
小説 ずんだもん、ひろゆき、みのもんたが解き明かす!タイムリープ都市伝説「梯子のクオリア:情報SFミステリー」
第1話: 雨夜の邂逅、運命の啓示
降りしきる雨、コンビニエンスストアでの出会い - みのもんたが梯子(青年)に親しげに話しかける。
降りしきる雨の中、コンビニエンスストアの軒先で、梯子(かけはし)は煙草に火をつけた。空を見上げれば、今にも泣き出しそうな漆黒の雲が渦巻いている。「参ったな、こりゃあ」ぼやきながら、彼は缶コーヒーを一口煽った。大学院受験の勉強疲れと、アルバイトの疲れがどっと押し寄せてくる。
その時、隣にダンディなスーツを着こなした、白髪混じりの初老の男性が現れた。丸顔に人当たりの良い笑顔を浮かべ、梯子に親しげに話しかける。
「いや〜皆さん、どうですか!すごい雨ですねぇ。まるでバケツをひっくり返したみたいだ」
梯子は軽く会釈を返した。「ええ、本当に。困ったもんですね」
「梯子さん、ですよね?」男性は突然、梯子の名前を口にした。
梯子は驚き、思わず煙草を落としそうになった。「え…?どちら様ですか?」
男性はにこやかに笑った。「まあ、それはおいおい話すとして。少し、お時間ありませんか?君にどうしても伝えたいことがあるんです」
告げられた未来、謎のメモとピアスの授受 - 梯子が岡田真澄似の紳士(みのもんた)から予言とアイテムを受け取る。ひろゆき的な冷静な分析を試みるが混乱する。
コンビニのイートインスペースに場所を移し、梯子は目の前の男性、みのもんたと名乗る人物に警戒心を抱きながらも、話を聞いていた。
「君はどんなに勉強して試験に通っても、大学院には戻らないだろう」みのもんたは突然、予言めいた言葉を口にした。「今アルバイトしている会社は、2年後に無くなる。そして…2009年1月2日の13時43分、S区の神社で、ある女性と必ず会いなさい」
梯子は眉をひそめた。「何の話ですか?まるで詐欺みたいですね」
みのもんたは慌てて手を振った。「いやいや、詐欺なんかじゃないですよ!これは、君の運命に関わる大切なことなんです」
そう言うと、みのもんたは懐から小さなメモ用紙と、小さなケースを取り出した。
「これを…持っていてください。必ず、役に立つ時が来ますから」
梯子がそれを受け取ろうとした瞬間、みのもんたはさらに早口で告げた。「ケースの中にはピアスが入っていて、Her diva書かれた付箋がついた。メモ用紙には、2009年1月2日に神社で女性に会う件と、英語や暗号のような日本語が書かれていた。彼女に会ったらピアスを自然な形で渡す。 そのとき彼女に、自分のことを不審に思われてはいけない。難しいだろうががんばる必要がある。 Qualeは物質に干渉する。 1月2日にその神社で、誰よりも早く彼女に会わなければいけない。 彼女がその日話す初めての人物が、君でなくてはいけない。そのために13時43分に遅れてはいけない…」
畳み掛けるように告げられた言葉に、梯子は混乱する。
「ちょ、ちょっと待ってください!意味がわからないんですけど!」
その時、タクシーが到着したことを知らせる音が鳴り響いた。
「時間がない!早く!」みのもんたはメモとピアスを梯子の手に握らせ、タクシーに押し込むように送り出した。
タクシーの中で、梯子は渡されたメモを広げ、内容を読んだ。そこには、会うべき女性の特徴、そして、妹に関することが書かれていた。
「妹…?なぜ、妹のことを…?」
梯子は、メモの内容を冷静に分析しようとした。「この状況、完全に胡散臭いですよね。第一、妹がいることなんて誰にも言ってないのに…。」まるで、ひろゆきが乗り移ったかのように、梯子は論理的な思考回路を巡らせる。しかし、情報はあまりにも突飛で、結論は出なかった。
困惑と疑念、2ちゃんねるへの告白 - 梯子が受け取ったメモの内容に戸惑い、2ちゃんねるに相談する。ずんだもんが興味津々でスレッドを覗き込む。
自宅に戻った梯子は、友人が寝静まった後も、メモとピアスを前に途方に暮れていた。「これは、一体何なんだ…?」
誰に相談すればいいのかも分からず、彼は藁にも縋る思いで、2ちゃんねるのオカルト板にスレッドを立て、今夜起こった出来事を書き込んだ。
スレッドタイトルは「【緊急】コンビニで出会った謎の紳士に予言された件」
瞬く間に、スレッドには様々なレスがつき始めた。「釣り乙」「キチガイ」「岡田真澄って誰だよw」
しかし、その中に、梯子を静止するような謎の書き込みがあった。「これ以上はやめていただけないでしょうか。 あなたが体験した話は、あなた自身で結果を確かめてください。 ここでそのほか一般の方々に話をしても、なんの解決にもなりませんよ」
梯子は驚き、さらに混乱した。「一体何を知っているんだ…?」
その時、ずんだもんがスレッドを発見した。「何々?コンビニで予言されたって?面白そうだから、ボクも覗いてみるのだ!」
ずんだもんは、そのスレッドを興味津々でスクロールしていく。「クオリア?ネメア?ヤコブの梯子?何だか難しそうな言葉がいっぱいなのだ!」
梯子は思い切って、メモとピアスの写真を掲示板にアップした。
「誰か…この意味を教えてくれ!」
写真がアップされた瞬間、スレッドはさらなる混沌に包まれた。果たして、梯子は謎を解き明かし、運命を変えることができるのか?
