電脳血戦!ニート吸血鬼葛葉と壱百満天原サロメのお嬢様炎上対策バトル。
第1話: サロメ、炎上!? お嬢様の危機
炎上の兆候 - コメント欄の異変
壱百満天原サロメは、いつものように優雅に紅茶をすすっていた。配信の準備をしながら、コメント欄をチェックするのが日課だ。しかし、今日は様子が違った。
「あら? 少しコメントの流れが…おかしいですわね?」
普段は「お嬢様、今日も麗しい!」「サロメ様しか勝たん!」といった好意的なコメントで溢れているはずの画面が、今日は異様な空気に包まれている。
`サロメは裏で何かやってるのか?`
`お嬢様口調、マジ無理。聞いててイライラする`
`炎上商法乙。もう見ないわ`
最初はアンチの煽りかと思った。だが、その数は尋常ではない。まるで嵐のように、ネガティブなコメントが次々と流れ込んでくる。
「これは…ただの荒らしではありませんわね…」
サロメは配信を一時中断し、コメントを詳しく調べ始めた。すると、特定の動画の切り抜きが悪意を持って拡散され、炎上を煽っていることがわかった。切り抜きは、サロメが過去の配信で冗談交じりに話した内容を、あたかも本心であるかのように歪曲したものだった。
「誰が…こんなことを…?」
サロメは背筋に冷たいものを感じた。これは単なる炎上ではない。誰かが意図的に自分を陥れようとしている。
緊急配信!釈明なるか、大炎上か?
事態を重く見たサロメは、緊急配信を行うことを決意した。震える指で配信ボタンを押す。
「皆様、こんばんは。壱百満天原サロメですわ。本日は、皆様にご心配をおかけしている件について、ご説明させて頂きたく…」
配信開始と同時に、コメント欄はさらに混沌とした。釈明を求める声、罵詈雑言、そして煽り。サロメは深呼吸をして、落ち着いて話し始めた。
「今回、一部で拡散されている切り抜き動画について、誤解を招く表現があったことは、深くお詫び申し上げます。しかし、それはあくまで冗談であり、私自身の本意ではありません。どうか、切り抜き動画だけでなく、全ての配信を見て頂ければ、ご理解頂けると思いますわ」
サロメは丁寧に、一つ一つの疑惑について釈明していった。しかし、コメント欄の炎上は収まる気配がない。それどころか、サロメの説明に揚げ足を取るような、悪質なコメントが増え続けている。
「(このままでは…大炎上してしまう…!)」
焦燥感が募る。サロメは必死に言葉を紡いだが、炎上を鎮火させることはできなかった。配信終了間際、サロメは涙目で訴えた。
「私は…皆様に楽しんで頂きたくて、配信をしているだけなんです。どうか、信じてくださいまし…」
配信は打ち切られた。サロメは力なく椅子に座り込んだ。頭の中は真っ白だ。
黒幕の影…誰がサロメを陥れたのか?
配信後、サロメはマネージャーに連絡を取り、今後の対策について話し合った。しかし、事態は深刻で、解決の糸口は見つからない。
「これは…組織的な動きかもしれませんね。特定の個人やグループが、サロメさんをターゲットにしている可能性があります」
マネージャーの言葉に、サロメは愕然とした。誰が、何のために、自分を陥れようとしているのか?
その夜、サロメは一人でネットの情報を集めていた。すると、ある掲示板で、自分を中傷するスレッドが立てられているのを見つけた。スレッドには、サロメの個人情報や、過去の発言に関する捏造記事が掲載されていた。
「こんな…酷すぎますわ…!」
サロメは恐怖に震えた。これはただの炎上ではない。明確な悪意を持った、犯罪行為だ。
その時、サロメの目に、ある書き込みが飛び込んできた。
`「サロメを陥れたのは、葛葉を陥れたのと同じ奴らだ」`
葛葉…? サロメは以前、コラボ配信で少し話したことがある程度の関係だ。なぜ、彼の名前が出てくるのだろう?
サロメは葛葉の配信アーカイブを調べ始めた。すると、葛葉も過去に大規模な炎上に見舞われ、その裏には組織的な誹謗中傷があったことがわかった。
「まさか…私を陥れたのは、葛葉さんを陥れたのと同じ人物…?」
サロメは直感的に、これはただ事ではないと感じた。そして、葛葉に連絡を取ることを決意した。
次の瞬間、サロメのスマホが鳴った。画面には「葛葉」の文字。
「もしもし、壱百満天原サロメですわ。あの…」
「あー、サロメか。お前もやられたみてーだな。ちょっと話がある。今からそっち行っていいか?」
葛葉の声は、いつものように気だるげだったが、その奥には何か強い決意が秘められているように感じられた。
「(葛葉さん…一体何を知っているんですの…?)」
サロメは、これから始まるであろう戦いに、かすかな希望を抱きつつも、大きな不安を感じていた。
この物語は、始まったばかりだ。サロメを陥れたのは誰なのか? そして、ニート吸血鬼、葛葉は、どのようにサロメを救うのか? 次の話に続く!
