エンカウンター・グループについて①

ちょうどエンカウンター・グループについて学ぶ機会があったため、何回かに分けて、ちょこちょこ所感を含め、まとめてみようと思います。

エンカウンター・グループといいますのは、来談者中心療法という心理療法を開発した、カール・ロジャースさんという方が開発したグループ・アプローチを指します。70年代に日本に畠瀬稔先生らによって導入され、日本では京都〜九州、また関東で、野島先生、村山先生らによって展開してきました。

構成的グループ・エンカウンターというグループ・アプローチもありますが、こちらは國分康孝先生が開発したもので、よりグループの実施内容が、カチッと枠を決められたものになります。エンカウンターについて語られる時、よくこの二つの流れが話題に挙がります。

エンカウンター・グループにも、構成的エンカウンター(ワークなどの内容がある程度明確に定められたもの)、半構成エンカウンター(テーマなどある程度の枠組みが付与されたもの)、非構成エンカウンター(時間と場所とファシリテーター以外の枠がほぼ無いもの)と、種類が分けられます。

以下に、自分自身が受けた感触を記します。あくまで個人が参加してみての感想です。しっかり学びたい方は更に書籍などお触れいただけたら幸いです。

自分自身が受けた感じでいうと、構成的エンカウンター・グループは、ワークを数種類行い、段階を追って話の内容が深まる感じですが、どうも誘導されているような感触が残る。恐らくですが、何かの目的(既存のグループの親睦を深める、カリキュラムの一環として行う等)のもとに、行われやすいのだと思います。強力に枠組みを設定される分、ファシリテーターの構成力が反映されやすいと思われます。取り組みやすい分、ちょっと窮屈。その分実施もしやすい。

半構成エンカウンター・グループは、テーマをもとに一人数分話す、という形式で取り組みましたが、これは比較的自由度が高い。ただ、「○分話さなければならない」というのは、人によってはかなりプレッシャーにもなるようです。自分は非構成のやり方に慣れていたのもあり、話しにくさも含めて表明できましたが、場合によっては同調圧力で思うままに話しにくいところも生じるのかもしれません。良いとこ取りのようでいて、うまく実施されないと、どっちつかずにもなるような印象。

非構成エンカウンター・グループは、今回は参加しませんでしたが、これまで参加した感じだと、自分自身がモロに出るな、という印象です。これはファシリテーターの立場でも、メンバーとして参加する場合でも、同様です。自身が抱える葛藤や、感情のわだかまりが、話の展開によって大きな流れとなって引き出される。それが成長的な効果をもたらすこともあれば、傷付き体験となりうるリスクも起こりうる。グループ・ダイナミズムの長所でもあり、短所でもあるのでしょう。

私自身は、グループ・アプローチというものは、ある程度使えると非常に強力な選択肢となりうる、と感じています。ただ、個人の心理療法とは、なんというのか、用いる視点や態度が若干変わるような感覚もあって、多分個人療法とは異なる熟達の仕方や、向き不向きもあるように感じます。

しかし、グループの中で異なる価値観が呈示され、参加者がそれに反応し、そこから変化がもたらされる瞬間というのは、何とも言い難い強烈なものがあります。自分自身も、そうしたダイナミクスから恩恵を受けた身でもあり、エンカウンター・グループには並ならぬ魅力を感じるのです。



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