久保家

久保家の日記を再開しました。以前は交換日記の形式でしたが、今回は夫が妻に一方的に「学んだこと」や「気付いたこと」などをつぶやく形で日記を書きたいと思います。日記と言いながら会話をイメージした口語体のスタイルが多くなるかもしれませんが、そこは温かい目で見守ってくださいm(_ _)m

久保家

久保家の日記を再開しました。以前は交換日記の形式でしたが、今回は夫が妻に一方的に「学んだこと」や「気付いたこと」などをつぶやく形で日記を書きたいと思います。日記と言いながら会話をイメージした口語体のスタイルが多くなるかもしれませんが、そこは温かい目で見守ってくださいm(_ _)m

最近の記事

「菜根譚」を読む

拝啓 奥さんへ 「菜根譚」は、明末の洪自誠によって書かれた処世訓ですが、中国ではあまり重んじられず、かえって日本の金沢藩の儒者、林蓀坡によって文政五年に発行され、当時の我が国の人々に盛んに愛読され、文政八年にも重刊された書です。 「菜根」は「人はよく菜根を咬みえば、すなわち百事をなすべし」という故事に由来し、「野菜の根は非常に硬いが、それをかみしめるように、苦しい境遇に耐えることができれば、人は多くのことを成し遂げることができる」という古事に由来しています。 それでは、

    • 数学地図を作ろう~数学を学ぶ人へ~

      拝啓 奥さんへ 「数学の世界地図(古賀真輝)」という数学の本を読んでいます。 数学の全体像をざっと眺めるという本なのですが、ここまで広い範囲を網羅した本はなかったと思います。その中で、数学を学ぶ際の心構えのようなものあったのでご紹介します。 徹底的に考える 専門書というのは大抵の場合、読むのが大変です。必ずしも初学者にとって親切にかいているあるというわけではなく、どの本にも必ず難しい箇所があります。なんとなく読むだけではなく、自分が納得するまできちんと考え抜くことが大事

      • 「フィフス・エレメント」とは?

        拝啓 奥さんへ 人類が発明し、議論し、生命を捧げたものを形づくった四つの要素があります。「擬人化」、「ストーリーテリング」、「二元論」、「比喩」です。これらの四つは、グローバル化とコンピュータテクノロジーによって高度に絡み合った現在社会の価値、希望、悪夢を形作り続けています。 心の性質について、心を人工的に再現できるどうかについて論じるためには、これらの四つの要素を理解することが極めて重要です。心の哲学、科学、技術を検討する前に、比喩の力についてははっきりとした展望を掴ん

        • 「大局観(羽生善治)」を読む

          拝啓 奥さんへ 将棋界には、「反省はするが、後悔はしない」という言葉があるそうです。確かに反省は必要ですが、それが済めばいつまでもうじうじ後悔する必要はなく、その経験や体験を自分自身の実力を上げるうえでの必要不可欠なプロセスとして受け止め、消化し、昇華させることが大切です。 勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし。 これは、昔から勝負の世界でよく言われている格言です。 勝負事には幸福な勝利はあっても、不運な負けはない。負けには何かしらの理由があります。いったん、何

          「孫子」を読む

          拝啓 奥さんへ 人生というものは、どんなときでも勝負です。「孫子」の場合は戦争ですが、その戦争を別の言葉に置き換えれば、競争ということになります。人生は、競争によって成り立っています。競争に敗ければ、その人の人生はみすぼらしいものになります。その競争に勝つための方法を「孫子」は幾重にも言い換えて論じています。 兵は詭道なり 「孫子」という本を一言で表すのが、この「兵は詭道なり」という言葉だと思います。ここで「兵」というのは戦争で、「詭」はたばかる、つまり騙すということで

          「孫子」を読む

          「神戸医療産業都市 一般公開2024」とは?

          拝啓 奥さんへ 神戸医療産業都市(KBIC)では、年に一度、医療産業都市内にある研究機関や大学、病院、企業が、一斉に施設を公開するイベント「神戸医療産業都市 一般公開」を開催しています。毎年延べ約10,000人の方々がポートアイランドに訪れる神戸医療産業都市最大の市民向けイベントです。 スーパーコンピュータ「富岳」の見学や神戸発の最先端研究を紹介するセミナー、実験体験、研究室や病院などの見学ツアーなど、年齢問わず楽しめる企画が盛りだくさんです。普段は入ることができない施設

          「神戸医療産業都市 一般公開2024」とは?

          「FACTFULNESS」を読む

          拝啓 奥さんへ 「FACTFULNESS(ファクトフルネス)」の著者、ハンス・ロスリングは医師であり、公衆衛生の専門家であり、またTEDトークの人気スピーカー でもあります。ハンスは、あるとき、人々がとんでもなく世界を誤解していることに気づきます。教育レベルの高い人も、世界中を飛び回っているビジネスマンも、またノーベル賞受賞者でさえ、事実にも同いて世界を見ることができていないのです。 なぜでしょうか?その理由は、誰もが持っている「分断本能」「ネガティブ本能」「パターン化本

          「FACTFULNESS」を読む

          P.F.Druckerの言葉

          拝啓 奥さんへ 経営(マネジメント)といえばP.F.Druckerと夫は思っているのですが、その考え方自体は人生全体に応用が利くのかなと思い、Druckerの言葉を紹介したいと思います。 ドラッカーといえば、この言葉が最初に浮かびます。弱みでは成果を出すことはできません。成果を出すには、自らの強みに集中することが大切です。ただ自分の強みは自分では気づきにくいという難点があります。弱みについては知っているでしょうが、自分の強みについては客観的な意見を参考にするのが良いでしょ