第1話 完
次回、第2話: 暗号解読、深まる謎と迫る影 - 2ちゃんねるの住人たちがメモの暗号解読を試みる。ひろゆきが論理的に分析を進める。
第2話: 暗号解読、深まる謎と迫る影
メモの解析、クオリアと物理法則 - 2ちゃんねるの住人たちがメモの暗号解読を試みる。ひろゆきが論理的に分析を進める。
深夜の2ちゃんねる。梯子のスレッドは、異様な熱気を帯びていた。「梯子」というハンドルネームで書き込んだ青年、梯子の体験談は、都市伝説好き、ミステリー好き、そして暇を持て余したネット民たちの好奇心を刺激していた。
梯子: (スレッドに書き込み) メモとピアスの画像、アップしました。誰か解読できる人、いませんか? これマジで困ってるんです。
画像がアップされると、すぐにコメントが殺到した。
名無しA: うわ、なんか厨二病全開のメモだなw
名無しB: クオリア? ネメア? 何言ってんだこいつ。
名無しC: これ、もしかしてガチ案件? なんか怖いんですけど。
しかし、ひろゆき似のアイコンが、冷静なコメントを投稿した。
ひろゆき: (スレッドに書き込み) クオリアですか。主観的な意識体験のことですよね。それが物質に干渉するって、どういうメカニズムなんですかね? 論理的に説明できます?
梯子: いや、それが全然わからなくて… 岡田真澄似の紳士が言ってたんですよ。
ひろゆき: (スレッドに書き込み) 岡田真澄似の紳士…ですか。信憑性に欠けますね。そもそも、そんな胡散臭いおっさんの話を真に受けるんですか?
名無しD: ひろゆきキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
ずんだもん: (スレッドを覗き込み) クオリアが物質に干渉する…? それって、ずんだパワーで世界を救うってことなのだ? (キラキラ)
梯子: (スレッドに書き込み) ずんだもんさん、それちょっと違うと思います…。でも、なんか希望が湧いてきたかも!
ひろゆき: (スレッドに書き込み) ずんだパワー…ですか。根拠のない精神論は、科学的思考の妨げになりますよ。
みのもんた: (スレッドを遠くから眺めながら) いや〜、若いってのはいいねぇ!みんな元気があって!
議論は白熱するが、核心には迫らない。そんな中、ある住人が驚くべき解釈を提示した。
名無しE: 待て待て。これ、量子力学の式じゃね? パウリの排他原理じゃん。
ひろゆき: (スレッドに書き込み) パウリの排他原理ですか。それが何か意味があるんですか?
名無しE: つまり、この世界は一つしかないってことじゃね? 梯子さんが経験してることは、実は決まった運命なんじゃないかってことだよ!
その言葉に、梯子は息を呑んだ。
ピアスの調査、小さな手がかり - 梯子がピアスの情報を集める中で、意外な事実が判明する。みのもんたが情報提供に協力する。
梯子は、都内の裏通りにある、小さなアクセサリーショップを訪れていた。店主は、古めかしいルーペを手に、梯子が持ってきたピアスをじっくりと調べている。
店主: これは…珍しいデザインですね。アンティークかもしれません。
梯子: 何か手がかりはありませんか? このピアスの持ち主を探しているんです。
店主: うーん…ちょっと待ってくださいね。
店主は、店の奥にある古い資料を調べ始めた。その間、梯子は落ち着かない様子で店内をうろうろする。
梯子: (焦り) 何か分かりますか?
店主: (資料を読みながら) ああ、ありました。このデザイン、数十年前に流行したことがあるんです。その頃、ある有名なデザイナーが手がけたものと似ていますね。
梯子: デザイナーの名前、分かりますか?
店主: (店主は名刺を取り出し) 確か…「エル・ディバ」という名前だったはずです。
その時、店のドアが開き、見覚えのある男が入ってきた。みのもんただ。
みのもんた: いや〜、梯子さん!こんなところで会うなんて、偶然ですね! 実はボクもこの辺りに用事がありましてね。
梯子: (警戒しながら) みのもんたさん…何の用ですか?
みのもんた: いやいや、ただの偶然ですよ! でも、梯子さんが困ってるって聞いて、放っておけなくてね。何か力になれることないかなと思って。
梯子: (訝しげに) なぜ、僕が困っていることを知っているんですか?
みのもんた: いや〜、それは内緒!でも、エル・ディバなら知ってるかもしれませんよ。昔、ちょっとだけ仕事で関わりがあったような…
みのもんたは、エル・ディバに関する情報をいくつか梯子に教えた。それは、ピアスの謎を解くための、小さな手がかりだった。
妹の事故、狂い始めた歯車 - 梯子の妹が事故に遭い、運命の歯車が狂い始める。ずんだもんが心配そうに梯子を見守る。
数日後。梯子は、病院の待合室で、不安そうに座っていた。妹の美咲が、交通事故に遭ったのだ。
梯子: (独り言) なんでこんなことに…
廊下を歩く看護師の足音が、重く響く。
ずんだもん: (梯子の肩に手を置く) 梯子さん、大丈夫? ボク、何かできることない?
