2048年を非閏年に ~ 蓄積される年27秒のずれ

私の投稿は、何らかの形で「整列」に関係したものが中心です。
最初は原始ピタゴラス数、次は(0,1)範囲の有理数、その後、60の倍数の角度を持つ三角形、数列みたいな感じです。

今回は、その流れとは全くはずれた、単発の話題を記したいと思います。


ほぼ四年に一度、閏年があります。オリンピックのある年と、閏年はだいたい一致します。「ほぼ四年に一度」というのは、例外があるからです。
現在多くの国で採用されているグレゴリオ歴では、
・西暦を4で割って、割り切れる年は原則閏年
・ただし、100で割り切れる年は例外(つまり、平年)
・さらに、400で割り切れる年は例外の例外(つまり、閏年)
というルールで閏年が決められています。


なぜ、閏年を設けるか? 答えは、季節と暦を一致させるためと言えます。

毎年、この日に種をまけば、うまく収穫ができる。
毎年、この時期になると、じめじめした天気が続く。
毎年、この時期になると、冬支度をしなければならない。
...
このような普遍的な気象上の道しるべを欲し作られたものが暦です。

何百年後であろうと、夏とされる時期に、雪が降っては困る。
極論すれば、これが、閏年が設けられる理由と言えます。


紀元前46年、古代ローマのユリウス・カエサルは、新しい暦を制定しました。現在「ユリウス歴」と呼ばれているもので、四年に一度閏年を設けていました。
一年=365.25日として扱うことになります。

約1600年後の西暦1582年、ローマ教皇グレゴリオ13世は、暦を改定します。
春分日が、西暦325年には3月21日であったが、16世紀後半では3月11日頃にまでずれており、「暦と季節の十日のずれ」は容認できなくなったと思われます。

ユリウス歴1582年10月4日(木)の翌日を、グレゴリオ歴1582年10月15日(金)としました。10日のずれを解消したのと同時に、閏年の設置も、400年に100回であったものを、97回に変更しました。
一年=(365×400+97)/400=365.2425日として扱うことになります。


一年=365.25日、あるいは、365.2425日等書いてきましたが、一年の長さとして、何が正しい値かと問われた時、どのように答えるでしょうか?
「地球の公転周期が一年に決まっているじゃないか!」
と考える方が多いのではないかと思います。
量的にはほぼ正しい。ですが、正しくはありません。
以下、何が正しくないのか、説明したいと思いますが、その前に、似た構造にある地球の自転周期と一日の長さについて、説明を加えたいと思います。


一日=24時間です。では、地球の自転周期は24時間でしょうか?
違います。
24時間というのは、太陽が南中してから次南中するまでの時間と言えます。
「その時間を自転周期っていうんじゃないか!」
そう思うのも、ごもっともですが正しくありません。

地球の北極側から、太陽系を俯瞰するような視点に立つつもりで思い描いて下さい。
地球の公転方向、自転方向、いずれも反時計回りになっていてます。
地球はある一定時間で360度回転(自転)します。その間地球は太陽の周りを約1度(=約(360/365.25)度)公転に伴って移動します。故に約1度分太陽のみえる方向がずれてしまいます。自転する方向と公転する方向が共に反時計回りなので、約361度自転しなければ、太陽を同じ方向に見いだす(南中してから次に南中していると認識する)ようにはなりません。
逆に、星座は一日(約361度自転に要する時間)経つと、約1度ずれた方向に見いだすことになります。


このように地球の自転周期と、一日には約$${\frac{1}{365}}$$の微妙な差があります。太陽を同じ方向に見いだすまでに必要な時間、つまり通常24時間とするものを、1太陽日、星座に代表される太陽以外の恒星を、同じ方向に見いだすまでに必要な時間、つまり、地球の自転周期を、1恒星日と定義し区別されています。

1太陽日(平均太陽日)=24時間 $${{\scriptsize(←約361度自転するのに要する時間)}}$$
1恒星日=23時間56分4.091秒 $${{\scriptsize(←調度360度自転するのに要する時間)}}$$