第2話: ニート吸血鬼、葛葉の参戦
葛葉、沈黙を破る - 謎のツイート
燃え盛る炎を模したアバターアイコンが画面を埋め尽くす。壱百満天原サロメの配信画面は、まさに阿鼻叫喚の地獄絵図と化していた。コメントは辛辣な言葉で埋め尽くされ、スパムのように同じ文言が連投される。
「サロメ嬢、マジで炎上ですわ…」
マネージャーからの震える声が、サロメのイヤホンから聞こえる。必死に笑顔を貼り付け、お嬢様口調を維持しようとするが、声が震えるのは隠せない。
「お、おほほ…皆様、落ち着いてくださいませ。誤解ですわ!」
しかし、その言葉は火に油を注ぐ結果となった。炎上は加速し、トレンド入りすら果たしてしまう。
その時、静寂を切り裂くように、一本のツイートが世界を駆け巡った。
`@葛葉LeF: めんどくせぇ… が、仕方ねぇか。 #壱百満天原サロメ #炎上 #助ける `
簡潔すぎる言葉。しかし、その背後にある圧倒的な存在感は、炎上を燃料にさらに勢いを増した。葛葉、あのニート吸血鬼が動いたのだ。
「え…? 葛葉様…?」
サロメは茫然自失とした。接点などほとんどない、異世界の住人。なぜ彼が自分を助けるのだろうか? 疑問が渦巻く中、葛葉は次の一手を打つ。
炎上鎮火作戦始動!葛葉×サロメ、禁断のコラボ!?
葛葉の次のツイートは、さらに衝撃的だった。
`@葛葉LeF: 今からサロメの配信に凸る。指示厨はBANな。`
「凸る!? 凸とは一体…?」
サロメは混乱した。配信用語に疎いお嬢様は、マネージャーに意味を尋ねる。マネージャーは青ざめた顔で答えた。
「突撃のことです… 葛葉さんが、サロメさんの配信に直接参加されるということです!」
直後、サロメの配信に葛葉からの通話リクエストが届いた。深呼吸を一つ。覚悟を決めて、通話ボタンを押す。
「…もしもし、葛葉様…? なぜ、私を?」
低く、少し気だるげな声がスピーカーから響く。
「適当。炎上してるの見たら、なんか面白そうじゃん? あと、総務省からなんか言われてるっぽいし。ほっとけないでしょ、一応」
総務省…!? サロメは目を見開いた。自分が想像以上に大きな問題に巻き込まれていることを悟る。
「とりあえず、今は視聴者の相手は任せろ。お前は、俺の言う通りにするだけでいい」
葛葉の声には、有無を言わせぬ迫力があった。こうして、ニート吸血鬼と炎上お嬢様による、前代未聞のコラボ配信が始まったのだ。
葛葉は、いつものゲーム実況のような口調で、視聴者のコメントに的確に、そして容赦なくツッコミを入れていく。辛辣な言葉には冷静に論破し、的外れな批判には煽り気味に反論する。その様子は、まるで炎を操る魔術師のようだった。
「お嬢様口調が嘘くさい? 嘘じゃねーよ。お前らが勝手に妄想してるだけだろ。配信見たことある? なぁ?」
容赦のない言葉遣いに、サロメは内心ヒヤヒヤする。しかし、不思議なことに、炎上は徐々に鎮火し始めていた。葛葉の言葉には、圧倒的な説得力と、どこか人を惹きつける魅力があったのだ。
予測不能の化学反応!炎上は鎮火するのか?
