「私はヨーコ JAL17期生」

 旅客機では、乗客ではない客、つまり無料で乗っている人間を「デッドヘッド」と呼ぶ。
 死んだ頭とはなんてこと!
 勘定に入れてないよ、という意味だ。
 乗員乗務員が職務で移動する場合、デッドヘッドになる。
 もちろん、空席のある便に限られる。
 在籍しているエアラインだけでなく、他エアラインでも利用する。
 JALはエアフランスと乗務員交換を行なっていたのでエアフランスのクルーが乗ってくることも時々あった。
 ある時、おしゃべりしていて仲良くなったパーサーからセーヌ川に住んでるから遊びにないかと誘われた。
 なんと彼は妻と船に住んでいるのだ。
 そりゃ行ってみなくちゃ。
 たまたまパリで一緒になった同僚を誘って行ってみた。
 
 外観はがっしりしていてこれが川を登り下りするとはとても思えない。
 しかし夫婦ともに動く、と主張する。
 信じていないと見て仕返ししてきた。
 貴女は日本人なんだから「イケバナができるでしょ、これ活けてみて」とそこらへんで摘んできたらしい野草を差し出す。
 このパターン、よくあるんです。生花、茶の湯、握り寿司・・・、日本人なら誰でもできると信じている。

 何食わぬ顔で花瓶にワイルドに放り込まれた姿を見て、夫婦は絶句していた。ザマーミロ!

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