南中から南中までの時間が1太陽日だと書きましたが、正しくは、視太陽日と言います。この値は時期によって変化し、「◎月頃の視太陽日」などのような使い方がされると思います。この視太陽日の一年を通しての平均が、平均太陽日となり、これがいわば「一日」=「24時間」の定義みたいな値になります。
視太陽日が変化する理由は、主に二点で、地球の公転軌道が楕円であると、地軸が公転軌道面と垂直でないことによります。

視太陽日の変化の範囲は、

平均太陽日-22秒  ≦  視太陽日  ≦  平均太陽日 + 29秒

程度です。
一日=24(時間)×60(分/時間)×60(秒/分)=86400秒に対する20秒程度の値でそれほど大きなものではありませんが、これは飽くまで一日当たりのずれです。

以前は、太陽の位置を基準に24時間を考えていました。視太陽時といいます。精密な時計が登場すると、太陽の位置とは無関係に正確な時刻を知ることができるようになりました。すると、太陽の位置が「ずれ」ていることが発見されます。
大がかりな日時計のそばには、実際の時間との差がグラフで表示されている事があります。「均時差」といいます。これは、視太陽日のずれの累積のグラフと言えます。


以上、24時間という単位は、太陽の南中から南中までの時間の通年平均で定めらているというお話でした。このような単位は、生活に密着したものが基準になっていて、それが道理です。暦における一年も、同じです。
夏に雪が降る事にならないよう、暦を調整し、閏年が設けられます。

一日の定義は、自転周期ではなかったように、一年の定義も公転周期ではありません。もちろん、一日≒自転周期であったように、一年≒公転周期ではありますが、定義としては、異なります。


「季節がある理由は、地軸が傾いているからだ。」というのはよく知られています。北極が太陽側に傾いている時は、北半球は日がよく当たり、太陽と反対側に傾いている時は、日の当たりが悪くなります。この日の当たりの不均衡が夏・冬などの季節の発生原因となります。

そしてこの季節の移り変わりが、人の生活スタイルに最大級の影響を与えるため、それを正確に捉えることができる暦が望まれます。

一年は、季節を正確に捉えるためのもので、季節は地軸の傾きにより起こります。そして、その地軸の傾きが、約一年のうちにちょっとだけ変化しています。その変化を取り入れるため、一年の定義≠地球の公転周期 となっています。

地球の地軸の傾きが変化するといっても、非常に微妙なものです。

一年を通して、地軸はほぼ一定方向に向いてて、現在その方向にはポラリス(北極星)として知られる星があります。

子供の遊び道具としても知られるコマがありますが、上手く回すと、軸が鉛直に立ち、高速で回っているのに静止しているように見えます。しかし、回転軸が鉛直から少しずれて回すと、軸を中心に高速回転しながら、軸自体が、鉛直方向の周りをぐるぐると回転しだします。いわゆる歳差運動として知られる動きですが、地球もこのような歳差運動をしています。
現在地軸は、ポラリスの方向を向いていますが、14000年前、あるいは、12000年後には、ベガの近くを向きます。

約25800年を周期に、地軸の方向が変化します。
これが、公転周期と一年の長さが異なる原因と言えます。

地軸と太陽の方向の角度は、公転に伴い変化します。春分、秋分の頃は90度、夏至の頃は66.6度、当時の頃は113.4度くらいです。この角度は、一日のうちではほとんど変化しません。日中、これを見極めるのは困難ですが、太陽が地平線、水平線の近くにある時は、真北からの角度として測れます。春分、秋分の頃は、真東から日が昇り、真西に日が沈む。夏至の頃は日の出、日の入り場所がかなり北に寄り、冬至の頃は南に寄っていて、前述のような角度になります。

地軸と太陽の方向の角度は、公転による変化の他に、歳差運動による変化が加わります。約25800年周期なので、公転周期に対し約$${\frac{1}{25800}}$$だけずれます。
公転周期による一年を、1恒星年といい、約365日6時間9分10秒と観測されています。
歳差運動による補正が加わった一年を、1太陽年といい、約365日5時間48分45秒と観測されています。将にこれが、暦の一年として相応しい値です。太陽と地軸の方向間グラフを作った時、そこに現れる周期はこちらだからです。1恒星年より20分25秒ほど短い値になっています。
$${{\scriptsize 現在約365日5時間48分45秒と観測されていますが、100年につき0.53秒程小さくなる傾向が見られます。}}$$