梯子: (力なく) ずんだもん…ありがとう。でも、今は何もできないよ。ただ、美咲が無事であることを祈るだけだ。
手術室のランプが点灯し、緊張が走る。数時間後、医師が疲れ切った顔で現れた。
医師: 手術は成功しました。命に別状はありませんが、しばらくは入院が必要です。
梯子: (安堵) ありがとうございます!ありがとうございます!
ずんだもん: (涙ぐむ) よかったのだ…本当によかったのだ…
しかし、喜びも束の間。医師は、深刻な表情で告げた。
医師: ただ…事故の影響で、美咲さんの記憶の一部が失われている可能性があります。
梯子の顔から、血の気が引いた。運命の歯車が、狂い始めたのだ。
梯子: (焦燥) 記憶喪失…? そんな…
その夜。梯子は、2ちゃんねるのスレッドに書き込んだ。
梯子: (スレッドに書き込み) 妹が事故に遭いました。記憶の一部を失ってしまったようです… メモに書かれていたこと、本当に起こり始めてる… どうすればいいんだ…
スレッドには、励ましの言葉とともに、新たな謎が書き込まれた。
名無しF: 梯子さん、元気出してください! でも、メモに「妹さんはうまくやっているだろうが、1年後の今日までにおばさんを精密検査へ連れていく必要がある」って書いてありますよね? これ、もしかして…
梯子は、震える手でメモを読み返した。妹の事故、そして「おばさんの精密検査」… すべては、運命のシナリオ通りに進んでいるのか?
次々と起こる不幸な出来事。梯子の心は、絶望の淵へと沈んでいく。しかし、それでも彼は、かすかな希望を信じて、戦い続けることを決意する。
梯子: (決意) 負けない…絶対に、運命に負けない!
次の話: 第3話: ありえない写真、過去からのメッセージ
第3話: ありえない写真、過去からのメッセージ
交番での出会い、記憶にないネームホルダー - 梯子が交番で不思議なネームホルダーを受け取る。
夜遅く、梯子はアルバイトからの帰り道、小学校低学年くらいの男の子に出会った。時刻は既に夜10時を過ぎており、男の子は不安げな表情をしていた。
「どうしたんだい?」梯子は優しく声をかけた。「お父さんやお母さんは一緒じゃないのか?」
男の子は首を横に振った。「わからない…」
心配になった梯子は、男の子を近くの交番まで連れて行くことにした。
交番に着くと、警察官に事情を説明した。警察官は男の子を保護し、梯子に感謝を伝えた。
「ありがとうございます、助かりました」警察官は丁寧に頭を下げた。
「いえ、困っている人を見過ごせませんから」梯子は照れ臭そうに答えた。
翌日の昼過ぎ、梯子の携帯電話が鳴った。電話の相手は昨夜の交番の警察官だった。
「男の子の保護者が見つかりました。ご協力ありがとうございました」警察官は明るい声で言った。「実は、男の子が梯子さんから借りていた物があるらしくて、返却したいとのことなんです。もしよろしければ、交番まで取りに来ていただけませんか?」
梯子はすぐに思い出した。昨夜、寒そうにしていた男の子に自分のマフラーを貸してあげたのだ。
「わかりました、後で行きます」梯子は答えた。
交番へ向かう途中、梯子は「まさか、子供に借りた物があるなんて」と苦笑いした。
交番に着くと、警察官は笑顔で梯子を迎えた。
「こちらが、男の子から預かっていたものです」警察官はマフラーと共に、首から下げるタイプのネームホルダーを差し出した。
「あれ? ネームホルダーなんて貸した覚えありませんけど…」梯子は困惑した表情で言った。「これ、僕の物じゃないと思います」
警察官は少し驚いた顔で言った。「え? でも、そこに写ってるの梯子さんですよね?」
家族写真の衝撃、過去との邂逅 - ネームホルダーの写真に写る両親に梯子は衝撃を受ける。
警察官の言葉に促され、梯子はネームホルダーを受け取った。透明なカバー越しに、写真が目に飛び込んできた。
息を呑んだ。
そこに写っていたのは、成人した自分と妹、そして…中学生の時に亡くなったはずの両親だった。四人が仲睦まじく笑顔を浮かべている。
「これは…」梯子は言葉を失った。両親は間違いなく自分の両親だった。しかし、亡くなった時よりも歳をとっているように見える。妹も、今よりも幼い頃の面影を残している。
写真の裏側には、手書きで「諏訪で」と書かれていた。しかし、梯子は諏訪に行った記憶はなかった。写真の背景になっている場所も、自分たちが着ている服も、全く見覚えがない。
梯子は動揺を隠せない。まるで時間が止まってしまったかのような感覚に襲われた。
(これは一体…どういうことなんだ?)
