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30代の終わりは、そろそろ実らせにかかる季節かな。

つまり、こういうことです。惜しんでわずかしか種を蒔かない者は、刈り入れもわずかで、惜しまず豊かに蒔く人は、刈り入れも豊かなのです。

新約聖書 コリントの信徒への手紙二 9章6節 (新共同訳)

こんにちは、くどちんです。キリスト教学校で聖書科教員をしています。牧師です。

我が家のベランダ菜園で、プチトマトがたくさん実をつけ始めています。素人が特にきちんと勉強もせずに育てているので、手入れの方法が正しいのかどうかも分からないのですが、植物が育って実って色付いて……という過程を見守るのはなかなか楽しいです。と言っても私はひたすら見守るだけで、水やりその他の世話をしているのはもっぱら我がオットなのですが。

授業で高校生と共に「死」について共に学んでいます。死について考えるということは決して後ろ向きなことではなく、意外にも前向きな部分を多く含むなぁと実感しています。死について考えると、現在の生、これからの生について考えざるを得ず、かえって自分の人生の優先順位なんかがよく見えてくるからです。

そんなこんなで、いろんなところで学びの種を探す日々なのですが、最近こんな本を買いました。

言わずと知れた幕末の思想家、吉田松陰。彼が刑死する直前、松下村塾の門下生に向けて書いた、長文の遺書です。

有名な言葉ですが、この中で松陰は「どんな人生にも春夏秋冬がある。十年の人生には十年の中に、八十年の人生には八十年の中に四季がある」ということを言っています。

幕末の志士たちというのは、現代の私たちとは全く違う温度で生きていたのだなぁと思います。夜空の流れ星が実は燃え盛る火の玉であるように、刹那の命の内に信念の炎を燃やし尽くすような死生観を持っていたのだろうと思います。処刑前夜と言うべき時に遺されたこの松陰の言葉には、ほとばしる血潮のようなものを感じて圧倒されます。

青い小さなプチトマトの実と、この松陰の言葉との狭間で、私の人生はいまどんな季節を生きているのかなぁ、などということを思いました。

私が出会う中高生たちはまさに「青春」、人生の春を生きているなぁと感じます。その輝きはまぶしいくらいです。一方自分自身はどんな季節に当たる時を生きているのか。夏なのか、秋に差し掛かっているのか。「これ」と端的に思い当たることなく、ぐるぐると考えあぐねていました。

人生を季節になぞらえるだけでなく、一日の時間帯に重ねる「人生時間」という考え方を聞いたことがあります。自分の年齢を 3で割り、24時制に置き換えるというものです。

たとえば18歳なら「18÷3=6」で朝6時。もう目を覚まして一日の準備を始めている人もいるでしょうし、一方まだお布団の中でのんびりむにゃむにゃ……という人もいるかもしれません。何だか分かる気がしますね。

私は39歳なので、「39÷3=13」、お昼の13時ということになります。お昼休みが明ける頃でしょうか。人によってはまだお昼を食べておらず、ちょっとエネルギー切れ……ということもありそうです。教員はちゃんとお昼休みを確保できないことも多くて、13時頃は一番ふらふら、なんてこともよくあるので。お昼をしっかり食べられた人は、午後を頑張る気力が湧いてきたところですね。もしかして、満腹過ぎて逆に眠くなってきちゃうこともあるのかしら。

朝から一生懸命頑張ってきて、それでもどんどん目の前に積み上がる仕事量にややうんざりしたり、少し集中力が下がってきたりしていた頃。でもお昼休みを迎えて、ここらで一旦仕切り直し。しっかりエネルギーチャージをしたら、それを活かして、朝から取り組んできた仕事を、夕方に向けてまとめにかかるぞ。うーんと伸びをして、気合いを入れ直すためのコーヒーを一杯準備して、さて、もういっちょやりますかー!

私の「今」が、そんな「リスタート」のための備えの時なのだとしたら、具体的に今この時をどう過ごそうか。そんなことを考えてみました。

これを季節で言うなら、晩夏の辺りになるのでしょうか。もしそうなら、来る40代が、初秋から仲秋に当たるようにも思えます。

これまでにしっかり枝葉を伸ばし、繁らせてきた。それがここからは、だんだんと形をとって実りとなっていく。初めは青く小さな実りでも、やがて大きく育ち、美しく色付き、豊潤な味わいを蓄えて誰かを満たすものとなる。

間もなく始まる40代を、そんな風に過ごせたらなぁ。

いずれにせよ、これから来る実りの季節が、収穫の多いものになるか否かは、これまでと、そして今にかかっているのですよね。

惜しまず豊かに蒔き、水やりや肥料を忘れず、怠らず手入れし、満足のいく実りに繋がるように。青春を目一杯生きている生徒たちに負けず劣らず、アラフォーの私も頑張ろう、と改めて思うのでありました。

「季節の変わり目」を、大切に備えて過ごします。

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