」のサイクルを繰り返しています。これに合わせて、中央銀行は次のように利上げと利下げのサイクルを行います。

  • 経済が成長しすぎる(過熱)→利上げ: インフレが進行し、経済が過熱しすぎると、中央銀行は利上げを行い、経済のスピードを抑えます。

  • 経済が冷え込む→利下げ: 経済が減速し、景気が悪化する兆しが見えると、中央銀行は利下げを行い、経済を再び成長させるために消費や投資を刺激します。

コロナやウクライナとロシアとの戦争影響でサプライチェーンのボトルネックやエネルギー高騰により、急激なインフレになりました。
2022年~2024年にかけて、アメリカのFRBは急激なインフレを抑えるために金利を引き上げました。これにより、インフレは次第に落ち着きましたが、景気も冷え込みました。

FRBが利下げを行なったのは、経景気が後退し始めていると判断したのです。利下げサイクルの開始は景気の悪化を示すことが多いです。過去の事例を2つ紹介いたします。

1. 2001年のドットコムバブル崩壊
2001年初頭、インフレは低下傾向にありましたが、雇用の減少や経済成長の鈍化が見られました。FRBはこれに対応するために利下げを行いましたが、株式市場は急激な景気後退のリスクを意識し、暴落しました。特に、ドットコム企業の株価が過大評価されていたこともあり、ITバブルが崩壊し、NASDAQ指数は大幅な下落を経験しました。

2. 2007-2008年の金融危機前夜
2007年には、住宅バブルの崩壊とそれに伴うサブプライムローン問題が顕在化し、雇用市場が弱くなり始めました。インフレ率は低下していましたが、FRBは経済の先行きに懸念を抱き、利下げを実施しました。しかし、金融システム全体の不安定さが増大し、2008年のリーマンショックにつながり、株価は暴落しました。この時も、利下げは経済不安に対処するためでしたが、市場はそれを景気の急激な悪化の前触れと捉えたため、大幅な株価の下落が起こりました。

もちろん今日とは状況は全く同じではありませんが、今後は景気の指数を注視していく必要があると思います。今後注視していかなければいけないポイントは下記の通りです・
利下げにより消費者により支出が増え、インフレが再び上昇してくる可能性。
利下げによる経済の消費や投資に刺激を与えたが経済を再び成長しなかった場合。
上記のようなことが何で確認できるかというと「失業率」・「CPI(消費者物価指数)」この2つで確認できます。

米国で利下げが行われ経済が不安定な局面、リスクを抑えつつ、安定した上昇が期待できる投資先は下記のようなところがあります。

1.ディフェンシブセクターへの投資

ディフェンシブセクター(防御的セクター)は、景気の状況に沿って安定した収益を得られる企業が多い分野です。これらのセクターは、不況でも需要が減少しにくいという特徴があります。

  • 医療セクター(ジョウンソン・エンド・ジョンソン、ユナイテッドヘルス・グループなど)

  • 公共事業セクター(デュークエナジー、サザン・カンパニーなど)

  • 生活必需品セクター(コカ・コーラ、P&G、ウォールマートなど)

2.債券への投資

経済が不安定な時期に債券に投資することには、いくつかのメリットがあります。 特に利下げ環境ではありますが、債券は比較的安全で魅力的な投資対象です。利下げが行われると、債券価格が上昇する傾向があります。また、利下げ局面は経済が不安定であることが多いため、安全資産である債券へ移す投資家が増えます。

3.金(ゴールド)への投資

金(ゴールド)は、経済が不安定な時期に「安全な避難先*投資家として好まれます。利下げをすることでドルの魅力が低下してしまい、投資家は金(ゴールド)を買う傾向があります。
また、地政学的な問題で中国やロシアなど金(ゴールド)の保有量が上がっていますし、各国の中央銀行も金(ゴールド)の保有量を増やしていることもあり、金(ゴールド)の価格は高騰しています。

4.成長が期待できる企業への投資

時代不況でも成長を続ける企業や、特定の分野で将来性が見込める企業は、長期的には意義深いです。また、成長が期待できる企業でもこのような時期には株価は下がることがあるので、株価が下がった安いときに買うのも効率的です。

5.現金位置を維持

不安定な経済状況では、リスクを避けて現金ポジションを高めることも有効です。 市場の変動が大きくなりすぎる場合や先行きが見えない場合は、一時的に現金や流動性の高い資産を保有しており、市場の安定を戦略的に待つことも考えらます。

今回の大幅な利下げが正しいかの裏付けは、9月27日に発表されるPCE(個人消費支出)価格指数で決まってくるでしょう。この指数が悪い数字であれば、株価の下落は避けられないでしょう。
9月27日に発表されるPCE(個人消費支出)価格指数に注目です。


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