葛葉の参戦から数十分後、信じられない光景が広がっていた。阿鼻叫喚だったコメント欄は、徐々に肯定的な意見が増え始め、葛葉とサロメのコラボを応援する声も上がり始めたのだ。
「葛葉さん、マジで神!」
「サロメ嬢、葛葉さんといると面白い!」
「このコラボ、最高だ!」
炎上が鎮火し始めたのだ。しかし、サロメはまだ油断できないと感じていた。黒幕の存在が、まだ明らかになっていないからだ。
配信終了後、サロメは葛葉に改めて感謝を伝えた。
「葛葉様、本当にありがとうございました。おかげで、少し落ち着きましたわ」
「別に。暇つぶしだし。でも、今回の炎上、ただの偶然じゃないと思うぜ」
葛葉の言葉に、サロメは息を呑む。
「…どういう意味ですの?」
「誰かが、お前を陥れようとしている。匂うんだよ、血の匂いがな」
吸血鬼である葛葉だからこそ感じ取れる、悪意の匂い。
「…これからどうすればいいのでしょうか?」
サロメの不安そうな声に、葛葉はニヤリと笑う。
「面白いじゃん。犯人探し、手伝ってやるよ。ただし、俺の条件は一つ。…お前も、血を吸わせてくれ」
葛葉の言葉に、サロメは恐怖と好奇心が入り混じった感情を抱く。ニート吸血鬼との奇妙な協力関係。果たして、サロメは炎上を乗り越え、黒幕を突き止めることができるのか? そして、葛葉の真の目的とは一体何なのか?
次回、第3話:過去からの刺客 - サロメの秘密。
お嬢様口調の裏に隠された秘密が明らかに!? 止まらない誹謗中傷の嵐の中、葛葉は過去と対峙する! 吸血鬼の涙が、真実を照らし出す! 次回もお楽しみに!
第3話: 過去からの刺客 - サロメの秘密
明かされる過去…お嬢様口調の裏側
「うっ…頭が…」
サロメは自室のベッドで目を覚ました。昨夜の配信後、コメント欄の荒れように心を痛め、ほとんど眠れなかった。スマホを手に取り、恐る恐るコメント欄を開く。案の定、そこには罵詈雑言が並んでいた。しかし、その中に混じって、ある一文がサロメの目を引いた。
「お嬢様ぶってんじゃねぇよ、偽物。お前の過去を知ってんだよ」
ゾッとした。過去…?サロメは震える手でスマホを握りしめた。彼女のお嬢様口調は、幼い頃からの憧れを形にしたものだった。だが、その裏には誰にも言えない秘密が隠されていた。
配信を始めた当初、その秘密を隠し通せると思っていた。しかし、炎上が激化するにつれ、過去を知る人物が姿を現し始めたのだ。
「…どうして…」
過去を暴かれれば、築き上げてきたものが全て崩れ去るかもしれない。不安と恐怖で、サロメの心は押しつぶされそうだった。
一方、葛葉はサロメの異変を察知していた。配信中に見せた一瞬の表情から、何かを抱え込んでいることを感じ取ったのだ。
「めんどくせぇけど…放っておけねぇか…」
葛葉は、愛用のゲーミングPCを起動させた。画面には、サロメの配信アーカイブが映し出されている。彼は、サロメの過去に繋がる手がかりを探し始めた。
誹謗中傷の嵐!止まらない悪意
サロメの配信は連日炎上を続け、誹謗中傷はエスカレートの一途を辿っていた。匿名掲示板には、サロメの過去を匂わせる書き込みが増え始め、その内容は次第に具体性を帯びていった。
「壱百満天原サロメ、本名は〇〇。元々は〇〇だったらしい」
「あのお嬢様口調は全部嘘。本当は下品な言葉遣いだったんだって」
「裏垢流出!サロメのすっぴん写真がヤバすぎる」
これらの書き込みは瞬く間に拡散され、サロメのファンだけでなく、アンチまでも巻き込んだ大騒動となった。サロメのチャンネル登録者数は減少し、コラボ予定だった他のVTuberも次々と企画をキャンセルしていった。
「もう…ダメだ…」
サロメは絶望の淵に立たされていた。過去を暴かれただけでなく、誹謗中傷によって人格までも否定されたのだ。彼女は配信を休止し、自室に引きこもってしまった。
そんな状況を見かねたスタッフの一人が、葛葉に連絡を入れた。
「葛葉さん、どうかサロメさんを助けてあげてください!彼女は今、本当に苦しんでいます!」
葛葉は、スタッフからの電話を切ると、深くため息をついた。
「…マジでめんどくせぇ…けど、しゃーねぇか」
彼は、重い腰を上げ、サロメの元へと向かった。
葛葉、過去と対峙 - 吸血鬼の涙
サロメの部屋を訪れた葛葉は、インターホンを鳴らした。しかし、返事はなかった。諦めずに何度も呼びかけると、ようやく重い足音が聞こえ、ドアがゆっくりと開いた。
そこに立っていたのは、憔悴しきったサロメだった。トレードマークのお嬢様口調は影を潜め、目は虚ろで生気を失っていた。
