「ゼルダ無双 厄災の黙示録」にブレワイ本編で見られなかったシーンがあって泣いた(記事後半ネタバレあり)
2020年11月20日に発売された「ゼルダ無双 厄災の黙示録」。発売日に購入しておきながらずっと積んでいて、もはや話題にならなくなった今(21年2月)に思い出したようにクリアしました。
ストーリー、ゲームシステムともに、評価については賛否ある印象があります。かくいう私もどうしても無双のゲームシステムが肌に合わず、積みゲーになってしまった一番の原因といえます。
しかし、シナリオについては良いものを見せてもらったと思い、ここに感想を書こうと思います。
まずはゲームシステムの感想を簡単に
さきほどゲームシステムが肌に合わなかったと言いましたが、それについても個人的な感想は記しておこうと思います。
とはいえ、これは無双シリーズ特有のシステムが合う合わないの問題だと思うので簡単に。
無双シリーズをほとんどプレイしたことない自分としては、正直戦闘が単調でどうしてもダルいと思ってしまいました。目的地に移動してボスを倒す単調な展開、ボスも攻撃パターンこそ違えどお決まりの倒し方(シーカーストーンやラッシュでウィークポイントゲージ削ってスマッシュ)で、コンボや使用キャラの多さの割に戦闘の駆け引きを楽しめませんでした。
また、戦闘以外もお金でレベル上げ、武器を合成させて強化、集めた素材でキャラ強化などのシステムにすごくソシャゲっぽさを感じ、作業感を強く抱いてしまいました。最初は頑張ってサブクエなどもこなしていましたが、途中から面倒になってしまい難易度をイージーにしてメインクエストのみプレイ、使用キャラも結局リンクでゴリ押しみたいな感じでやっていました。
ただしこれはゲームの楽しみ方の違いというか、うまく楽しめる人はちゃんと楽しめると思います。使用できるキャラも多いですし、難易度を上げたうえで自分なりのコンボや攻略法を研究するポテンシャルは十分あるゲームです。多分。自分はどうしてもそこまでのモチベーションが上がりませんでしたが……。ネタバレを恐れて動画を見ないようにしていたので、攻略動画とか上手い人のプレイ動画を見たら感想変わるかもしれません。
ストーリーについて(そんなにネタバレなし)
シナリオについても評価はわかれる印象があります。
というのも(これは体験版の時点で明らかになっているのでネタバレではないと思いますが)、ブレスオブザワイルド(以下BotW)から100年前のハイラルを描くという謳い文句ながら、直接BotWにつながらない「if ストーリー」になっているためです。
BotWは100年前にガノンが復活しほとんど滅びてしまったハイラルが舞台となるため、厄災の黙示録はいわば負け確定のストーリーではないかと思っていましたが、実際は100年後から来た小型ガーディアン(かわいい)によって未来を知り、運命を変えるシナリオとなっています。
実際これは評価が分かれる内容だったと思いますが、あくまで本編のゼルダではなく無双というスピンオフ作品なので、自分としてはそれくらいの立ち位置がむしろベストでした。
それどころか、スピンオフにおいてここまで気合の入ったパラレルストーリーを作ってくれることに感動を覚えました。正直ゼルダ無双はもともと購入する予定もなかったのですが、体験版をプレイしてそのシナリオの熱量に感動して購入を決意したものです。
ムービーシーンはBotW本編より多いくらいですし、ファンならテンションが上がる映像ばかりなので、それだけでも楽しめます。
ストーリーについて(ここからネタバレあり)
ここからはがっつりネタバレありでお話ししていきます。もう発売から3ヶ月経ってるのに今更ネタバレ配慮もアレですが……。
BotW本編の特徴として、「寂しさ」があると思います。3Dゼルダにおいてパートナーがいないのも多分BotWだけだったと思いますし、100年前に仲間が皆死んでしまい、荒廃した世界でその想いを背負い姫を救いにいくリンク、という寂しさとエモさのあるシナリオでした。個人的にたまらん設定です。好き。
対してゼルダ無双は派手派手なシナリオでした。最終的に100年後の未来から主要キャラまで来ちゃう展開は思わず「そんなんアリ!?」と笑ってしまいました。とはいえめちゃくちゃテンション上がりましたが……。
リーバルとテバ、これは薄い本が厚くなる
なんでもアリな展開で賛否わかれるところもあったかと思いますが、全員でガノンぶっ倒すぞ!!!!!という展開は「鬼滅の刃」の鬼舞辻無惨との戦い的な熱さがあったし、あくまで「無双」というゲームの特性に合ったシナリオだったと思います。