「梯子さん、大丈夫ですか?」警察官は心配そうに梯子の顔を覗き込んだ。
「え…あ、はい。少し驚いただけです」梯子は辛うじて答えた。「この写真は…合成写真でしょうか?」
警察官は首を横に振った。「鑑定に出したわけではありませんが、少なくとも素人が作ったような粗悪なものではありません。かなり精巧に作られていると思います」
梯子はネームホルダーを握りしめた。写真の中の家族の笑顔が、まるで嘲笑っているかのように見えた。
諏訪の記憶、失われた時間 - 梯子は写真に写る場所が諏訪だと知り、記憶を辿る。ひろゆきが論理的な矛盾点を指摘する。
家に帰り、梯子は改めて写真をじっくりと見た。写真に写る景色をインターネットで検索してみると、それは確かに長野県の諏訪湖周辺の風景だった。
(諏訪…諏訪に行った記憶なんてないはずなのに…)
梯子は必死に記憶を辿った。しかし、諏訪に行ったという事実はどうしても思い出せない。まるで誰かに記憶を消されたかのように、その部分だけがぽっかりと空白になっている。
混乱した梯子は、いつものように2ちゃんねるの該当スレッドに書き込んだ。
梯子: 「あの…交番で受け取ったネームホルダーの写真が、ありえないものだったんです。亡くなったはずの両親と妹と僕が写っていて、場所は諏訪らしいんですが、全く記憶にないんです…」
すると、すぐにひろゆきからのレスがついた。
ひろゆき: 「それって、あなたの感想ですよね? 論理的に考えて、まず写真が合成である可能性を検証すべきじゃないですか? プロのカメラマンに見てもらったり、画像解析ソフトで調べたり。記憶がないからありえないってのは、ちょっと短絡的すぎませんか?」
梯子: 「いや、そうなんですけど…写真の精度も高いみたいだし、何より両親が亡くなった時よりも歳をとってるのが不自然で…」
ずんだもんが心配そうにレスを書き込んだ。
ずんだもん: 「梯子さん、大丈夫なのだ? そんな不思議な写真、ボクも気になるけど、無理はしないでほしいのだ!」
梯子はひろゆきの冷静な指摘に、少し冷静さを取り戻した。
(確かにそうだ。まずは写真の真偽を確かめるべきだ…)
しかし、それでも心の奥底には拭い去れない不安が残っていた。あのメモの存在、岡田真澄似の紳士の言葉…そして、今回の写真。全てが不可解な繋がりを持っているように感じられた。
梯子は決意した。まずは写真の鑑定を依頼し、諏訪について詳しく調べてみよう。そして、2009年1月2日の神社へ向かう準備を進めなければならない。
梯子の物語は、ますます深みを増していく。次回、梯子は写真の鑑定結果を知る。そして、諏訪に隠された秘密に迫るために、行動を開始する。
次号、衝撃の鑑定結果! 諏訪に眠る過去の記憶とは!?
第4話: 約束の日、神社への道
迫るタイムリミット、焦燥感と決意 - 約束の日が近づき、梯子はメモの指示に従う決意をする。
雨上がりの朝、梯子は薄暗いアパートの一室で目を覚ました。枕元には、あの夜、岡田真澄似の紳士から渡されたメモとピアスが置かれている。日付は2009年1月2日。約束の日は、今日なのだ。
(梯子のモノローグ)「クオリアが物質に干渉する…因果律を支える…ネメアのライオン…ヤコブの梯子…。一体何なんだ、これは?でも、あのメモには妹のことも書かれていた…。信じるしかないのか…?」
梯子はベッドから飛び起き、顔を洗い、着替えを済ませた。胸の奥には、得体の知れない不安と、僅かな希望が渦巻いている。「失敗したら、妹はどうなるんだ…?」
彼は何度もメモを読み返し、書かれている指示を頭に叩き込んだ。「S区Aの某神社…ショート、茶髪、ファーロングコート、茶色ブーツ…。13時43分…。彼女に会って、ピアスを渡す…。怪しまれないように…。」
時計を見ると、すでに午前10時を過ぎていた。梯子は深呼吸をし、アパートを飛び出した。
予期せぬ遭遇、みのもんたの助言 - 神社へ向かう途中、みのもんたと再会し、助言を受ける。ずんだもんも応援する。
神社へ向かう電車の中、梯子は窓の外をぼんやりと眺めていた。街並みは普段と変わらないはずなのに、どこか違って見える。まるで、自分が異質な存在になったような気がした。
その時、目の前に見覚えのある顔が現れた。「いや〜、梯子さん!偶然ですねぇ!」
梯子の目に飛び込んできたのは、あの夜の紳士、みのもんただった。「み、みのもんたさん…!?」
みのもんたはニコニコと笑いながら、梯子の隣に座った。「いや〜、気になるから、つい来ちゃいましたよ。約束の日、頑張ってくださいね!」
梯子は驚きを隠せない。「あの…一体、あなたは…?」
みのもんたは人差し指を立て、口元に当てた。「フフフ、それは秘密です。ただ、あなたを応援している、ということだけは覚えておいてください。」
「あの…メモに書かれていたこと…本当に起こるんですか?」梯子は恐る恐る尋ねた。
みのもんたは少しだけ真剣な表情になった。「未来は、常に変化しています。あなたの行動一つで、大きく変わる可能性もある。でも、あなたは正しい選択をすると信じていますよ。」
