怪異の匂い 実話怪談

人体において5感(視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚)の一つが欠けると他の感覚が強くなると言われている(重複して感覚がなくなる事もある)
霊感においても目が見えない耳が聞こえない人間に強いと言う説もある
私は遺伝性の弱視で乱視もあり、視力は0,0005以下(測定不可)
メガネなどの矯正器具を使用しての車の運転が可能
視力は矯正可能のため、5感の一つが欠けているわけでは無いが、それでも他の感覚は他の人より強くなった
聴力が良すぎてレンジやトースターの音が強かったり、嗅覚も人より強く、味覚も強く薄味の物しか食べられなかった
年齢を重ねて今はだいぶマシになったがそれでも花火などの大きな音はいまだに苦手
しかしながら霊感は全く無い
たまにメガネを外した時にはっきりと見える事があるが普段は何も気付かず過ごす
そして嗅覚は現在知り合いの拝み屋の指導の元鍛えている最中である

知り合いの拝み屋は全盲で、視界は真っ白でそれに物や人が黒いぼんやりとした影に見える
目はサングラスで隠しているが、黒目の部分が白濁している
代わりに聴覚、嗅覚、触覚が人より強い
味覚の方は塩味と酒を好んでいるのは不明
拝み屋の特技の一つに天気予報がある
日本酒を持って行った時に世間話をしてから帰るが、その時に
「お前ーこれから買い物とかあったら傘は持って行け。雨が降るぞ」
と言われた
空を見ると薄曇り
「後2時間位で降る」
と言う予言通り2時間後位に雨が降り始める
「凄いね」
と言うと
「雨の匂いが強くなるだろうが。お前も分かる。てか分かれ。匂いが分かればお化けを避けられるぞ」
と半ば強引に指導が入った
雨が降る前は湿気が強くなり、雨の匂いも強くなる
雨が上がる時も同様で、雨の匂いが薄くなって来ると言う
「人間は生きていても死んでいても匂いは絶対する。目が見えても危険なものの匂いはするから体で覚えろ
と教わった
主に霊の匂いは人間のように脂や汗の匂いがせず、水の匂いがするという
水の匂いがした後のその例の死因の匂いに変わるという
病気なら薬の匂い、火事で死んだら焦げた匂いのように
タチの悪い霊は人工物が腐った匂いがするという
性根が腐ったと言う表現があるがあるがまさにそれだと思った
逆に自然霊は自然の植物等が腐った匂いがするので、すぐにその場を離れれば難を逃れるという
霊関係を感じる機能は普段使っている機能と違う部位で感じるらしい
普通の物の匂いは鼻のいる口の部分で感じ、霊関係は鼻の奥の部分で、その部位で嗅ぎ分けるらしい
聴覚の部分は同じように奥の部分で脳に近いところだという
ちなみに生き霊は血の塊のような匂いでかなりの悪臭らしい
拝み屋が初めて生き霊の匂いを嗅いだ時はあまりに大量の鉄臭さに嘔吐したという
「生きた人間は思いが強いだけに余計に匂いがきつい。それが他人を思いやる気持ちからでもだ。それにあれはかなり体力とか使うらしいからぶっ倒れるぞ」
そして拝み屋が最も得意としている呪い返し
誰よりも鼻が効くのですぐに呪いの匂いを感じ取り、綺麗に匂いが無くなるまで返せる
「あれは人間の感情が一番強く出るからな。わかりやすい」
その匂いはというと漢方を腐らせたような匂いらしい
「人間が作ったモノの匂いは人工の匂いがするから。その匂いがしたら何も考えずに離れろ。悪いことを考えていたらそれがくっついてくる。いらん風(呪い)をくっつけることになる」
漢方の腐った匂いと聞き、灸に使うもぐさか何かを腐らせたことがあるのかとその時は笑って拝み屋に叱られた
しかし後日呪いの匂いを感じる出来事があった
いきなり漢方の腐った匂いが鼻の奥にまとわりつき咳き込んだ
それほどまでに不快な匂いだった
別の日に遊びに行ったときに
「おっしゃる通りでした。本当に漢方の腐った匂いでした」
とお土産の日本酒と共に謝罪した
「本当にね。これで他の匂いも嗅ぎ分けてこい。お化けを持ち帰るな」
と改めて指導された
鼻の奥で感じる匂いは鼻炎や蓄膿関係なく感じることができるとの事で、
人間が本来持ち合わせている危機管理能力の一つだと言える
なのでもしも自分が肌で嫌だと感じる場所やおかしな匂いがしたらすぐに離れて欲しい
そこには何かしらの悪意を持った怪異がいるのだから


終わり

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