離婚の際の財産分与!コツコツ内緒で貯めたへそくりも分けなければならないの?「へそくりを開示しないと法的手段を取り、強制的に開示させる」と言われたら?
共有財産の範囲
原則、離婚時には夫婦ふたりの共有財産を半分ずつ分けることになります。それぞれの貯金や家、車、退職金などもその対象です。
およそ「財産」に当たるようなものは全て共有財産の対象となると考えて良いでしょう。
では本題です。
タイトルにもありますが、
「配偶者には内緒でコツコツ貯めたへそくりは共有財産にあたるか?」
結論から言うと、へそくりも共有財産の対象とされる可能性が高いです。
共働きの夫婦で自分の給与のみで貯めたへそくりならまだしも、専業主婦となると夫の収入などが含まれている場合が多いため「本来であれば生活費の一部として使用されるべきお金」と考えられ共有財産として扱われてしまいます。
ただし実際は?
「へそくりは共有財産に入りますか?」と問われれば「YES」と答えますが、
「実際にへそくりが共有財産として分与されるケースは多いのですか?」と問われれば「NO」と言わざるを得ません。
というのも、そもそもへそくりとは主として使用する口座の他に隠し口座を保有しそこへ入出金するケースがほとんどです。
当然ながら「バレないように」保持しているものを見つけるというのはかなり難しいといえます。
へそくりを保持しながら、財産分与の際に黙っておくという行為は本来法律の意図する所と反する事になります。が、だからといってそれを罰する法律もないため、こういった行為は多く見られます。
「へそくりを開示しないと法的手段を取り、強制的に開示させる」と言われたら?
先程申し上げたように、「へそくりを保持しながら、財産分与の際にはその存在を隠匿する」行為は法律の意図している所と相反する事になります。
法律家の立場からすると、後々のトラブルを防ぐためにも財産分与の際は誠実な対応をすることをおすすめします。
ですが実際は、他人の口座を開示させるのは大変ハードルが高いもので、たとえ弁護士に依頼したとしても開示させるのは非常に困難です。
例えば、
・口座名義人の同意がある場合
・判決等の債務名義がある場合(ただし、債務名義があっても本人の同意が無いと開示しない銀行もあります)
の場合においてのみ口座情報の開示が可能です。
つまり、口座情報開示に一切同意しないという姿勢を示せば、現実的には開示される可能性は極めて低いといえます。
へそくりを法律的に捉えると財産分与の際は、自ら公開し相手と分けなければいけないということになります。
ですが現実では開示せずとも罰せられる法律も無いので、離婚時も黙ったままでいるという方が多いです。
が、万が一後からへそくりを保持していることが発覚してしまうと、大きなトラブルになりかねません。
特に金銭に関わる事柄については、嘘偽りなく互いに誠実な対応をすることが望ましいといえますね。
今後もこういった身近な法律問題についてピックアップしていきます。
このnoteで取り上げてほしい問題がある方、また私達にこっそり相談したいお悩みがある方大歓迎です。
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