よもつへぐいを食べてみた
iceberg_rainさんが考えた題名
大人気のユーチューバーケロケロ社長が亡くなった
死因は心不全
自宅のマンションのベッドの中で冷たくなっているのを家族が発見した
この話題はニュースとなり、全世界のファンが大騒ぎした
そしてケロケロ社長の最後の動画も公開された
「みんな~!おはケロ~!ケロケロ社長だけろっ!」
オープニングはいつものケロケロポーズ
能天気な音楽と共にかえる社長はどこかの風景を写す
「私は今、とても危険な場所に来ています」
明るい雰囲気から急に雰囲気が変わる
「今日はちょっとホラー風味ですよ」
脅かすように懐中電灯を下から照らす
「今日の食べてみようグルメはズバリ!よもつへぐいを食べてみたー!です」
そこでよもつへぐいとは?と言う説明文が流れる
よもつへぐい
黄泉戸喫と書き、黄泉の竃(戸)で調理されたものを食べること
これを食べると現世に戻れなくなる
「日本書紀のイザナギイザナミの伝説でも有名ですね。実は今日!そのよもつへぐいを食べてみようと思います」
盛大な拍手と口笛の音が溢れる
「本日そのよもつへぐいを提供してくださるのが、この黄泉の入り口にある旅館『黄泉比良坂(よもつひらさか)』さんです」
良くある旅館の外見
中には看板があり
「大歓迎 ケロケロ社長様!」
「やったー!大歓迎と書いてあります」
能天気にはしゃぐケロケロ社長に
「お待ちしておりましたケロケロ社長様」
美しい女性達が出迎える
「当旅館の女将イザナミです」
「おはケロ!お世話になりまーす!」
「キャー!生おはケロー!」
「おはケロケロー!」
相手側もファンなのかケロケロポーズ華麗に決める
「うちの黄泉醜女(よもつしこめ)が大ファンなんです」
後ろで恥ずかしそうにしている黄泉醜女に握手し、暫く女将を誉めた後本題に入る
「実はですね。うちの大人気企画で○○を食べてみようと言うものがあります」
「はい、私も大好きな企画です」
「その企画に今回こちらで提供されているよもつへぐいを頂くことになりました!」
「キャー!」
一気に盛り上がる現場
「いや予約したでしょう!」
ケロケロ社長がツッコミ、室内に入る
場面が変わり、座敷の中央にご馳走が並ぶ
「はい、こちらが噂のよもつへぐいです。これは凄い!」
季節の野菜の煮物や、天ぷら、焼き魚にミニステーキ、ごはん、汁物
「すごく豪華ですねー!」
「はい、よもつへぐいは黄泉の国の竃で調理したものです。材料さえあればカップラーメンもよもつへぐいになります」
早速汁物に手を付ける
「うん!旨い!出汁が良く効いてます。こちらの天ぷらもサクサクで!」
後はお決まりのグルメレポート
美味しそうに食べるケロケロ社長と笑顔で答えるイザナミ
「ふー!すごく美味しかったです!」
空になった食器に手を合わせる
「こちらこそありがとうございます」
お礼を言う女将
「ところでよもつへぐいを食べると現世に戻れなくなると聞きましたが?」
「はい、でも今回は特例で一旦現世にお戻りください。動画を配信して貰わないといけませんから」
女将の表情は笑顔のままで
「動画を配信して、それを観た視聴者によもつへぐいを提供させて貰い、黄泉の人口を増やします」
「はーい!では動画の公開を楽しみにしてくださいね!バイケロー!」
「バイケロ!」
ラストの挨拶まで完璧にこなした
「なんだこりゃ…」
ただのグルメ動画じゃないか
観て損した
湯を沸かしカップラーメンに湯を注ぐ
3分待ち蓋を剥がしてラーメンを啜る
ジジッ
ジー
ジジッ
突如パソコンの画面がブレ、とある映像が映る
真っ暗な洞窟内
変わり果てたケロケロ社長が黄泉醜女と不気味な獣達に貪られている
「黄泉は食糧が不足しています」
醜く腐り落ちた顔のイザナミが手招きする
「よもつへぐいを食べたお前も黄泉の国の食糧だ」
その日世界の人口は半分近く消え、また増加している
よもつへぐいを食べてみた
終わり