「…葛葉さん…どうして…」
サロメは、力なく呟いた。
「心配だから来たんだよ。お前、大丈夫か?」
葛葉は、ストレートに尋ねた。サロメは、堰を切ったように涙を流し始めた。
「私…もうダメなんです…過去が…全部バレて…」
彼女は、幼い頃の貧しい生活、周囲からの差別、そしてお嬢様になることを夢見て必死に努力した過去を語った。
「…だから、嘘をついていたんです。本当の自分を隠して、理想の自分を演じていたんです…」
葛葉は、サロメの言葉を静かに聞いていた。彼は、過去の辛い経験を乗り越えてきたサロメの強さを感じていた。
「…お前は、十分頑張ってるじゃねぇか。過去のことなんて気にすんなよ」
葛葉は、そっとサロメを抱きしめた。
「…でも…もう、どうすればいいか…」
「いいか、サロメ。過去は過去だ。変えることはできない。でも、未来は変えられる。お前がどう生きたいか、それが一番重要なんだよ」
葛葉の言葉は、サロメの心に深く響いた。彼女は、ゆっくりと顔を上げた。
「…私…まだ…諦めたくない…」
サロメの目に、再び光が戻り始めた。
その時、葛葉のスマホが鳴った。画面には、見慣れない番号が表示されている。
「…もしもし…」
葛葉が電話に出ると、低い声が響いた。
「…探したぞ、葛葉…お前の過去も、暴いてやる…」
電話は突然切れた。葛葉は、冷たい汗をかき始めた。彼は、サロメの過去を暴いた人物が、自分にも牙を剥こうとしていることを悟った。
「…こりゃ、マジでめんどくせぇことになったな…」
葛葉は、鋭い目で空を見上げた。空には、不気味な三日月が浮かんでいた。
続く
第4話: 総務省からの指令 - 異例の事態
政府からの協力要請!?誹謗中傷対策の切り札
葛葉は、埃っぽいモニターを睨みつけていた。画面には、見慣れない形式のメールが表示されている。「…総務省、だと?」 隣では、サロメが完璧な姿勢を崩さず、ティーカップをソーサーに置いた。「まぁ、これはこれは…葛葉様。一体、何事が起こったのでしょうか?」 葛葉は肩をすくめ、「知らねぇよ。でも、これ読めばわかるんじゃねぇの?」 メールには、丁重な言葉遣いで、事態の深刻さが綴られていた。最近のネット上における誹謗中傷の増加、特にVTuber界隈への攻撃の激化。そして、壱百満天原サロメに対する執拗な嫌がらせ。 メールは、二人の影響力を認め、誹謗中傷対策への協力を要請するものだった。内容は、広報活動への参加、啓発動画の制作、そして…AIを用いた誹謗中傷検知システムのテストへの協力。 「…AIねぇ」 葛葉は、興味なさげに呟いた。「そんなもんで、なんとかなると思ってんのかね、お偉いさん方は。」 サロメは、少し考え込むように顎に手を当てた。「しかし、これはチャンスかもしれませんわ。名誉挽回…いえ、日頃のご支援に対する恩返しにもなりますわね。」
サロメ、葛葉、国家プロジェクトに!?
数日後、葛葉とサロメは、総務省の一室にいた。厳重な警備を抜け、案内された部屋には、白髪交じりの中年男性が待ち構えていた。「お忙しい中、お越しいただきありがとうございます。私は総務省情報流通行政局の山田と申します。」 山田は、丁寧に頭を下げた後、プロジェクトの詳細を説明し始めた。AI検知システムの概要、広報活動の計画、そして、二人に期待する役割。 サロメは、熱心にメモを取り、質問を重ねた。「…つまり、わたくし達の活動が、ネット上の悪意を撲滅する一助となると言うことですね?」 山田は、力強く頷いた。「その通りです。お二人の発信力は、計り知れません。国民的なムーブメントを起こせると信じています。」 葛葉は、退屈そうに天井を見上げながら、「…で、俺は何すりゃいいんだ?」 山田は、少し困ったように微笑んだ。「葛葉様には、システムの実践テストにご協力いただきたいのです。ご自身の配信を通して、AIの精度を検証していただきたい。」 葛葉は、怪訝そうな顔をした。「…めんどくせぇ。」 しかし、サロメが肘で小突くと、渋々ながら頷いた。「…まぁ、暇だし、やってやってもいいけど。」 この瞬間、ニート吸血鬼と炎上対策お嬢様は、国家プロジェクトの一員となったのだ。しかし、二人はまだ気づいていなかった。このプロジェクトの裏に、想像を絶する巨大な壁が立ちはだかっていることを。
敵は巨大な壁!?見えざる圧力