また、過去が変わってもゼルダ姫がちゃんと力に目醒める展開は熱かったです。
しかもこれ、厄災の黙示録でもちゃんと「リンクを護りたい」という気持ちが頂点に達したときに覚醒していて、BotW本編でミファーがゼルダ姫に伝えようとした助言と一致しているんですよね。
これはBotWのムービーシーン。この直後にガノンが復活し、結局このあとの言葉は伝えられませんでした。
BotWでもリンクを死なせたくないという気持ちから力が目覚めますが、厄災の黙示録で過去が変わっても、ちゃんとリンクを護らなければという気持ちがMAXになったとき覚醒しています。ここを過去では無かったことしたり、別の方法で覚醒したりすることがなかったのはとても良かったです。
「これが見たかったんや」というくらい感動し涙したシーン
ここまで書いた厄災の黙示録のシナリオについては、あくまでスピンオフ作品におけるif ストーリーとして、無双というゲーム特性にあった面白いシナリオだったという感想です。
しかし、とあるシーンではまさに自分が「ブレスオブザワイルドで見たかったけど見ることが叶わなかった」とずっとモヤモヤしていたものが回収されていたので、思わず泣いてしまいました。
正直この記事もこれを言いたいがために書き始めたのでこれまでの話はぶっちゃけどうでもいいです。
もったいぶらずに書くと、それは「ゼルダ姫とハイラル王の和解」です。
BotWの回想で描かれるハイラル王って、一見ものすごく嫌なやつじゃないですか?
ゼルダ姫の研究を一切認めず、王家としての責務を果たせと頑なに話を聞き入れようとしない。力が目覚めないゼルダに常に厳しくしつづけるハイラル王。
ゼルダが目覚めないのも、幼くして母を失ってしまい師事する人間がいなかったからと考えられ、ゼルダ本人もかなり苦しんでいました。
もちろん、ハイラル王が厳しくせざるを得なかったのも理解できるし、BotW冒頭で魂となったハイラル王がリンクに使命を託すシーンからも、決してゼルダにただ冷たくしていたわけではないことは十分想像できますが、何かしらハイラル王がゼルダを想う描写があってほしかったというモヤモヤが個人的にありました(あえて多く描かないのが良いというのもわかりますが)。
しかし厄災の黙示録では過去が変わり、ハイラル王が生存します。ゼルダ姫が研究してきた古代遺物に命を救われたハイラル王は、そこで初めてゼルダの研究を認めるのです。
「己の責務から逃避していたのは儂の方だったのかもしれぬ」
「ゼルダよ、お前は儂の………ハイラルの誇りよ」
このセリフでブワッと涙出ました。
ゼルダ姫がしてきた研究もBotWでは多く役立っていますが、父親に認められて初めて報われた気がします。
また、回想のなかでテラコ(小型ガーディアン)を捨てに行くハイラル王が、一瞬辛そうな顔を見せ「……すまぬ」と謝るシーンもあり、ハイラル王の立場の辛さや人情も描かれていました。
他のひとからすれば「そんなにハイラル王重要か?」と思われてしまうかもしれませんが、自分としては「これが見たかったんや!!!!!!!!!!」と叫びたくなるほどに感動しましたし、ここを回収したゼルダ無双シナリオは素晴らしいと思います。
自分は「ゼルダの伝説 風のタクト」のシナリオがすごく好きで、それゆえにハイラル王にはなんとなく思い入れが強いのかもしれません。
……とはいえ、ハイラル王がプレイアブルキャラで、しかも老人姿にチェンジできるのはさすがに笑ってしまいましたが………。
BotWは最も「ゼルダ姫」という人物が描かれたゲームかも
作品ごとに色んな顔を見せるゼルダ姫ですが、BotWは特に「人間くささ」が前面に出たゼルダ姫だと思っています。自分には才能が開花せず、せめてもの研究が親に認められず、リンクという才能の塊にコンプレックスを抱く……すごく親近感がわくヒロインです。BotWでガノンを倒したリンクに姫としての感謝を述べたあと、一人の女の子として「私を覚えていますか?」と聞くラストシーンが本当にたまりません。
そのうえで、パラレルとして描かれた「厄災の黙示録」は、ゼルダ姫自身が作った小型ガーディアンによって未来を変えるという内容で、ムービーシーンを見ても「ゼルダ姫が主人公」感がすごく強い作品でした。
キャラがたくさん出てくるので、正直リンクのほうが影が薄かったと言えます。喋らないしね。
BotW、そして厄災の黙示録で多くを描かれたゼルダ姫。ここまでゼルダ姫という人物が描かれるのは、ゼルダシリーズにおいてもあまり無いのではないでしょうか。
BotW2ではどうなるか、本当に待ちきれません。