「私はヨーコ JAL17期生」
私が乗務していた1950年代から60年にかけて、国際線はファーストクラスとエコミークラスしかなかった。ビジネスクラスはなかった。
エコノミークラスの客にとって、ファーストクラスの様子は気になるものである。仕切りの扉を開けて出入りするたびに、エコノミー最前列の乗客は、チラチラと覗き見していた。
あるとき、エコノミーの外人女性客が、ファーストクラスに知り合いが乗っていて渡さなければならないものがあるので入れてくれないか、と言ってきた。アテンダントが渡すからください、というと、いや、伝えなければならないこともあるから直接会わなければならない、と言い張る。
どうしたものか。
パーサーに相談すると、入れてやれと言う。そして、すぐに帰ってもらえ、と。
そこで扉を開けると、あれ?もう1人いるではないか。2人の女性が、あっという間にファーストクラスに入ってしまう。
仕方なく様子を見ていると、彼女たち、1人の男性客の後ろの空席に座り込み、3人で談笑し始めた。
大きく胸の開いたドレスといい、厚化粧といい、どうもダンサーか水商売のようだ。
いつまで立っても立ち上がる様子はなく、埒が空かないのでパーサーに追い出してもらった。
だが、しばらく経つと、また入れてくれと言う。
明かに居心地の良さに味をしめたのだ。
私は顔の前で🙅を作り断った。