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米12月PCEデフレータはインフレの鈍化傾向だが、高止まりしている現状


アメリカのPCEデフレーターが発表されましたので結果とそこからわかることを解説していきます。

PCEデフレーターは、インフレを図る指標の1つで2025年はインフレ再熱が注目されていますので、PCEデフレーターは今後重要な指標です。

1.PCEデフレーターとは

PCEデフレーターは、米国のインフレを測る指標の1つです。特に、FRB(米連邦準備制度理事会)が最も重視するインフレ指標として知られています。

・「個人消費」に基づくインフレ指標
PCEデフレーターは、米国の消費者が購入するモノやサービスの価格変動を反映したものです。具体的には、食品、家賃、医療、娯楽など、日常生活で使うものの価格変化を測ります。

コアPCEデフレーターとは?
コアPCEデフレーター」は、食品とエネルギーを除いた指標です。
食品やエネルギーの価格は、天候や国際情勢で大きく変動するため、一時的な影響を取り除き、基調的なインフレ傾向を分析しやすくするためです。

FRBが金融政策(利上げや利下げ)を決めるときに最も参考にする指標だからです。
・PCEデフレーターが高い → インフレ加速 → FRBは金利を上げる(金融引き締め)
・PCEデフレーターが低い → インフレ鈍化 → FRBは金利を下げる(金融緩和)

  • PCEデフレーター = 米国のインフレを測る重要指標

  • CPIよりも幅広く、実際の消費動向を反映しやすい

  • FRBが金利を決める際に最も重視するインフレ指標

2.12月のPCEデータ

2-1.PCEデフレータ

・PCEデフレータ(前年比):2.6%(結果)・2.6%(予想)・2.4%(前回)
・PCEデフレータ(前月比):0.3%(結果)・0.3%(予想)

PCEデフレータ(前年比)

PCEデフレータを見るとインフレは鈍化傾向にありますが、依然として2%になるまでには時間がかかりそうです。

2-2.コアPCEデフレータ

・コアPCEデフレータ(前年比):2.8%(結果)・2.8%(予想)・2.8%(前回)
・コアPCEデフレータ(前月比):0.2%(結果)・0.2%(予想)・0.1%(前回)

コアPCEデフレータ(前年比)

12月のコアPCEデフレーター(食品・エネルギーを除く個人消費支出価格指数)は前年比2.8%上昇し、FRBが目標とする2%を依然として上回っており、インフレが根強く残る結果となりました。また、前月比では0.2%の上昇にとどまり、短期的な加速は見られませんでした。

市場の反応としては、インフレ根強さがあるもののインフレは鈍化傾向に、株価は上昇、米国債利回りは変動しました。FRBのパウエル議長は「利下げを急ぐ必要はない」と慎重な姿勢を崩しておらず、金融政策の方向性は今後のデータ次第となるでしょう。

3.金利引き下げを支える可能性

12月のコアPCE(個人消費支出価格指数)は前年比2.8%上昇し、11月比では0.2%増となった。

一方で、実質可処分所得は2カ月連続でほぼ横ばいとなり、貯蓄率は3.8%と2年ぶりの低水準に落ち込んだ。これにより、消費者は貯蓄を取り崩しながら支出を維持している可能性がある。

3-1.FRBの金融政策と市場の反応

ジェローム・パウエルFRB議長は、金利引き下げを決定する前にさらなるインフレ改善を確認する必要があると発言。これを受け、市場はFRBの早期利下げ期待を慎重に修正した。

発表後、株価先物は上昇し、米国債利回りは変動。また、労働コストの伸びが鈍化し、第4四半期の上昇率は2021年以来の最低水準となった。

3-2.消費と経済成長の動向

個人消費は引き続き堅調で、特に耐久財支出の増加が目立った。これにより、第4四半期のGDPは2.3%成長し、2023年初頭以来最も速い個人消費の伸びが経済成長を牽引した。また、消費者はトランプ前大統領の関税提案による物価上昇を警戒し、前倒しで購入する動きも見られている。

3-3.今後の見通しとリスク要因

  • FRBの金利引き下げ時期は依然不透明だが、インフレ鈍化が進めば年内の利下げは現実的

  • ただし、労働市場が引き続き強ければFRBは慎重姿勢を維持する可能性がある。

  • 3月発表の雇用統計の修正や、来月の消費者物価指数(CPI)の新たな調整が今後の金融政策に影響を与える見込み。

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