見出し画像

今、保護者と教育現場が疲弊している[教育現場編]【元塾講師】

僕が東京で塾講師をしていて感じたのは、保護者と教育現場の「希望の無さ」でした。

叱っても褒めてもいけない学校の先生

先日の記事で「疲弊している保護者」について書きました。
過去記事⇒https://note.com/kudohari/n/n0da45df48787

本日は教育現場編。

僕が塾の現場で働いていると、保護者の方から「塾の先生は叱ってくれるから助かる」と言われる場面が多くありました。

また「塾の規律」を保つ意味でも「いじめにつながる行為は許さない」と事前に伝え、それにつながりそうな行為や他人に迷惑をかける可能性のある行為を見つけた際は、容赦なく叱っていました。

叱ると子供からの信頼を失うのではないか?と思うかもしれませんが、全く逆で、しっかり理由を説明して納得させたうえで叱り、その後対応を変えなければ、慕ってくれる生徒は増えました。

これらを経験したからこそ、僕は心の底から思っていました。

「学校の先生って大変だな…」

まず、公立高校の現場では「叱る」ことは稀です。
「注意」で留めてしまって、叱ることは減っています。

個人的には「叱る」とは、叱られている理由を納得させて反省させることまで含むと思っているのですが、これには信頼関係が必要です。

しかし、普段から叱らない、つまり「怖さ」がない先生の言うことなど生徒は聞きません。
また、敬語を使わない生徒も増えていて、境界線が曖昧になっている印象が強いです。

これは「空気感」の問題で、一人の先生だけが気合を入れて指導していても浮いてしまうんですよね。

本来は全体で指導ができる「空気作り」をしないといけないんですが、中には甘い先生は必ずいます。
生徒と迎合しているほうが、問題が起こりにくく楽ですからね。

また厳しい指導をしていると、いわゆる「モンスターペアレント」と呼ばれる親に目を付けられることになります。
うちの「●●ちゃんだけ!キィィ!!」みたいな感じでしょうか。

このように、しっかり指導している先生が迷惑をこうむる空気感が完成してしまっているんですよね…。

さらに、逆もまたしかりです。

褒めることもできません。

優等生なんて褒めどころが多く、褒める場面ができて当たり前なのですが、誰かを褒め続けると、嫉妬が生まれます。

叱れば問題、褒めても問題の世界が公立の教育現場です。
そこではバランス感覚が必要ですが、そのバランスは生徒と迎合するという方向に針がふれています。

しっかりと指導したいという思いを持っている人間ほどストレスをためてしまう世界。
それが、公立校の現状です。

ここまででも、その「疲労感」は伝わったと思いますが、これに加えて日々の雑務や部活の指導、保護者対応等が加わります。
残業時間は極めて長く、休日も潰れていきます。

教育現場は「自己犠牲」を良いと捉える風潮が強く残り、改善は進んでいません。

休むこともできず、労働時間も長い。
こんなストレスを抱えた状況で、生徒の指導ができるのでしょうか。

個人的には給料を多少下げ、人数を増やすことで対応していくか、教室運営者・授業担当・部活担当など専任制にしていくことが求められると思いますが、改善はまだまだ遠そうです。

とにかく休まない!塾の先生

ここからは、私も実際に働いていた「塾の現場」の話をしていきます。

まず、教育現場ではよくあることですが「残業時間」への認識がかなり甘いです。

学校の先生の欄でも触れましたが、どうしても「教育」=「奉仕、自己犠牲」という感覚が抜けず「生徒にどれだけ時間を使ったか」が評価される傾向にあります。

例えば、休日を使って授業の準備をした者が偉い!みたいな感じですね。

また、テストが近づくと土日を使って「テスト対策」を塾は行います。
これ、疑問に思いません?

土日も出勤、平日も出勤。
いつ休んでんの??

答えは休んでいません。
テスト前の連勤なんて当たり前です。

しかも、テスト対策期間って平気で1か月くらい続きますからね。

子供たちのテストは1週間で終わりですけど、定期試験の日程って中学ごとに異なりますから。
公立なのにバラバラですからね。

1週目に●●中と▽▽中、2週目に△△中、3週目に…。
ってな感じで続いていきます。

さらに言ってしまえば、テスト対策の賃金、僕もらってませんでしたからね。

残業時間に加えるべきなんでしょうが、そんなことしたらいくら時間があっても足りないため「みなし残業の範囲」とされていたんだと思います。
というか、そもそも申請すらなかったぞ。
恐ろしい世界ですね…。

テスト対策って、朝9時~夜10時くらいまで授業し続けるのに…。
※学年とか中学校別で子供たちは入れ替わるよ!

さて、ここで考えてみましょう。

3学期制の場合
・5月に中間テスト(あったりなかったりする)
・7月に期末テスト
・8月は夏期講習
・10月に中間テスト
・12月に期末テスト
・12月末から冬期講習
・2、3月に入試
・2月末に期末テスト。

いつ休むんだよ!!

こんな感じですから、塾講師はがっつり疲労しています。

耐えられるのは、プライドを持って教育していて体力も兼ね備えているか、単純にその他の行動が無い人たちですね。
授業が趣味みたいな。

これはただの雑談ですが、テスト対策とか授業の準備も大変なんですよねー。

中学校ごとに範囲は違うし、中学校数×3学年分のプリント等を準備しなければならないので。
さらに、アルバイトの授業分も正社員は準備しますから(もちろん手伝ってもらうけどね)。

僕文系だったんですけど、国語・英語・社会すべての準備を計画的に行っていました。

ここをアルバイトや経験の無い社員に任せて「点数が取れませんでした」では許されないので、各中学の進度を把握して、3科目分のプリントや過去問をそろえて、自分が授業できるようにして、アルバイトが授業できるようにして…。

毎回、気合を入れて準備する日を決めて、朝の3-4時くらいまでずっと印刷してました。

これは単純に印刷する量が多すぎて、印刷機2台をフルに使ってもそのくらいの時間がかかってしまうという…。

まあ、それで点数という結果が返ってくるので楽しかった部分もあるのですが、もうやりたくないし、子供を抱えた親ができる仕事とは思えないので、やっぱり若い時限定か、家庭を一部犠牲にするかしかなくなる気がします。
一生結婚しないなら別ですが。

正直、まだまだ書きたいことばかりですが、長くなってきたので今回はここで終わります。

疲弊する教育現場、彼らが楽しくストレス少なく指導できる日はやってくるのでしょうか…。

★お子さんの学習状況に迷っている方へ★
個別に相談したい!という方は、私の運営するブログ「ゼロステップ」よりお問い合わせください。
メールか状況によってはZOOMにて60分の無料セッションを行っています。
その際タイトルに【学習相談希望】と記載をお願いします。

ゼロステップ (zero-step.site)
※最下部に「問い合わせ」ボタンを設置しています

★過去の人気記事
「学力」と「やる気」で分ける都立・県立高校を目指すための学習塾の選び方

元文系塾講師から贈る言葉「一番重要な科目は数学です」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?