数週間後、葛葉は、配信でAI検知システムをテストしていた。「…ったく、マジでめんどくせぇな、これ。」 コメント欄には、「葛葉さん、頑張って!」「応援してるぞ!」といった応援メッセージが並んでいた。しかし、その中に混じって、明らかに悪意のあるコメントも散見された。「葛葉は金に目が眩んだか」「サロメの犬」「売名行為乙」 AIは、それらのコメントを次々と検知し、削除していった。しかし、その速度は、コメントの増加に追いつかない。 葛葉は、苛立ちを隠せない。「…おい、これ全然ダメじゃねぇか。もっと頑張れよ、AI。」 すると、突然、画面がブラックアウトした。 「…は?」 葛葉は、焦ってPCを確認したが、異常は見当たらない。回線も問題ないはずだ。 不安が胸をよぎる。 再び配信を再開しようとした瞬間、葛葉の携帯が鳴った。画面には「非通知」の文字。 出るのを躊躇したが、何か嫌な予感がして、電話に出た。「…もしもし?」 電話の向こうから、無機質な声が聞こえてきた。「…今回の件から手を引け。さもないと…」 葛葉は、背筋が凍り付くのを感じた。「…誰だ、お前。」 しかし、返事はなかった。ただ、不気味な沈黙が、葛葉の耳に響き渡るだけだった。 電話は、突然切れた。 葛葉は、冷や汗を拭いながら、サロメに電話をかけた。 しかし、繋がらない。 不安は、確信へと変わった。 何かがおかしい。 これは、ただの誹謗中傷対策ではない。 もっと大きな、見えざる力が、二人に牙を剥こうとしているのだ。
第4話 完
次回、第5話: 世界の壁 - 葛葉、海外勢との激突
サロメに危機が迫る!そして、葛葉の前に立ちはだかる、新たな敵とは!?
止まらない誹謗中傷、絡み合う陰謀。
物語は、予想もつかない方向へ…!
第5話: 世界の壁 - 葛葉、海外勢との激突
Streams Chartsの陰謀?海外ファンの反発
「はぁ?マジかよ…」
葛葉は、モニターに映し出されたStreams Chartsのデータを見て、思わず声を出した。そこには、これまで圧倒的な数字を誇っていた葛葉の視聴者数が、急激に減少しているグラフが表示されていた。原因は明白だった。コメント欄は英語、スペイン語、韓国語…様々な言語で埋め尽くされ、そのほとんどが葛葉とサロメに対する批判的な意見だったのだ。
「一体、何が…?」
サロメもまた、混乱していた。彼女の配信には、連日海外からのスパムコメントが殺到し、配信をまともに進行することすら困難な状況になっていたのだ。
「これは…単なる反発ではございませんわ。組織的な動きを感じますわ。」
サロメは、冷静に分析を始めた。コメントの内容、タイミング、そして何よりも、その異様なまでの執拗さ。全てが、誰かが意図的に仕組んだものであることを示唆していた。
葛葉は、Streams Chartsの運営会社について調べ始めた。すると、そこには予想外の事実が隠されていた。運営会社は、ある巨大な海外VTuber事務所と密接な関係があり、その事務所は、かねてから日本のVTuber業界への進出を狙っていたのだ。
「まさか…牽制かよ。」
葛葉は、舌打ちをした。自分たちが総務省のプロジェクトに参加したことで、海外のVTuber業界に危機感を抱かせ、それをStreams Chartsを利用して、潰しにかかってきたのだ。
「くそっ…」
怒りがこみ上げてくる葛葉。しかし、今は怒っている場合ではなかった。このままでは、サロメだけでなく、日本のVTuber業界全体が危機に瀕してしまう。
言葉の壁、文化の壁…立ちはだかる困難
問題は、単純な誹謗中傷だけではなかった。海外ファンの中には、サロメの独特のお嬢様口調や、日本のVTuber文化そのものを受け入れられない者もいた。
「日本のVTuberは、なぜあんなに媚びるんだ?」
「キャラクターが作り物すぎる。もっとリアルな配信が見たい。」
「炎上商法だ!ただ話題になりたいだけだ!」
様々な言語で飛び交う批判的な意見。葛葉は、それらを翻訳しながら、頭を抱えていた。言葉の壁だけでなく、文化の壁も、想像以上に高い。
「葛葉さん…どうすれば…」
サロメの声も、珍しく弱々しかった。今まで、どんな困難も乗り越えてきた彼女も、言葉の通じない相手には、為す術がなかったのだ。
「大丈夫だって、サロメ。俺たちが諦めるわけねえだろ。」
葛葉は、サロメを励ますように言った。しかし、内心では焦っていた。有効な打開策が見つからない。このままでは、炎上はますます拡大し、取り返しのつかない事態になりかねない。
ふと、葛葉はあることに気がついた。海外のファンは、日本のVTuber文化を受け入れられないのではなく、理解していないだけなのではないか? ならば、理解してもらうしかない。
「よし…やるか。」
葛葉は、決意を固めた。
吸血鬼の咆哮!世界へ響け、葛葉の魂!