          P.F.Druckerの言葉

          海馬(脳は疲れない)を読む

          拝啓 奥さんへ 海馬(脳は疲れない)池谷裕二+糸井重里 を読み直しました。 何度読んでも面白い本ですね。対話形式なのでさらさらっと読めます。 毎度のことながら、気に入った箇所を整理してみます。 脳の本質は、ものとものを結び付けること ものとものを結び付けて新しい情報をつくっていくことが、脳の働きの基本です。脳は、毎日で合っている新しい情報がどういうものなのかを分類しています。そして、何かを解決したい場合には、まったく関係のないように見える情報どうしをとっさに結びつけるの

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          莫妄想(余計なことは考えない)

          拝啓 奥さんへ 「莫妄想(妄想する莫れ)」は、中国唐代の禅僧の無業和尚の言葉です。 無業和尚は、有名な禅僧の馬祖道一の弟子です。無業は、生涯、誰が尋ねても、ただ、「莫妄想」とだけ答えたと言われています。いわゆる、馬鹿のひとつ覚えですね。 しかし、考えてみれば、これは禅の根本原理です。だから、何にだって応用が利くのです。誰かが何を尋ねても「莫妄想」でいいのです。無業は間違っていません。夫もそう思います。 妄想とは、人間がいくら考えてもわからない問題を考えることです。という

          莫妄想(余計なことは考えない)

          ユークリッド空間から位相空間への写像

          拝啓 奥さんへ 本日は、人工知能の本質に近い部分のお話です。 まず、ユークリッド空間ですが、ここでは「数値で表せる空間」と考えてください。センサーが集める情報や人間の視野に入る情報は「数値」を含んでいます。数値は「高い」「低い」の集合です。カメラで写した画像や動画のデータもそれぞれ画素があり、RGBの値がどれだけか、このデータが画素の数だけあるわけです。 私たちは、数値をもった世界、「ユークリッド空間」の中で生きていますが、脳は空間に含まれる数値はほとんど意識しません。

          ユークリッド空間から位相空間への写像

          「コナトゥス(努力)」とは?

          拝啓 奥さんへ ラテン語で「コナトゥス(conatus)」という言葉があります。スピノザの有名な概念です。あえて日本語に訳せば「努力」になってしまうのですが、これは頑張って何をするという意味ではありません。「ある傾向を持った力」と考えれば良いでしょう。 コナトゥスは、個体をいまある状態に維持しようとして働く力をことを指し示します。医学や生理学で言う恒常性(ホメオスタシス)の原理に近いと考えれば良いと思います。例えば、私という個体の中の水分が減ると、私の中に水分への要求が生

          「コナトゥス(努力)」とは?

          「野生の思考」とは?

          拝啓 奥さんへ 「野生の思考」(La Pensée Sauvage)は、フランスの人類学者クロード・レヴィ=ストロースによって提唱された概念です。この言葉は、1962年に出版された同名の著作『野生の思考』の中で詳しく論じられています。レヴィ=ストロースは、野生の思考を「未開社会」の人々が持つ独特の思考方法として説明していますが、これは決して原始的でも劣っているわけではなく、むしろ人間の思考の根本にある普遍的なものであるとしています。 レヴィ・ストロースは、19世紀から20

          「野生の思考」とは?

          「論語」の好きな言葉

          拝啓 奥さんへ 本日は、夫の好きな「論語」の言葉を紹介します。 四十にして惑わずとは、自己の学問に対して自信を得て、事を判断するにあたって迷わないことを指します。四十半ばになるのに、夫は惑いまくりなので、ちょっと困ってしまうのですが(笑) 朝、人間の生きるべき道を聞いて会得することができたなら、夕方死んでも心残りはないということです。 真理の追求の重要さと、それにかける情熱を強調したことばとして、知られています。なんだか禅の言葉っぽくて好きです。 最後の、人知らずして

          「論語」の好きな言葉

          EDR(Endpoint Detection and Response)とは何か?

          拝啓 奥さんへ EDR(Endpoint Detection and Response)とは、ネットワークに接続されたパソコンやスマートフォン、サーバーなどのデバイス(エンドポイント)を監視し、サイバー攻撃などの脅威を検知・対応する仕組みです。具体的には、組織内のネットワークに接続されているエンドポイントからログデータを収集し、解析サーバーで相関解析、不審な挙動・サイバー攻撃を検知し、管理者に通知します。通知を受けた管理者はEDR管理画面でサイバー攻撃を確認し、遠隔で対処す

          EDR(Endpoint Detection and Response)とは何か?

          「エチカ」(スピノザ)とは?

          拝啓 奥さんへ 「エチカ」(スピノザ)100分de名著(國分功一郎)「自由に生きるとは何か」を読みました。そして、感銘を受けてエチカの原文を毎日4ページずつコツコツと読んでいます。その過程で得た見識をnoteにまとめていきたいと思います。 スピノザは17世紀オランダの哲学者です。1632年、アムステルダムのユダヤ人居住区に生まれた彼は、1677年にハーグでわずか44歳の生涯を終えるまで、生前には二冊の本しか出版していません。「エチカ」を含めた残りの著作は、彼の死後、友人た

          「エチカ」(スピノザ)とは?