突然、みのもんたの背後から可愛らしい声が聞こえた。「梯子さん、頑張るんだもん!ボクも応援してるんだもん!」
梯子が振り返ると、そこにはずんだもんがいた。彼女は小さな拳を握りしめ、梯子にエールを送っている。
「ずんだもん…!?なんでここに…?」梯子はますます混乱した。
ずんだもんは得意げに胸を張った。「ボクは、梯子さんのこと、ずっと見てたんだもん!辛いこともたくさんあったと思うけど、諦めちゃダメなんだもん!」
みのもんたは優しく微笑んだ。「ほら、ずんだもんも応援してくれてる。勇気を出して、頑張ってください。あなたは、きっと運命を変えることができる。」
電車は目的の駅に到着した。梯子はみのもんたとずんだもんに深々と頭を下げ、電車を降りた。「ありがとうございます…!頑張ります!」
みのもんたとずんだもんは、梯子の背中に向かって、力強いエールを送った。「頑張ってください!」「頑張るんだもん!」
神社への到着、待ち受ける運命の女性 - 梯子が神社に到着し、メモに書かれた女性を探す。
駅から神社までは、緩やかな上り坂が続いていた。梯子は早足で坂を登り、神社の鳥居をくぐった。
境内は静かで、時折、風に揺れる木の葉の音だけが聞こえる。梯子は深呼吸をし、メモを再度確認した。「ショート、茶髪、ファーロングコート、茶色ブーツ…。」
約束の時間は、13時43分。現在時刻は、13時15分。梯子は境内をゆっくりと歩き回り、メモに書かれた特徴を持つ女性を探した。
(梯子のモノローグ)「本当に、そんな女性が現れるのか…?もし現れたとしても、どうやって話しかければいいんだ…?不審者だと思われたら…?」
不安と焦燥感に苛まれながらも、梯子は諦めずに女性を探し続けた。そして、本殿の近くにあるベンチに、その女性は座っていた。
ショートカットの茶髪、ファーのついたベージュのロングコート、そして茶色いロングブーツ。メモに書かれた特徴と、完全に一致していた。
梯子の心臓は、激しく鼓動を打った。「ついに…見つけた…。」
しかし、彼女の表情はどこか寂しげで、物憂げに空を見上げている。梯子は覚悟を決め、彼女に近づいた。
「あの…」梯子は声をかけた。
女性は驚いたように振り返った。「はい…?」
梯子は深呼吸をし、震える声で言った。「あ…あの…すみません…。」
女性は怪訝そうな表情を浮かべた。「何かご用ですか?」
梯子はポケットから小さなケースを取り出し、差し出した。「これ…あなたに渡してほしいと、頼まれたんです。」
女性はケースを受け取り、訝しげに中身を見た。中には、あのピアスが入っていた。
彼女の表情は、さらに険しくなった。「これは…一体、どういうことですか?」
梯子は必死に説明しようとした。「あの…実は…」
しかし、その時、背後から別の声が聞こえた。「ちょっと待ちなさい!」
梯子が振り返ると、そこには…!?
(第4話 完)
第5話: 運命の出会い、交錯する思惑
運命の女性との出会い、ピアスの伝達 - 梯子が女性(ショート、茶髪、ファーロングコート、茶色ブーツ)と出会い、ピアスを渡そうとする。
S区Aの某神社。約束の2009年1月2日、午後1時40分。
冷たい風が吹き付ける中、梯子は必死にメモに書かれた女性を探していた。
「ショート、茶髪、ファーロングコート、茶色ブーツ…」
メモの特徴を頭の中で繰り返し、境内の参道を右往左往する。
(あと3分しかない…!)
焦燥感が募る中、視界の端に、その女性が飛び込んできた。
まさにメモに描かれた通りの姿。ショートカットの茶髪、ベージュのファーロングコート、そして茶色ブーツ。
(間違いない…!)
梯子は意を決して、女性に駆け寄った。
「あの…すみません!」
女性は少し驚いたように振り返る。
「…はい?」
梯子は深呼吸をして、ぎこちなく微笑んだ。
「これ、落とされましたよ。」
そう言って、小さなケースに入ったピアスを差し出す。
彼女の瞳が、梯子の手元にあるケースと、梯子の顔を交互に見つめた。
「…これ、私のものじゃないと思いますけど。」
予想通りの反応ではなかったが、梯子は動揺を悟られないように努めた。
「え、でも…HER DIVAって書いてありますよね?もしかして、人違いだったらすみません!」
怪しまれる梯子、困難な状況 - 女性に不審がられ、ピアスの伝達は困難を極める。ひろゆきが梯子の行動を冷静に分析する。
女性は警戒心をあらわにし、一歩後ずさった。
「すみません、人違いです。用事があるので。」
そう言い残し、早足で去ろうとする。
(ダメだ…!ここで逃したら…!)
梯子は咄嗟に女性の腕を掴んだ。
「ちょ、ちょっと待ってください!これ、本当に大事なものなんです!あなたに渡さないといけないんです!」
掴まれた腕を振りほどこうとする女性。
「離してください!警察を呼びますよ!」
その時、梯子の脳裏にひろゆきの声が響いた。
「あのさぁ、普通に考えて、初対面の男にいきなり腕を掴まれたら、誰だって不審に思うよね。論理的に考えて、もっと自然なアプローチがあるはずだよ。」
(ひろゆき…!今、アドバイスしてる場合じゃないんだよ!)