葛葉は、深夜、誰もいない配信部屋で、一人マイクに向かった。
「…えー、海外の皆、聞こえてるか?」
普段の配信とは違う、落ち着いた口調で、英語で語り始めた。最初はぎこちなかった英語も、時間を追うごとに滑らかになっていく。
「俺は葛葉。日本のVTuberだ。お前らが何を言いたいか、大体分かってる。お嬢様口調が気に入らない? キャラクターが作り物だって? 炎上商法だって?」
葛葉は、一つ一つ丁寧に、海外からの批判に答えていった。
「確かに、日本のVTuberは、お前らから見たら奇妙に見えるかもしれない。でもな、それは文化の違いなんだ。俺たちは、お前らを騙そうとしているわけじゃない。ただ、エンターテイメントを提供したいだけなんだ。」
そして、葛葉は、サロメについて語り始めた。
「あいつは、本当に努力家だ。お嬢様口調は、もちろん演技だけど、それは彼女の個性なんだ。あいつは、炎上を恐れていない。むしろ、それを力に変えて、みんなを楽しませようとしている。そんなサロメを、俺は尊敬している。」
葛葉は、自分の言葉に、魂を込めた。
「だから、お願いだ。もう少しだけ、日本のVTuberに、サロメに、チャンスをくれないか? 俺たちは、お前らを失望させない。必ず、最高のエンターテイメントを届けることを約束する。」
配信が終わると、コメント欄は、驚きと感動に包まれていた。
「Kuzuha…Respect!」
「I didn't understand before, but now I do.」
「We will support you, Kuzuha and Salome!」
葛葉の言葉は、確かに、海外のファンに届いたのだ。
しかし、これは、まだ始まりにすぎない。Streams Chartsの陰謀は、依然として進行中であり、葛葉とサロメの戦いは、これからますます激化していく。
(次話へ続く… 海外ファンとの繋がりが生まれ始めた葛葉とサロメ。しかし、Streams Chartsの妨害は止まらない。新たな刺客が、二人に襲いかかる!)
第6話: 反撃の狼煙 - サロメ、覚醒の時
お嬢様の変貌!?大胆な戦略
「おはござますわ!皆様、本日も炎上、承知いたしました!」
壱百満天原サロメの声が、配信画面から響き渡る。しかし、その声はいつもの上品なお嬢様口調とは明らかに違っていた。もっと、こう…力強いのだ。
葛葉は、ソファにだらしなく寝そべりながら配信画面を見つめていた。「マジかよ…変わりすぎだろ」
いつもならば炎上に怯え、涙目で釈明配信をしていたサロメは、完全に別人だった。黒を基調とした、ちょっぴりゴシックなドレスに身を包み、自信に満ち溢れた笑みを浮かべている。
「これまで、皆様にご心配をおかけいたしましたわ。しかし!もう怯えません!炎上を恐れる時代は終わりましたの!これからは、炎上を燃料に変え、更なる高みを目指しますわ!」
サロメは、カメラに向かって指を一本立てた。「名付けて…『炎上エンパワーメント戦略』ですわ!」
画面のコメント欄は、驚きと戸惑いの声で埋め尽くされていた。
「サロメ嬢、どうした…?」
「変わりすぎwwww」
「これは…面白いことになるぞ!」
葛葉は、ニヤリと笑った。「面白くなってきたじゃん」
サロメの戦略は大胆だった。まず、炎上を引き起こした張本人たちに、正面から宣戦布告したのだ。
「名誉毀損、侮辱罪、業務妨害…ありとあらゆる手段で訴えて差し上げますわ!覚悟なさいまし!」
さらに、誹謗中傷コメントをAIで解析し、悪質なユーザーを特定。晒し上げるのではなく、逆に、そのユーザーの興味関心に基づいた、サロメのおすすめコンテンツを紹介するという、斜め上の作戦に出たのだ。
「あらあら、あなた、可愛い猫がお好きなのね?でしたら、わたくしの愛猫『サロメティック・ニャン世』の動画はいかがかしら?きっと、あなたの荒んだ心を癒してくれるはずですわ!」
その結果、アンチは戸惑い、一部は改心し、サロメのファンになってしまったのだ。
「…マジで予想外の展開すぎて笑う」葛葉は、ポテチを口に放り込みながら呟いた。
サロメ軍団、結成!最強の味方たち
サロメの変貌は、さらなる奇跡を生んだ。これまで、サロメを応援してきたファンたちが、自発的に立ち上がり始めたのだ。
熱狂的なファンたちは、それぞれの得意分野を生かし、サロメをサポートするための組織を結成した。その名も…「サロメ軍団」!
