「私はヨーコ JAL17期生」
夏にヨーロッパへ旅行しようと考えている方は彼の地のエアラインスケジュールをきちんと調べた方がいい。
というのも、7月半ば、つい先日、イタリーの多くの空港の多くの航空会社の各部門でストが始まったからだ。
まず、レオナルド・ダ・ヴィンチ空港で、2時間以内に61便のうち43便がストに入り、離陸したのは18便のみ。その日は140便以上が出発できなかった。
この状態は今後も他の国でも同じ現象が見られるだろうと言われている。
ヨーロッパ各国で起こっているインフレによる価格暴騰が原因と見られているが、そこにコロナが重なり、大規模なエアラインのストが始まったそうである。
1960年代、JALからエール・フランスに出向した時、私もストに出会した。
いつものようにタラップを上がると、フランス人のCAが1人、心細そうな顔で立っている。そしてこんなことを訴える。
「今日、乗務員組合のストなんです。私はまだ訓練を受けている最中で組合に所属していないから乗務することになったんです。でも実務の経験がないので何をどうしたらいいかわからない。教えてくれますか?」
いやいや、なんてこった。ストがあるなんて誰も教えてくれなかった。
地上の職員もダンマリだ。
ムッとしながら機内をチェックすると、椅子のポケットにエビアンやらサンドイッチが突っ込んである。食事サービスの代わりらしい。
一応キャプテンに挨拶しなきゃとコックピットへ行くと、キャプテンも搭乗直前に教えられたらしい。
「エマージェンシーになったら心細いですね。その時はキャプテン、よろしくね」
皮肉をいうのがせいぜい。
そうなのだ。機内サービスよりも何よりもエマージェンシー時にどうなるのかそちらが不安だ。乗務員は客席数に応じて配置される。たった2人、それも1人は見習い以前だ。
安全について何の考慮もなく、私は何も知らされず利用されているだけなのだ。羽田に着いたら言い付けてやる。
当時のJALは安全について、神経質なほど配慮していた。だが完全とは言えなかったわけだ。AFのキャプテンが飛行中ワインを呑んでいることも、スト中、半人前のCAを乗務させることにも抗議はほとんどしなかったのだろう。
ずっと後に危なくなったJALに稲盛氏を呼び徹底的な改革を行わせ、やっと持ち直した怠惰な片鱗が既にあったわけである。
*この情報は国際的な質問サイトから拾ったものです。一番上の画像は、当日のフライトスケジュールですが、赤い部分が欠航した出発便。何やら帯の柄のように異様なので引用しました。