状況は最悪だった。周囲の参拝客も、梯子と女性の様子を訝しげに見ている。
ずんだもんが遠くから心配そうに梯子を見つめていた。
「梯子さん、大丈夫かな?なんだか大変そうなのだ…」
梯子は覚悟を決めた。
「あの、信じてください!これは…タイムリープに関わる…」
口を開きかけた時、背後から聞き覚えのある声が響いた。
「いや〜皆さん、どうですか!困っているみたいじゃないですか。」
みのもんたが、いつの間にかすぐ後ろに立っていた。
「これはこれは、みのもんたさん…!」梯子は驚いた。
みのもんたは笑顔で女性に話しかけた。
「お嬢さん、何か困り事ですか?この青年は、少し言葉が足りないところがあるかもしれませんが、悪い人じゃありませんよ。何か事情があるんでしょう。」
絡み合う運命、新たな謎の出現 - 梯子は何とか女性にピアスを渡し、会話を交わす。会話の中で新たな謎が生まれる。
みのもんたの登場で、場の空気は少し和らいだ。女性も、いくらか落ち着きを取り戻したようだ。
「…別に、大したことじゃ…」
みのもんたは梯子に目配せをした。梯子はチャンスを逃さず、改めてピアスを差し出した。
「あの、もしよかったら、これだけでも受け取ってくれませんか?もし違っていたら、すぐに捨ててくれて構いませんから。」
女性は迷った末、おずおずとピアスを受け取った。
「…わかりました。でも、本当に人違いだったら、すぐに警察に届けますからね。」
梯子は安堵のため息をついた。
「ありがとうございます!あの、もし差し支えなければ、少しだけお話を聞かせていただけませんか?」
女性は少し警戒しながらも頷いた。
「…5分だけですよ。」
場所を少し離れたベンチに移し、梯子は自己紹介をした。
「僕は梯子と言います。あの…実は、このピアスについて、どうしてもあなたにお聞きしたいことがあるんです。」
女性は答えた。「私は…サキです。それで、そのピアスに何か?」
梯子は、メモに書かれていた内容を、できるだけ簡潔に説明した。タイムリープ、未来の予言、そして、このピアスが重要な意味を持つこと。
サキは信じられないといった表情で首を横に振った。
「タイムリープ…?予言…?そんなの、ただの妄想じゃないですか?」
梯子は必死に訴えた。「信じてください!僕は、あなたに会うために、ここに来たんです!」
サキはしばらく考え込んだ後、静かに口を開いた。
「…実は、私も最近、不思議な夢を見るんです。」
梯子の心臓がドキドキと高鳴った。
「どんな夢ですか!?」
サキは少し躊躇しながら、夢の内容を語り始めた。それは、遠い場所で見たことのない景色だったり、聞いたことのない言葉だったり、まるで異世界の記憶のようなものだった。
「…それだけじゃないんです。」
サキはコートのポケットから、一枚のメモを取り出した。
「数日前から、このメモが届くようになったんです。送り主は…誰だか分かりません。」
梯子はメモを受け取り、目を凝らした。
そこに書かれていたのは、
"2009年1月2日 14時07分
S区Aの某神社にて
梯子を信じろ。
全てはそこから始まる。"
梯子の背筋がゾッとした。メモの内容は、梯子に会うことを示唆していた。
そして何より、"梯子を信じろ"という言葉に、運命的なものを感じた。
(これは…一体…)
サキは不安そうに梯子を見つめた。
「…一体、何が起こっているんでしょうか?」
梯子は、サキの手を握り、力強く言った。
「…わかりません。でも、一緒に調べましょう。きっと、全てが繋がっているはずです。」
ずんだもんは、2人の様子を見て、嬉しそうに飛び跳ねた。
「梯子さん、サキさん、頑張ってほしいのだ!ボクも応援するのだ!」
ひろゆきは、腕組みをして2人を見ていた。「まあ、今のところは状況証拠が揃っている、って感じかな。でも、まだ何も証明されてないからね。」
みのもんたは満面の笑みで2人の肩を叩いた。
「いや〜皆さん、いい感じじゃないですか!これから、どんな展開になるのか、本当に楽しみですね!」
その時、サキの携帯電話が鳴った。
「…もしもし?…えっ!?」
電話を切ったサキは、青ざめた顔で梯子を見つめた。
「…大変です。今、父から電話があって…」
サキは深呼吸をし、震える声で続けた。
「…今日、私の妹が、事故に遭ったそうです。」
第6話へ続く
第6話: 帰省の選択、お盆の行方
お盆の選択、帰省か否か - メモの指示に従い、梯子は帰省するか否かの選択を迫られる。
「…お盆に帰省してはいけない、ただし神社の彼女と、きちんと縁を触れ合わせることに成功した場合のみ…か」