「広報部隊」:SNSでの情報拡散、炎上情報の早期発見、対アンチ戦略の立案を担当。
「法務部隊」:誹謗中傷コメントの証拠収集、法的措置の準備を担当。
「クリエイティブ部隊」:ファンアートの制作、MAD動画の制作、グッズのデザインを担当。
「翻訳部隊」:海外ファンとのコミュニケーション、海外メディアへの情報発信を担当。
それぞれの部隊が、自主的に動き、サロメを支えようと必死だった。
ある日、葛葉の元に、一通のDMが届いた。「葛葉さん、サロメ軍団、広報部隊です。協力をお願いできますでしょうか?」
葛葉は、DMの内容を読み、少し考えた。「…まあ、暇だし、手伝ってやるか」
葛葉は、自身のTwitterで、サロメ軍団の活動を拡散した。
「おい、お前ら。サロメが頑張ってるみたいだから、暇なやつは手伝ってやれよ。俺も、ちょこっとだけ手伝う」
葛葉の一言は、大きな影響力を持っていた。彼のフォロワーたちは、こぞってサロメ軍団に協力し始めたのだ。
「葛葉さんも協力してくれるなら、俺も頑張る!」
「サロメ嬢のためなら、命を懸ける!」
「世界中にサロメ嬢の魅力を発信するぞ!」
サロメ軍団は、瞬く間に巨大な組織へと成長した。
最終決戦の幕開け!炎上を力に変えて
「皆様、準備はよろしいでしょうか?いよいよ、最終決戦ですわ!」
サロメの声が、配信画面から響き渡る。
画面には、サロメ軍団のメンバーたちの顔が映し出されていた。広報部隊、法務部隊、クリエイティブ部隊、翻訳部隊…それぞれの代表が、決意に満ちた表情でカメラを見つめている。
葛葉も、ちゃっかりと画面に映り込んでいた。「まあ、適当に頑張るわ」
サロメは、深呼吸をして、言った。「これまで、わたくしは、皆様に支えられてきましたわ。そして、今度は、わたくしが、皆様を支えますわ!炎上を力に変え、未来を切り開きますわ!」
「おー!」サロメ軍団のメンバーたちが、声を上げた。
「葛葉さん、準備はいいですか?」サロメが、葛葉に視線を送った。
葛葉は、欠伸をしながら答えた。「いつでもOKだぜ。まあ、せいぜい楽しませてくれよな」
サロメは、ニヤリと笑った。「ええ、もちろん、楽しませて差し上げますわ!」
ついに、最終決戦の幕が開けた。
サロメは、炎上を燃料に変え、サロメ軍団と共に、誹謗中傷という名の巨大な壁に立ち向かう。そして、葛葉は、吸血鬼の力と、その圧倒的な存在感で、サロメをサポートする。
はたして、サロメと葛葉は、炎上を乗り越え、未来を切り開くことができるのか?
次号、電脳血戦!ニート吸血鬼葛葉と壱百満天原サロメのお嬢様炎上対策バトル、最終話!「未来への光 - VTuberの新たな可能性」。
絶対に、見逃せない!