いわば閏年の原因となる、一太陽年の『端数』は、5時間48分45秒ですが、秒数に直すと、$${(5×60+48)×60+45=20925}$$。本来これは観測値で、小数点以下も続くし、変化もしますが、この値を整数値だと思って、素因数分解すると、$${3^3×5^2×31}$$と、シンプルになります。これを一日の秒数$${24×60×60=86400=2^7×3^3×5^2}$$で割ると、$${\dfrac{3^3×5^2×31}{2^7×3^3×5^2}=\dfrac{31}{128}}$$となります。

こんなシンプルな整数比になるのは、奇跡的なことです!!


ユリウス歴では一年=365+$${\frac{1}{4}}$$日=365日6時間とします。現在の観測上の一年と、年間11分15秒差があり、128年で1日のずれに相当します。4世紀には春分は3月21日でしたが、16世紀には3月11日頃にまでずれていました。1600年間運用されたユリウス歴が廃止された理由がここにあります。

グレゴリオ歴では一年=365+$${\frac{97}{400}}$$日=365日5時間49分12秒とします。観測上の一年との差は年間約27秒です。ユリウス歴において、約1200年で10日程ずれたという日誌上のずれを元に、閏年の設置方法が考案され、現在もこれが使われています。

しかし、一年=365+$${\frac{31}{128}}$$日=365.2421875日とすれば、観測上の真の一年と「ずれ」はありません。


「一年=365+$${\frac{31}{128}}$$とする」ということの意味は、128年の間に31回閏年を設けるという事です。具体的には、西暦を4で割って割り切れる年を原則閏年とし、128で割って割り切れる場合は例外とすることで実現できます。
仮にこの閏年設置法をとる暦を「新暦」とし、1900年以降の、グレゴリオ歴と新暦での、例外的平年を列挙すると次のようになります。

グレゴリオ歴:1900年,2100年,2200年,2300年,2500年,2600年,2700年,2800年
  新 暦 :1920年,2048年,2176年,2304年,2432年,2560年,2688年,2816年
$${{\scriptsize 西暦が4で割り切れる年は閏年。ただし、ここに書かれた年は、例外的に平年(非閏年)とする。}}$$


この原稿のタイトル「2048年を非閏年に」は、新暦への切り替えを提案するものです。現行では、400年に3度例外的平年を設けています。約133年に1度です(新暦では128年に1度)。そして3度の設け方が200年、100年、100年という不均衡な間隔になっています。歪みの解消の仕方が、一定ではありません。また、年27秒のずれは蓄積され続け、このずれ解消のためいずれ、
「西暦を3200で割って割り切れる場合は、平年とする」
という新ルールを追加することになるかもしれません。
($${\frac{31}{128}=\frac{1}{4}-\frac{1}{100}+\frac{1}{400}-\frac{1}{3200}}$$)

それよりも、
「西暦を4で割って割り切れる年は原則閏年
 但し、128で割り切れる場合は例外」
($${\frac{31}{128}=\frac{32-1}{128}=\frac{1}{4}-\frac{1}{128}}$$)

というルールに変更するのは如何ですか?という提案です。

人の一生のうち、例外的平年に遭遇することは1度有るか無いかです。現に20世紀生まれの人は、例外的平年を気にする必要はありません。西暦2000年は、例外の例外で閏年だったので、「西暦が4で割り切れれば閏年」だけで大丈夫でした。21世紀生まれの人にとっては、「西暦が4で割り切れれば閏年。但し2100年は非閏年」のように、一つの年だけが念頭にあれば、問題ありません。新暦においては、それが2048年に変わるだけです。
これだけで、年27秒の割合で蓄積され続ける「ずれ」問題を解消できます。

これは、現在の1太陽年の観測値365日5時間48分45秒の端数部分5時間48分45秒=20925秒ですが、$${20925=3^3×5^2×31}$$と極めてシンプルな形に素因数分解できることに起因します。
この奇跡を利用しない手はないと思いませんか?


もしかすると、これは奇跡などではなく、背後に深長な理由があるのかもしれません。

その場合は尚更素敵なことです。


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