梯子は2ちゃんねるのスレッドを何度も見返していた。あのコンビニでの出会いから数ヶ月、妹の事故、謎のネームホルダー、そして迫りくるお盆。すべてがあのメモの通りに進んでいる。
「梯子さん、またそれ見てるんですか?」
背後から明るい声が響く。ずんだもんだ。最近は梯子の部屋に入り浸り、まるでペットのような存在になっている。
「ずんだもん、ちょっと相談に乗ってほしいんだ。あのメモのことなんだけど…」
「例の、予言みたいなやつ、なのだ?」
梯子は頷く。「成功すれば帰省してはいけない、失敗したら好きにしていい…。妹のことも書いてあったし、帰らない方がいいんだろうか」
ずんだもんは首を傾げる。「うーん…でも、お盆って家族で過ごす大切な時間なのだ。帰らない選択をするのは、辛いんじゃないか?」
「確かに…でも、もし帰省して妹に何かあったら…」
梯子の顔が曇る。あのメモには「妹さんはうまくやっているだろうが、1年後の今日までにおばさんを精密検査へ連れていく必要がある。そのときに、妹さんと君は必ず帰省していなければならない」と書かれている。
ひろゆきが画面越しにため息をつく。「あのメモが本当に未来を予言しているという確証はないんですよね?梯子さんが勝手に踊らされてる可能性もあるわけで」
「それは…そうなんだけど…」
「リスクとリターンを冷静に考えるべきですよ。帰省しないことによる後悔と、帰省して何か起きた場合のリスク。どちらが大きいか」
梯子は頭を抱える。どちらを選ぶべきか、まるでわからなかった。
妹との会話、家族の絆 - 梯子は妹と話し合い、家族の絆を確かめ合う。ずんだもんが家族の温かさに感動する。
その夜、梯子は妹の楓に相談することにした。
「楓、ちょっと話があるんだ」
「どうしたの、お兄ちゃん?なんか難しい顔して」
梯子はコンビニでの出会いから、メモの内容、そしてお盆の帰省について、すべてを正直に話した。
楓は驚いた様子もなく、ただ静かに聞いていた。
「それで、お兄ちゃんはどうしたいの?」
「…正直、怖い。もし僕が帰省して、おばさんに何かあったら…。でも、お盆にみんなで集まるのも、大切なことだと思うし…」
楓は梯子の手を握った。「お兄ちゃん、私は大丈夫だよ。それに、おばさんの検査だって、私が一緒に行くから。それに…」
楓は少し照れくさそうに続けた。「お兄ちゃんとおばあちゃんの家で、ゆっくりお話したいなって思ってるんだ。小さい頃みたいに」
梯子の胸が熱くなる。家族の温かさ、絆。それがどれほど大切かを、改めて思い知らされた。
ずんだもんは感動で目を潤ませている。「家族って、いいものなのだ…。ボクも混ぜてほしいくらい、なのだ!」
決断の時、梯子の選択 - 梯子は様々な葛藤を経て、最終的な決断を下す。みのもんたが梯子の背中を押す。
数日後、梯子はS区の神社にいた。約束の日から数ヶ月、あの場所は梯子にとって、運命の始まりの場所となっていた。
「いや〜、梯子くん!こんなところで会うなんて、偶然だね!」
背後からみのもんたの声が響く。相変わらずの人当たりの良い笑顔だ。
「みのもんたさん…」
「どうしたんだい?深刻な顔をして。お盆の件で悩んでるんじゃないのかね?」
梯子は頷く。「結局、まだ決められずにいます。帰るべきか、帰らないべきか…」
みのもんたは梯子の肩を叩いた。「梯子くん、人生は選択の連続だよ。どっちを選んでも、後悔することもあるだろう。でもね、大切なのは、自分で決めることなんだ」
「自分で…」
「そう。人の言葉に惑わされず、自分の心で決めるんだ。そして、その選択を信じて突き進むんだよ。君なら、きっと大丈夫だ」
みのもんたの言葉が、梯子の背中を押す。彼は目を閉じ、深く息を吸い込んだ。
「…決めた。僕は、帰省します」
梯子の声は、迷いのない力強いものだった。
数日後
新幹線の中で、梯子は窓の外を眺めていた。故郷の景色が近づいてくる。あのメモの真意はわからない。未来がどうなるかもわからない。だが、彼は家族と過ごす時間を選んだ。
ひろゆきがぶっきらぼうに言う。「まあ、梯子さんの選択を尊重しますよ。ただ、リスク管理はしっかりしてくださいね。何かあったら、すぐに連絡を」
ずんだもんは嬉しそうに飛び跳ねる。「これで、みんなでずんだ餅食べられるのだ!楽しみなのだ!」
梯子は微笑んだ。故郷に、家族に、そして未来に。彼は希望を抱いて、その選択を信じていた。
次の話に続く!梯子の帰省、一体何が待ち受けているのか!?そして、あのメモの最後の言葉の意味とは…!?