第7話: 未来への光 - VTuberの新たな可能性
誹謗中傷撲滅!サロメと葛葉の勝利
配信画面には、満面の笑みを浮かべるサロメと、珍しく穏やかな表情の葛葉が並んでいた。コメント欄は祝福の言葉で埋め尽くされている。「おめでとう!」「やったね、サロメ様!」「葛葉マジ神!」
「皆様、本当にありがとうございますわ!」サロメは深々と頭を下げる。「今回の炎上騒動、そして長期にわたる誹謗中傷との戦い…皆様の応援なしには、決して乗り越えられませんでしたわ!」
葛葉は照れくさそうに視線を逸らす。「まぁ、俺はちょっと手伝っただけだし…でも、サロメが頑張ったのはマジ。あんな状況で折れなかったのは、本当に凄いと思う」
事の発端は数週間前。突如としてサロメの過去に関する捏造情報が拡散され、悪質な誹謗中傷が殺到。お嬢様口調やキャラクター設定を揶揄する声も後を絶たなかった。
「お嬢様口調なんて作り物だ!」「炎上商法だろ!」
しかし、サロメは諦めなかった。葛葉の協力を得て、情報源の特定に乗り出し、過去の誤解を解くための配信を重ねた。総務省からの協力も得て、誹謗中傷対策の啓発活動にも積極的に参加した。そして、ついに黒幕を特定し、法的な措置を取ることに成功したのだ。
「今回の件で、ネット上の誹謗中傷がいかに人を傷つけるか、改めて痛感いたしましたわ」サロメは真剣な表情で語る。「だからこそ、私はこれからも、皆様に笑顔と勇気を届けられるような活動を続けていきたいと思っておりますわ!」
葛葉は小さく頷いた。「今回の件で、俺も色々考えた。配信は楽しいけど、その裏にはリスクもある。だからこそ、もっと真剣に向き合わないといけないと思った」
コメント欄には、感動の声が溢れ出す。「サロメ様、本当に尊敬します!」「葛葉、カッコイイ!」「応援してる!」
しかし、勝利の喜びの陰で、葛葉は一つの懸念を抱いていた。黒幕の背後に潜む、見えざる圧力…。全ては、まだ終わっていないのかもしれない。
世界は変わるのか?VTuberの存在意義
サロメと葛葉は、総務省の担当者から今後の活動について説明を受けていた。
「今回の件をきっかけに、政府としても誹謗中傷対策を強化していく方針です。お二人の活動は、その象徴となるでしょう」
サロメは決意を込めて答える。「はい、喜んで協力させていただきますわ!少しでも多くの方に、誹謗中傷の危険性を知っていただけるよう、精一杯頑張りますわ!」
葛葉は少し戸惑いながらも、「まぁ、できることは協力するけど…あんまり堅苦しいのは勘弁な」と付け加えた。
しかし、課題は山積していた。世界中のSNSプラットフォームにおける誹謗中傷対策、言語や文化の壁…。解決すべき問題は、あまりにも多かった。
「本当に、世界は変わるのでしょうか…?」サロメは不安げな表情で呟く。
葛葉はニヒルに笑う。「世界を変えるなんて大それたこと、俺には無理だし。でも、少しでも良い方向に進むように、できることをやるだけだろ」
その時、サロメのスマホが鳴った。画面には、「壱百満天原サロメ軍団」と表示されている。
「皆様…!」サロメは嬉しそうに電話に出る。「ありがとうございますわ!皆様の応援が、私の力になりますわ!」
世界中のファンが、サロメと葛葉を応援していた。言葉の壁を越え、文化の壁を越え、VTuberという存在を通して、人々は繋がり、共感し合っていた。
葛葉は、静かに画面を見つめる。「VTuberって、一体何なんだろうな…」
彼はまだ、VTuberの真の可能性に気づいていなかった。
伝説の始まり - サロメと葛葉の未来へ
数日後、サロメと葛葉は、新たな配信企画の打ち合わせをしていた。
「次は、何をしましょうか?皆様に喜んでいただけるような、面白い企画を考えておりますわ!」サロメは目を輝かせる。
葛葉はゲームコントローラーを弄びながら、「そうだな…前からやりたかった、海外のホラーゲームでもやるか?」と提案する。
サロメは少し顔をしかめる。「ホラーは苦手ですわ…でも、葛葉さんが一緒なら、頑張れるかもしれませんわ!」
二人は、互いに顔を見合わせて微笑む。
その時、葛葉のスマホが鳴った。Streams Chartsからの通知だ。
「ん?なんだこれ…」葛葉は画面を凝視する。「世界で最も視聴されたVTuberランキング…また俺が1位になってるじゃねーか」
サロメは驚いた表情で画面を覗き込む。「すごい!葛葉さん、世界一ですわ!」
しかし、葛葉の表情は晴れない。「でも、なんかおかしいな…ランキングの数値が、不自然に跳ね上がってる気がする」
その時、二人の背後に、不気味な気配が迫っていた。
「お二人とも、油断は禁物ですわ…」サロメは警戒心を露わにする。
「ああ…何か、嫌な予感がするな」葛葉はゲームコントローラーを握りしめる。
戦いは、まだ終わっていない。新たな敵が、サロメと葛葉を待ち受けている。
伝説の始まり…。二人の未来は、一体どうなるのだろうか?
(続く)