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舌が求めた原始

かつて地球と呼ばれた場所に住んでいた我らが祖先 その祖先達はある病によって絶滅の危機に陥った その病はストレス 人間関係、住居、衣服、仕事、食事、恋愛、政治、病気 これらの要因での過度のストレスにより、人類の寿命は大幅に激減し、次の子孫も残せなくなった そこで祖先達は学習し、進化を続けるAI搭載の宇宙船エデンを作り、そこに冷凍した遺体と肉体の一部を乗せた エデンでクローン人間を作り、新たな環境で完全な人間を作ろうとしている それは100年経った今でも進化をつづけ、私はその一員

    • 先を見通す母 愛よ甦れ2

      私の母は美しく強い人だった いつも背筋を伸ばし、化粧映えのる顔をあげ、堂々としていた 反して娘の私は地味で母曰く大人しすぎる方だった 「あんたはお父さん似の地味顔ねえ」 母は家でも外でもそう言って笑っていた 「それって悪いことなの?」 そういつも聞くと 「ママの大好きな顔ってこと。あんたは世界で一番最高の男に似た最高の娘よ」 抱きしめてそう言ってくれた 母はその美貌で何人もの男から言い寄られながら一番地味な父と結婚した 「あんたのパパが1番私を愛してくれると思ったから」 父と

      • 愛よ甦れ

        私の友人加奈子はおとなしい女の子だった 彼女の母親は若々しく美しい人で、自分の娘を地味だと笑っていた 低い鼻に細い目は父親譲り 「この子ったらかわいそうに父親に似て地味に産まれちゃって。性格も根暗だし。その点愛(私の事)ちゃんは良いわね。目がぱっちり美人で明るくて」 事ある毎に自分の娘を貶し笑う彼女の母親は彼女にとって良い母親ではなかっただろう それでも加奈子は優しくて良い子で 彼女の周りには自然と人が集まった そんな加奈子の母も夏菜子が高校生の時に亡くなった 彼女は母親の棺

        • 夜間警備23

          昨今のハロウィーンブームは仮装をした大人が酒を飲んで騒ぐお騒がせ行事となってるが、本来はケルト民族が先祖の魂を迎えるお盆の様なものであり、一緒に現れる悪霊から身を守るために火を灯したり、仮面をつけて過ごした またかぼちゃ提灯ことジャック・オ・ランターンも元々はカブであった ハロウィーンが発達したアメリカではこの時期になると採れる作物がかぼちゃの為にかぼちゃを鬼の姿に似せたものとなった 仮装はアメリカから始まったものであり 子供たちが悪霊から身を守るためにお化けの格好をし、祖先

        舌が求めた原始

          怪異の匂い 実話怪談

          人体において5感(視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚)の一つが欠けると他の感覚が強くなると言われている(重複して感覚がなくなる事もある) 霊感においても目が見えない耳が聞こえない人間に強いと言う説もある 私は遺伝性の弱視で乱視もあり、視力は0,0005以下(測定不可) メガネなどの矯正器具を使用しての車の運転が可能 視力は矯正可能のため、5感の一つが欠けているわけでは無いが、それでも他の感覚は他の人より強くなった 聴力が良すぎてレンジやトースターの音が強かったり、嗅覚も人より強く、

          怪異の匂い 実話怪談

          夜間警備21

          季節外れの暑さの中俺は必死にペダルを漕いでいた 異常気象のせいか畦道には彼岸花 しかもうるさいくらいにカエルの鳴き声聞こえてくる その声にイライラしながらも俺は足を動かす そもそも何故俺がこんなにも自転車を漕いでいるのかと言うと 今日の昼間、職業体験から始まった 気になる女が希望していたので同じく希望した博物館 俺としては警備員をやってみたかった なにしろ強盗を捕まえたり、侵入して来た殺人犯を捕まえたりと格好いい事ばかりだからだ 「警備はそんなに派手じゃ無いよ。てか警備の機

          夜間警備21

          また会う日を楽しみに 華餓鬼3

          続き 今年もこの季節がやって来ました 赤く不気味なあの花が咲く季節が 私は20代初めに婦人病で子宮を切除しました 私を溺愛していた会社経営の父はひどく悲しみ、今まで以上に私を大事にしました 跡取り娘として最高の婿を迎え,子供は養護施設から男の子を引き取ると考えていました 父が選んだ男は父の信頼厚い部下からの推薦 営業部のエースだと言う私の3歳上の男でした 「将来有望な若者でお嬢さんとも歳の近い男です」 との事で私は見合いをしました 男は見た目は真面目そのもので、女性の扱いに

          また会う日を楽しみに 華餓鬼3

          三千世界のロケロケロ

          タイトルと起案 お好みオヤジ様@Qs5kSpozlnejIYe 笑認 営業のK様 @yaminurikaidan タクシーは客の望むまま様々な場所を走る 時に理不尽だったり厄介な客にも絡まれる しかし特に何もしなくても厄介な客と言うのも存在するらしい 私はその日何度目かの金沢に居た とある人物と会う約束をし、余裕を持って現地到着の予定だったがバスを乗り間違え真逆の方向に来てしまった 一応相手方には電話で連絡した 「何で逆方向?まあ気を付けてゆっくり来なよ」 電話口から

