「京都のヨーコさん宅」270 蘇民将来子孫
コロナは相変わらず地球外へ去ってくれない。周囲で感染した人はいないが、見えない相手だけに有効な対策も見つからず不安なままだ。京都では、食あたりなど、疫病の多い夏になると八坂神社からお札を買ってきて軒先に掲げる習慣がある。我が家も新しい札を掲げた。札には「蘇民将来子孫」と書いてある。蘇民将来とは何者なのか。
伝説によると、疫病神の元締めである神さんが、旅先で、金持の弟(蘇民なんとか)と貧乏な兄(蘇民将来)に一夜の宿を求めた。貧乏な兄は泊めると言ったが金持の弟は断った。神さんはその後、兄の家を再び訪れ、娘の首に茅の輪をかけ、お前だけ疫病から守ってやるがそれ以外は死ぬから、と告げて去ったと言う。
コレラや疫痢などの疫病が流行るたびに、人々はその話を思い出し、図々しくも蘇民将来の孫と書いた札を貼り、神社に設置された茅の輪をくぐり、なんとか疫病から逃れようとして現代まで続いているのである。
色々と無理があり、わざとらしい民話だが、人知で対応出来ない相手である以上、お札でもなんでも頼るしかない。そんなものに効力あるとは思えなくても気分だけでも鎮めたいものなのである。兄弟2人とも宿を貸さなかったら人類は滅亡したか、と言うツッコミはなしね。