【双子生活】「ふたごと教育 -双生児研究から見える個性 - 」序章
以前から読もうと思っていた、東京大学教育学部付属中等教育学校が出版した『ふたごと教育: 双生児研究から見える個性』が手元に届きました。
そもそも東京大学教育学部付属の学校があることすら、双子を授かるまで知りませんでした。いや、双子を授かったから知ったわけでもなく、妻が双子の会のようなところで聞いてきたというので「へぇ~」と何とも興味の薄いリアクションをした記憶があります。
ただ、双子業界(があるのか知りませんけど)では有名な話で、「双子実験校」と呼ばれたりしているようです。じゃあ、是が非でもこの学校にウチの双子も!とはならないのですが、やっぱり興味があります。
特に、どこにいっても双子は双子であるが故に声をかけられたり、すれ違いざま「双子だぁ」と言われたりします。別に嫌だということもないんですけど、やっぱり特別視をされます。
そんなとき、双子という存在だから特別視をされるのは、ある意味仕方がないけれど、この学校に通ったら「双子だから」という話にはならなそうで、それは双子にとってどうなんだろうね、という話を妻としていました。
だからいずれは読もうと思っていたんです。
東京大学教育学部付属中等教育学校は、1948年に創設され、70年も歴史があるんですね。毎年度約20組(40名)の双生児を募集し、教育にかかる実践的研究の継続と、身体の発育・発達や学習と脳科学など研究もしてきたようです。非双生児が約80名だそうです。「非双生児」という言葉は初めて聞きました・・・
本書によると、双生児を数多く入学させているという意味で世界でも珍しい学校で、ほぼ唯一と言われているそうです。「双生児研究委員会」という校務分掌が存在するそうです。「まじか!」と思いました(笑)
研究についての記述で面白いなと思ったのが、
「個人の遺伝的異質に適合したより良い自己実現を支える教育システムの設計にどのような可能性があるかを模索するための基礎情報を提供する研究」
というところで、やはり「遺伝と環境」の問題を追求しながら、その研究結果を応用していくということは、「なるほど」と思いました。ひとの成育はたくさんの要素があってなかなか決めてを見つけられるわけではありませんが、少なくとも一卵性の双子は「遺伝子」は同じですから、それ以外の「共有環境要因」か「非共有環境要因」かを観察することで、遺伝子の違いの部分は取り除けるのかなと。
それ以外でも、序章では双子の関係性、性格や個性の変化、「ふたごの成績5つのパターン」などにも触れられています。双子実験校だから当然かもしれませんが、成績などは個々人に加え、双子(二人)の関係性をグラフやデータで出して見ていくのも、研究のための学校という感じがします。
長年の経験・体験から、筆者もさまざまなパターンの双子が存在し、相互に影響し合うさまざまなパターンと、そうでもないこと。また6年間という長い期間いおける変化など、序章だけで示唆に富むものが多いです。
大変興味深い書籍であり、おそらく、双子家庭または双子の方、そして「こういうニッチテーマに目がない」という方くらいしか読まれないかもしれません。そりゃそうだろうとう話ですが、序章だけでもかなり面白く、双子に直接的に関係があってもなくても、このような学校の存在、教育の模索、そして研究の成果について知っていただけると、双子が双子家庭や双子当事者の存在だけにならないかもしれません。
読み進めると出てくるようですが「双生児法」という言葉に触れていて、僕は双子のための法律があるなんて知らなかった!と思ってググったんですが、全然違いました(笑)
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