          三千世界のロケロケロ

          号泣した女霊 実話怪談

          これは先週に身内に起きた出来事である 水曜日の朝 「何か女の霊が出て変な夢を見た」 と言う話をしていたので 「神社に行ったら良いんじゃない?」 と返した 知り合いの拝み屋のお陰で兎に角何かあったら神社は共通のワードになっていた 「じゃあいつもの神社に寄って仕事に行ってくる」 と言ってそれぞれ出勤した そして夕方いきなり帰ってきたら身内が一気に捲し立てた 以下は身内の話である 今身内が勤務している職場では身内の事を気に入らない人間とのトラブルが起きている 身内はその人間の事は嫌

          号泣した女霊 実話怪談

          太陽の王と氷の女王

          今は昔とある国の話 勇猛果敢な王がいた 太陽の王と称される栗毛の勇ましい王は各国との戦いで領土を広げていた しかしある国とはこう着状態となっていた 氷の女王と称される美女が時期王となる国 暗殺術を得意とする民族を統率する国王の一族も暗殺術を身につけており、その異才に正統な武道の主である太陽の王の部隊は翻弄された しかしその危機をも太陽の王は怯まなかった 異才の者達への敬意は忘れぬままに正統なる攻略で相手を追い詰めた その勇気と礼節に感銘を受けた暗殺の王は自分の娘を嫁がせた 暗

          太陽の王と氷の女王

          白いパンケーキの彼女

          「お待たせしました。自家製パンケーキです」 彼女の前に置かれた白いパンケーキ ケーキのスポンジのようにふっくらと焼き上げられた白いパンケーキ 生クリームがたっぷりと乗せられている こちらにも漂ってくる甘ったるい香りに甘いものが苦手な俺は少し頭痛を感じた 別皿にはシロップとフルーツのソースが容器に入っており 「こちらは季節のフルーツソースです。今月はマンゴーになっております」 店員の話を半分聞きつつも彼女の意識は目の前のパンケーキ囚われている 「直ぐにバナナジュースもお持ちしま

          白いパンケーキの彼女

          夜間警備番外編 岡山激闘編

          岡山県 通称晴れの国と言われる我が県は日照時間が多く、温暖な気候となっている 有名な観光地は倉敷市 綺麗に整備されたたレトロな建築物が並ぶ美観地区は観光客も多い そして岡山の特徴の1つに桃太郎伝説がある 桃太郎の鬼退治の原型となった話 4世紀頃、大和朝廷に仇なす鬼温羅(うら)を吉備津彦命が部下と共に退治した しかし、退治され、首を跳ねられた温羅は生きていた 怨嗟の咆哮を続ける温羅の生首を犬に食わせ骸骨にするもその首は吠え続け、竈殿の下に埋めても声は出続けた そして温羅の霊は吉

          夜間警備番外編 岡山激闘編

          岡山怪談会 第霊話 怪談後に怪来る

          7月14日 岡山にて行われた ぼっけえ岡山怪談会 〜怪を語りて鬼来たる〜 そこに怪談の語りとして参加させて頂いた 怪を語れば怪に至る 怪談会に参加し、怪談を語るにおいて怪異は付きものである オカルトマニアでもある私としても願ったり叶ったりである しかし過剰な怪異は他に影響を及ぼす危険性がある なので岡山怪談会の前後に神社を参拝した 神社は不浄を嫌う為、自然と穢れを除去する浄化装置の役割もしている 最初に訪れたのは吉備津神社 桃太郎のモデルとなった吉備津彦命(きびつひこ

          岡山怪談会 第霊話 怪談後に怪来る

          岡山怪談第3部 じゃない方

          ある日拝み屋の家に遊びに行った時 拝み屋の近所の人がジャンボたにしの被害について世間話としてしていた 丁度私がきたので 「生き物に詳しい人が来たから相談したら?」 と私に言ってきた 正直ジャンボたにしは卵も乾燥に強いので一々採取して潰すか燃やさないということを説明した これは誰もが知っていることだとも話 話題は当時はやった騒音問題についてに移った 「今は風鈴の音でも苦情が来るって」 「変な時代だ。じいさん(ご隠居)のいびきの方が酷いのに」 「カエルもよ。近くに田んぼがある家の

          岡山怪談第3部 じゃない方

          岡山怪談会第2話 願いを叶えた神様

          こちらは岡山で7月14日に行われた ぼっけえ岡山怪談会 〜怪を語りて鬼来たる〜 で配布した小冊子と同じものです 神様は頼りになるけれど厄介な隣人である 拝み屋が私に行った言葉だがそれにはこう言う話もあったからである これは知り合いの拝み屋が師匠であるご隠居から聞いた話 ご隠居は弱視であった 私も弱視なので見え方は分かる 弱視が見る世界は磨りガラス越しに見える風景がそのままの視界となっている そのボヤけた風景の中にはっきりとした人間や動物が見える 時にはボヤけた人体にはっき

          岡山怪談会第2話 願いを叶えた神様

          岡山怪談会 第1部 返せなかった呪い

          こちらは岡山で7月14日に行われた ぼっけえ岡山怪談会 〜怪を語りて鬼来たる〜 で配布した小冊子と同じものです 最初にこの話は現在も続いている話である これは知り合いの拝み屋が若い頃に体験した話 知り合いの拝み屋は本業は按摩 本人はお化け関係の話が苦手で、そう言う系の話をされるのを極端に嫌うので表立って拝み屋は名乗らないし、呼ばせない 拝み屋は全盲で、目が見えない代わりに聴力や嗅覚、触覚が発達しており、神様や霊の存在は嗅覚や聴覚で認知していた この時の拝み屋は現役だった拝

          岡山怪談会 第1部 返せなかった呪い