第7話: 未来の変革、梯子の物語
未来の変動、新たな現実 - 梯子の選択が未来に影響を与え、現実が変化し始める。
「はぁ…」
梯子は、メモに書かれた最後の指示を前に、深くため息をついた。お盆に帰省するか否か。妹との絆、叔父夫婦への感謝、そして何よりも、あの夜の紳士の言葉が頭の中で渦巻いている。
「どうしたんだい、梯子くん。元気がないねぇ」
背後から、いつもの調子でみのもんたが声をかけてきた。梯子は振り返り、憔悴した顔で答えた。
「みのもんたさん…実は、最後の選択を迫られているんです。お盆に帰省するかどうか…。帰省しない場合、未来が変わるかもしれない、と」
みのもんたは顎に手を当て、しばし考え込んだ。「ふむ…未来ね。それは面白い。梯子くん、君はどうしたいんだ?」
「妹には、帰ってきてほしいって言われました。家族みんなで、ゆっくり過ごしたいって…。でも、あのメモには…」
その時、背後からひろゆきの声が割り込んできた。「そのメモって、結局のところ、誰が書いたんですかね?根拠は?」
梯子は困惑した。「根拠…ですか?あの、岡田真澄さんに似た紳士が…」
「岡田真澄『に似た』、ですよね?ご本人が書いたという証拠はない。つまり、そのメモの信憑性は限りなく低い、と」ひろゆきは冷静に言い放った。
ずんだもんが心配そうに梯子の腕を引っ張った。「梯子のお兄ちゃん、大丈夫?ボクは、お兄ちゃんの気持ちを応援するのだ!」
梯子は深呼吸をした。「ありがとうございます、ずんだもん。…ひろゆきさんの言うことも、もっともです。でも…あの時、紳士は妹のことや叔父夫婦のことを言い当てたんです。それだけは、事実なんです」
真実の解明、全てのピースが繋がる - これまでの出来事が繋がり、梯子は全ての真実を理解する。ひろゆきも納得の論理展開。
梯子は、これまでの出来事を整理し始めた。コンビニでの出会い、メモとピアス、妹の事故、ありえない写真…。点と点が、徐々に線として繋がっていく。
「クオリア…物質への干渉…因果律…」梯子は呟いた。「もしかして…あの紳士は、未来の自分だったんじゃないか?」
ひろゆきは腕を組み、眉をひそめた。「タイムリープですか。パラドックスを考えると、論理的に破綻しますよね」
「でも…もしそうなら、すべて説明がつくんです」梯子は興奮気味に言った。「未来の自分が、過去の自分にメッセージを送った。未来を変えるために…。妹を救うために、家族を守るために!」
みのもんたは目を輝かせた。「いや〜、梯子くん!面白いじゃないか!まさに、タイムリープ都市伝説だね!」
ずんだもんは目を丸くした。「タイムリープって、すごいのだ!梯子のお兄ちゃんが主人公みたい!」
梯子は、あることに気が付いた。「11月1日。ピアスの便箋に書かれていた日付…飛行機の絵…」
彼は急いでスマートフォンを取り出し、過去のニュースを検索した。そして、一つの記事に目が止まった。
「11月1日…羽田空港発、諏訪行きの飛行機が、悪天候で墜落事故を起こしていた…」
梯子は、ネームホルダーの写真に写っていた場所が諏訪だったことを思い出した。両親は、その事故で亡くなるはずだったのだ。
「すべては繋がった…」梯子は呟いた。「未来の自分は、両親の死を防ぐために、過去の自分にメッセージを送ったんだ!」
ひろゆきは、少し驚いた表情を見せた。「なるほど…もしそれが事実なら、論理的に辻褄が合う、と」
梯子の物語、未来への希望 - 梯子の経験を通して、未来への希望が描かれる。ずんだもんが梯子の未来を祝福する。
梯子は決意した。
「ボクは…帰省しない。あの紳士…未来の自分を信じる!」
お盆の日、梯子は妹に電話をかけた。「ごめん、妹。今年は帰れないんだ」
妹は寂しそうだったが、梯子の決意を尊重してくれた。「わかった、お兄ちゃん。でも、いつでも連絡してね」
梯子は、メモに書かれた神社へと向かった。約束の場所には、あの時と同じ、茶髪のショートカットでファーのロングコートを着た女性が立っていた。
梯子は深呼吸をして、女性に近づいた。「あの…このピアス、落とされましたか?」
女性は、驚いた顔で梯子を見つめた。「え…?ああ、ありがとうございます。落としたことに全然気づかなくて…」
その瞬間、梯子の頭の中に、未来の自分の声が響いた。
『これで、いいんだ…これで、未来は変わる…』
梯子は、女性と短い言葉を交わした。それは、運命を変えるための、ほんの些細な会話だった。
数日後、梯子の周りの世界が少しずつ変化し始めた。妹の体調が良くなり、叔母の精密検査の結果も、異常なしだった。そして、何よりも驚いたことに、両親が健在だったのだ。
梯子は、過去の自分を信じたことで、未来を変えることができた。それは、タイムリープ都市伝説の奇跡だった。
ずんだもんは、梯子の肩を叩き、満面の笑みで言った。「梯子のお兄ちゃん、やったのだ!未来を変えられて、本当に良かったのだ!」
ひろゆきは、珍しく微笑みを浮かべた。「結果オーライ、ってやつですかね。まあ、論理的に説明がつかないことも、世の中にはある、と」
みのもんたは、いつもの調子で場を盛り上げた。「いや〜、皆さん!梯子くんの物語、感動的でしたね!まさに、未来への希望だ!」
梯子は、空を見上げた。雨上がりの空には、虹がかかっていた。
「ボクは…これからも、自分の信じる道を進む」
その時、梯子のスマートフォンが鳴った。画面には、「unknown」という文字が表示されていた。梯子が電話に出ると、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「梯子くん…よくやった。だが、これで終わりではない。新たな脅威が迫っている…」
梯子は息を呑んだ。「あなたは…一体、誰なんですか?」
電話の向こうの声は、静かに答えた。「私は…君の未来だ」
新たな謎が、梯子を待ち受けていた。物語は、まだ終わらない。
第8話へ続く!