インテークについて④
インテーク面接で特にどのようなことを意識して進めていくかと考えると、見立てを1枚の地図のようにある程度概観できるように意識して、話を聞いています。
おそらくどの領域でもそうだと思われますが、継続的な面接に比べて、インテーク面接は比較的全体が構造化され、ある程度聞いた方が良い内容というのが(ケースバイケースですが)、要点を押さえる必要があると考えます。
とはいっても、問診票のように整った形で聞いていくわけでもなく、何というか、説明の難しさを感じます。
例えば、「人と関わるのが辛い」という主訴があったとします。私の場合は、まず本人の話す流れのままに話を伺います。クライエントは自分の話を聞いてほしい、受け止めてほしい、わかってほしいといった、切羽詰まった気持ちでいらっしゃることが多いです。
事務的にスパスパっと区切って聞くこともできますが、多くの方にとってはじめてのカウンセリングとなるインテーク面接において、自分の心の中で生じる話の流れを妨げられるというのは、想像するに、非常に不快なものでしょう。なので、まずはほぼ傾聴と共感的応答に徹し、本人の話の流れを確かめて行く。
聞いていくと、自然といくつかの部分で確認したい点が生じてきます。例えば、それがいつ頃から始まっているのか。どのような場面で生じやすいのか。そこで生じる心身の反応はどのようなものか。今回このタイミングで相談しようと思ったのはなぜか。等々。流れに乗りながら、細部を1つずつ確かめていく中で、地図で言うところの、通りが出来上がっていきます。
しかしインテーク面接の場合、他にも家族構成や、現在の生活状況、睡眠・食欲といった身体の状態、また抑うつ気分や気分の上下、また不安の程度や質、全体的な機能の程度、なども(細かには無理ですが)把握しておく必要があります。
特に希死念慮や、自傷他害恐れについては、ほのめかす発言があれば、率直に確認しておきます。
これらの聞く内容で、非常に、非常に重要なのは「どのように聞くか」ということでしょう。クライエントに尊重の意思を示し、安心感を伝え、肯定的な関心を示していくには、聞く内容よりも、伝え方や聞き方なのではないか、という位に重要に感じます。
これについても細かに確かめれば非常に様々な要素が入り交ます。わかりやすいところで言えば、質問の前にいちど受け止める言葉を挟む。ただ質問を繰り返して聞くだけだと、キャッチボールにはならず、侵襲される不快感が強まります。
例えば不安がどの程度強いかという事についても、様々な聞き方があると思いますが、例えば「そのようにお感じになるのは、かなりしんどいように思うのですが。その不安の強さと言うのは、例えば1が全然平気、10が耐えられない位だとするならば、どのぐらいの強さなんでしょうか」と尋ねることもあります。
この場合は、おそらく他の方に充分受け止められてこなかったであろう、本人の辛さをいちど受け止め、その上で関心を持ってどのぐらい不安がつよいのか尋ねる。不安は程度を形容しがたいものでもあるので、スケーリング・クエスチョンによって程度の強さを確かめる。程度の強さを確かめるという事は、症状についてクライエントが視点を引いて相対的に捉える助けにもなります。
また、場面や状況を別にスケーリング・クエスチョンを尋ねることで、状況によって異なるという認識をクライエントと共有し、また更に「症状の程度を確かめるという考え方」をツールとしてクライエントにお渡しします。
また改めて整理してみたいと思いますが、これらの展開と言うものは、全体の流れを意識しつつ、またクライエントの見立ての概観を想定しながら、しかしあくまで一点にとらわれることなく行います。漂うような注意を向けながら、クライエントの発するものから引き出され導かれるようにして、立ち上がれる部分が大きいように感じます。
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