第一印象至上主義の時代にセカンドインプレッSHOW!を
何百種類も同じジャンルの商品が並ぶ棚。
ひとつひとつ検討するのは面倒なので、まずはパッと見た印象で直感的に、一気に数種類にしぼる。
ちょっと使ってみて、合わないなと思ったらすぐに別のを試してみる。
選択肢があまりに多い場合、合理的な行動は上記のようなものになるはず。
それは、洗剤やお菓子だけの話なのではなく、あらゆる娯楽や、マッチングアプリを使った恋愛や就職も同じではないでしょうか。
あらゆるものが市場化された社会では、第一印象で選択肢をグッと絞ることがまず必要。
だから、想いとか中身とかはさておき第一印象がこれまでにないほど力を持つ。世はまさに第一印象至上主義社会…。
岡田斗司夫さんがネット社会の三大法則として挙げていた「第一印象至上主義」という言葉から引っ張ってきましたが、僕もあながち間違っていないかなと思います。必然かなと。
【印象が塗り変わる時間を意図的につくる】
そんな第一印象主義の時代に、ひとつの試みとして「セカンドインプレッSHOW!」という企画を始めました。
こんなことをいうと、思想ファーストで入った企画みたいですが、そんなことはありません。白状すると、僕がしゃべるのが好きで始めたというのが理由のほとんどです。
僕と友人のまっすーで2人が一度は会ったことのあるゲストを迎えて、90分ほどの対話でゲストの新たな一面を発掘し、お互いのイメージをアップデートしようという内容です。
久高が司会をして、まっすーが毎回ゲストのファースト・セカンドインプレッションを総括する座組でやっています。
やろうと思った直接のきっかけは、「実はしっかり話したことがないからトピック決めて10時間くらい話したい」というまっすーの声。
それを受け、久高がオファーしてありがたーく始まった企画です。
【印象を塗り替える目的の会話という秀逸さ】
配信もせず、観覧がいるわけでもなく、ただただ楽しくてやっているこの企画、昨年の10月にスタートしてから1月中旬時点ですでに8回開催しています。
僕もまっすーもゲストも乗り気すぎてサクサク次の回が決まっていくんですね。
一体僕らはどうしてこの企画にこんなにハマっているのか。
それは、第一印象を塗り替えるつもりで90分話すという目的と手段の秀逸さのためだと思います。
変な角度から質問をし、最初の回答では満足せずさらに深めていくことを繰り返して、ゲストの新たな側面を見つけ、より立体的にその人のことを好きになっていく時間。
これがすごく良い。
あらゆるサービス(特に動画とかSNS系)を通して、第一印象だけ抱いてさらっと流していくのが通常スタイルになっているのが日常な中で、こういう時間が脳に違う報酬を与えてくれる感じがあります。
【わかったと早合点しない】
一度見てわかった気にならず、まだまだ何もわかってないと前提してみて、対象にあれこれ刺激を与えて、反応を試す。
赤ちゃんを見ていると、新しいものを見つけるたびにこれを繰り返して非常に楽しそうにしています。失敗しても一向にやめる気配がありません。
そして、赤ちゃんは僕らと比にならないくらい成長が早い。
別れる夫婦や恋人は、相手のことを「もうわかった」(私に対してどんなことをするかはっきりわかりきっている不変の存在である)と言って、話を聞く気を失い、相手の背景を想像することをやめます。
手をつけなくなった苦手な科目は、「私がこれに向いていないのはわかった」ことを理由に二度と見向きもされなくなります。
「わかった」は、「もうわかろうとしないからな」の意味で、意識に上げて解釈を練るのをやめる宣言。
もうわかってしまった対象を前に、人が赤ちゃんのようなあの無邪気な笑顔を見せることはありません。
逆に言えば、すごく変な感覚ですが、
「何これ、わからないのに面白い!もっと知りたい!うわ、知ったらもっとわからなくなった!面白ぇ…」
みたいに思える対象が、自分にとって一生追求できるようなものなんでしょうね。
【セカSHOW!交流会バージョンの実験】
話を「セカンドインプレッSHOW!」に戻します。
つい先日、「セカンドインプレッSHOW!」を多人数でやる形にこしらえて、僕の運営する面白ベースのご飯会で試してみました。
やり方はシンプルです。
この繰り返しです。今回は2時間ほどのイベントだったので、この流れを2回やりました。
やってみた感触としては、それぞれが通常のご飯会より互いへの興味が湧いていて、同時に自分の新しい側面を発見する機会になっていたように思います。
実際、参加してくれた女性の1人が「昨日のご飯会で自分のことをもっと深掘りして言語化したいと思いました」と伝えてくれました。
【雰囲気と中身の両方を客観視できる】
個人的に面白いと思ったのは、印象の変化を複数の人に言語化してもらえることです。
初対面の人への第一印象はほとんど見た目から推測できることです。つまり、第一印象を書いてもらうところでは、雰囲気を教えてもらえる。
その上でその印象を変えるような側面はないかと思いながら40分話すわけです。
第二印象を書いてもらう時には、「こんな感じの人だと思っていたけど、こういうところもあって魅力的だと思った」みたいなことを教えてもらえます。
友人から自分をどう思うか聞いたりすることは稀にありますが、それはその瞬間の話で、印象の変化をはっきり聞けることはそうありません。
たった数十分ちゃんと話せば、自分への印象が変わっていくんだなと知ることができて、他者との関わりにより希望を見出せるようになりましたし、他の人を深掘りしてみたい気持ちが湧いてきました。
【みなさんもやってみては?】
セカンドインプレッSHOW!交流会やらご飯会やらが勝手に広がっていったら面白いなと思っています。
全然会ったこともない他県の人がどこ発祥のものかとか知らずにセカンドインプレッSHOW!ご飯会の感想を言い合うのを見る日があったら嬉しさが止まらないですね。
この第一印象至上主義の世界に、腰を据えて対象と向き合い、まだ見えぬものを見よう、聞こえぬことを聞こう、感じられぬことを感じようとする姿勢が少しでも増えたら。
僕がめっちゃ生きやすくなることでしょう笑
ではでは。