真横にあるオリオン座
深夜2時。
すでに多くの方が準備をする音で目が覚めました。目的は富士山頂上でのご来光。
山小屋までの旅路で濡れていた登山服に着替えながら、私はすでにワクワクしていました。
朝食?のカレーを食べ終わり、山小屋を出たその瞬間、私の求めていた致景が大きく広がりました。
視界のおよそ270°を覆い尽くすほどの星、星、星。
その絶景に息を飲みました。
星々に飲まれながら、私はある星座を探します。
星座を探すために、8年経った今でも覚えている父の言葉を反芻します。
「オリオン座がね、真横に見えるんだ」
私は右手を垂直に伸ばし、その先に目を向けました。
そして、あの特徴的なオリオンのベルトを見つけます。
本当に、真横にあるんだ。
この経験は一生忘れないだろうな、と思いながら山道を登りました。
山頂までは2時間の旅程でしたが、不思議と疲れはありませんでした。
それは、一緒に登っているオリオン座が常に力をくれていたからかもしれません。